基本修復操作の実行

基本修復ウィザードでは、標準修復、ローカルデータベースの修復、または単一オブジェクトの修復を実行できます。また、外部参照をチェックして不明なリーフオブジェクトを削除できます。


標準修復を実行する

標準修復では、指定されたサーバのeDirectoryデータベースファイルに致命的なeDirectoryエラーがないかチェックし、修復します。このオプションは、実行されるたびに8つの主要な操作を実行します。これらの操作には、管理者が関与する必要はありません。これらの操作の中には、実行中にデータベースをロックするものがあります。標準修復では、ローカルデータベースファイルのセットが一時的に作成され、修復操作はこれらのファイルに対して実行されます。つまり、重大な問題が発生したとしても、オリジナルのファイルは無事です。

ローカルデータベースの修復で使用される対話式オプションを熟知していない場合は、この修復手段をお勧めします。標準修復を実行すると、データベースファイルが現在使用している2倍の容量の空きディスクが必要になる場合があります。詳細については、ローカルデータベースの修復の実行を参照してください。

eDirectoryが使用するオペレーショナルインデックスの再構築は、ローカルデータベースがロックされているときのみ可能です。

次の表に、標準修復の実行中に行われる操作について示します。

操作 データベースのロック 説明

データベース構造およびインデックスのチェック

する

データベースレコードとインデックスの構造および形式を調べます。eDirectory環境のデータベースレベルで構造的な破損が組み込まれていないことを確認します。

データベース全体の再構築

する

構造チェックおよびインデックスチェック中に見つかったエラーを解決します。正しいデータ構造を復元し、eDirectoryデータベースおよびインデックスファイルを再作成します。

ツリー構造のチェックの実行

する

データベースレコード間のリンクを検証し、各チャイルドレコードに対して有効なペアレントレコードがあることを確認します。これは、データベースの整合性を確認するのに役立ちます。無効なレコードにはマークがつけられ、eDirectoryレプリカ同期処理の実行中に別のパーティションレプリカから復元できます。

すべてのローカルレプリカを修復

する

各オブジェクトと属性をスキーマ定義でチェックし、eDirectoryデータベースの不整合を解決します。ここでは、内部データ構造の形式もすべてチェックします。

この操作では、データベースから無効なレコードを削除することにより、ツリー構造のチェック中に見つかった不整合も解決します。この結果、無効なレコードにリンクされているすべてのチャイルドレコードは、すべて孤立としてマークされます。これらの孤立レコードは失われませんが、この処理によって、データベースの再構築中に多数のエラーが発生する可能性があります。これは正常な反応で、孤立したオブジェクトはレプリカ同期の過程で自動的に再編成されます。

ローカル参照をチェック

する

ローカル参照は、このファイルサーバ上のeDirectoryデータベース内で管理されているオブジェクトへのポインタです。この操作では、内部データベースのポインタを評価し、正しいeDirectoryオブジェクトを指していることを確認します。無効な参照が見つかった場合は修正されます。オブジェクト間に存在する関係の数によって異なりますが、この操作は完了までにかなり時間がかかる場合があります。

ネットワークアドレスの修復

しない

eDirectory内で保存しているサーバのネットワークアドレスを、ローカルSAP、SLP、またはDNSテーブルで維持されている値でチェックし、eDirectoryが現在も正確な情報を保持していることを確認します。矛盾が見つかった場合、eDirectoryは正しい情報で更新されます。

ストリームシンタックスファイルの検証

する

ログインスクリプトなどのストリームシンタックスファイルは、eDirectoryデータベースの特殊領域に保存されます。この操作では、各ストリームシンタックスファイルが有効なeDirectoryオブジェクトに関連付けられているかどうかをチェックします。関連付けられていないストリームシンタックスファイルは削除され、そのファイルを参照している属性はパージされます。

メールディレクトリを検証する(NetWareのみ)

する

デフォルトでは、eDirectoryはメールディレクトリをNetWare(R)サーバのsys:mailディレクトリ内に作成します。これは以前のバインダリユーザをサポートするためです。バインダリユーザのログインスクリプトは、ユーザのメールディレクトリに保存されます。この操作では、各メールディレクトリが有効なeDirectoryユーザオブジェクトに関連付けられているかどうかをチェックします。関連付けられていない場合、メールディレクトリは削除されます。

ボリュームオブジェクトとトラスティのチェック(NetWareのみ)

しない

NetWareサーバ上の各ボリュームが、eDirectory内のボリュームオブジェクトに関連付けられていることを確認します。関連付けられていない場合、サーバが存在するコンテキストを検索し、ボリュームオブジェクトが存在しているかどうか確認します。ボリュームオブジェクトが存在しない場合は、ボリュームオブジェクトを作成します。

ボリューム情報を検証後、トラスティIDのリストが検証されます。eDirectory内のすべてのオブジェクトには固有のトラスティIDがあります。このIDは、NetWareボリュームなどeDirectoryツリー内の他のオブジェクトに権利を与える際に使用されます。この作業では、ボリュームリストにある各トラスティIDが有効なeDirectoryオブジェクトであることを確認します。そうでない場合、トラスティIDはボリュームリストから削除されます。

標準修復を実行するには、次の操作を行います。

  1. Novell iManagerで、[役割およびタスク]ボタン[役割およびタスク]ボタンをクリックします。

  2. [eDirectory Maintenance Utilities(eDirectory保守ユーティリティ)]>[基本修復]の順にクリックします。

  3. 操作を実行するサーバを指定し、[次へ]をクリックします。

  4. 操作を実行するサーバのユーザ名、パスワード、およびコンテキストを指定し、[次へ]をクリックします。

  5. [標準修復]をクリックし、[開始]をクリックします。

  6. 表示される指示に従って、操作を完了します。


ローカルデータベースの修復の実行

eDirectoryでオープンおよびアクセスできるように、この修復操作を使用してローカルデータベースの矛盾を解決します。

ローカルデータベースの修復は、一時ファイルセットに対して実行するように指定することもできます。一時ファイルセットを指定しなかった場合、修復操作はアクティブなデータベースに対して実行されます。

一時データベースファイルセットに対して修復操作を実行する場合は、この操作中はデータベースを閉じておく必要があります。操作対象を一時ファイルセットにした場合、修復結果を反映する前に、その確認を求めるメッセージが表示されます。それ以外の場合、修復結果は即座に反映されます。

修復操作が終了すると、その修復操作のログを表示して、修復を完了させるのにさらに必要な操作があるかどうかを確認できます。詳細については、「修復ログファイルの表示と設定」を参照してください。

  1. Novell iManagerで、[役割およびタスク]ボタン[役割およびタスク]ボタンをクリックします。

  2. [eDirectory Maintenance Utilities(eDirectory保守ユーティリティ)]>[基本修復]の順にクリックします。

  3. 操作を実行するサーバを指定し、[次へ]をクリックします。

  4. 操作を実行するサーバのユーザ名、パスワード、およびコンテキストを指定し、[次へ]をクリックします。

  5. [ローカルデータベースの修復]をクリックし、[次へ]をクリックします。

  6. ローカル修復を実行するオプションを指定し、[開始]をクリックします。

  7. 表示される指示に従って、操作を完了します。


外部参照のチェック

この修復操作は、各外部参照オブジェクトをチェックして、そのオブジェクトを含むレプリカがあるかどうかを調べます。オブジェクトのあるパーティションのレプリカが含まれているすべてのサーバにアクセスできない場合、オブジェクトは見つけられません。オブジェクトが見つからない場合、警告が表示されます。

この操作では破損情報も表示されます。

  1. Novell iManagerで、[役割およびタスク]ボタン[役割およびタスク]ボタンをクリックします。

  2. [eDirectory Maintenance Utilities(eDirectory保守ユーティリティ)]>[基本修復]の順にクリックします。

  3. 操作を実行するサーバを指定し、[次へ]をクリックします。

  4. 操作を実行するサーバのユーザ名、パスワード、およびコンテキストを指定し、[次へ]をクリックします。

  5. [外部参照のチェック]をクリックし、[開始]をクリックします。

  6. 表示される指示に従って、操作を完了します。


単一オブジェクトの修復

この修復操作は、eDirectoryがデータへアクセスするのを妨げるような、eDirectoryオブジェクトの不整合を解決します。この操作は、ユーザ作成のパーティションおよび外部参照パーティションでのみ有効です。

この操作は、アクティブなデータベースファイルに対して実行されます。破損が物理的なレベルの場合は、まず物理チェックおよび構造チェックを実行してから単一オブジェクトの修復を行います。

修復操作時点のeDirectoryデータベースのバックアップコピーを保持していることを確認します。

  1. Novell iManagerで、[役割およびタスク]ボタン[役割およびタスク]ボタンをクリックします。

  2. [eDirectory Maintenance Utilities(eDirectory保守ユーティリティ)]>[基本修復]の順にクリックします。

  3. 操作を実行するサーバを指定し、[次へ]をクリックします。

  4. 操作を実行するサーバのユーザ名、パスワード、およびコンテキストを指定し、[次へ]をクリックします。

  5. [単一オブジェクトの修復]をクリックし、[開始]をクリックします。

  6. 修復するオブジェクトを指定し、[次へ]をクリックします。

  7. 表示される指示に従って、操作を完了します。


不明なリーフオブジェクトの削除

オブジェクトに必須プロパティがない場合、あるいはその他に無効な点がある場合(プロパティがオブジェクトタイプの最低要件を満たしていない場合)、修復によって一貫性のないオブジェクトが不明なオブジェクトに変更されます。不明なオブジェクトは実際のオブジェクトであり、eDirectory側では既知のオブジェクトです。不明なオブジェクトになっているのは、オブジェクトクラスの検証が不完全なためです。疑問符アイコンで表示される不明なオブジェクトは削除できますが、簡単に元のオブジェクトタイプに戻すことはできません。

この修復操作では、ローカルeDirectoryデータベースのオブジェクトのうち、オブジェクトクラスが不明で、サブオーディネートオブジェクトを維持していないオブジェクトをすべて削除します。削除はeDirectoryツリーの他のレプリカと同時に後で行われます。

重要:  この操作の意味を完全に理解しているかNovellサポートから実行の指示がない限り、この操作は実行しないでください。

  1. Novell iManagerで、[役割およびタスク]ボタン[役割およびタスク]ボタンをクリックします。

  2. [eDirectory Maintenance Utilities(eDirectory保守ユーティリティ)]>[基本修復]の順にクリックします。

  3. 操作を実行するサーバを指定し、[次へ]をクリックします。

  4. 操作を実行するサーバのユーザ名、パスワード、およびコンテキストを指定し、[次へ]をクリックします。

  5. [不明なリーフオブジェクトの削除]をクリックし、[開始]をクリックします。

  6. 表示される指示に従って、操作を完了します。