eMBoxにアクセスする方法の1つは、eMBoxのJavaコマンドラインクライアントを使用することです。このコマンドラインクライアントには、対話式モードとバッチモードの2つのモードがあります。対話式モードでは、eMBoxコマンドを一度に1つづつ実行します。バッチモードでは、コマンドのグループを自動で実行できます。コマンドラインクライアントにはログサービスがあり、いずれのモードでも使用できます。
コマンドラインクライアントは、Javaアプリケーションです。これを実行するには、Java Runtime Environment, Sun JVM 1.3.1が使用できる必要があります。このJava実行環境は、eDirectoryと同時にインストールされます。また、ファイアウォール越しに管理対象のサーバにアクセスできる必要があります。1つのサーバまたはワークステーションから、複数のサーバに対してタスクを実行できます。
このセクションでは、次のトピックについて説明します。
eMBoxクライアントを実行する前に、eMBoxの一般的なコマンドラインヘルプを表示するには、次の操作を実行します。
対話式モードで実行中にeMBoxの対話型コマンドラインヘルプを表示するには、eMBoxクライアントプロンプトで疑問符(?)を入力します。たとえば、次のように入力します。
eMBox Client> ?
ヘルプには、eMBoxコマンドラインクライアントのオプションで示すようなコマンドラインオプションに関する情報が表示されます。
対話式モードでは、eMBoxコマンドを一度に1つづつ実行します。
このセクションでは、次のトピックについて説明します。
eMBoxクライアントおよびSun JVM 1.3.1は、eDirectoryと同時にインストールされています。eDirectoryサーバの対話式モードでeMBoxクライアントを開始するには、次の操作を行います。
edirutilファイルは、eMBoxクライアントを実行するためのショートカットです。このファイルには、Java実行ファイルの場所とeMBoxがeDirectoryと同時にインストールされたデフォルトの場所が示されています。NetWareの場合、このファイルでは-nsオプションが指定されています(これはNetWareのJavaオプションで、「新規画面」を意味します)。(Java実行ファイルの場所は、eMBoxクライアント用にパスおよびクラスパスをセットアップするで示しているように手動で入力することもできます)。
管理対象のサーバに対してeMBoxコマンドラインクライアントを使用するには、ファイアウォール越しにアクセスできる必要があります。そのため、リモートで実行する場合は、VPNアクセスが必要となります。
eDirectoryサーバではないコンピュータでeMBoxクライアントを使用するには、次の操作を実行します。
サーバの場合とは異なり、ワークステーションの場合は、edirutilコマンドをショートカットとして使用してeMBoxクライアントを対話式モードで開始することはできません。パスおよびクラスパス内で環境をセットアップするか、パスをその都度手動で入力します。「eMBoxクライアント用にパスおよびクラスパスをセットアップする」を参照してください。
eMBoxクライアントがeDirectoryサーバで実行され、JavaまたはeMBoxClient.jarファイルの場所を変更していない場合、edirutilをショートカットとして使用してeMBoxクライアントを実行できます。(eDirectoryサーバでeMBoxクライアントを実行するを参照してください)。
ただし、デフォルトの場所を変更したか、またはeMBoxClient.jarファイルをサーバでないコンピュータ上で実行している場合、あるいはクラスパスを手動で入力したい場合は、eMBoxクライアントのパスおよびクラスパスをこのセクションの説明のようにセットアップする必要があります。
次の操作を実行すれば、eMBoxクライアントをコンピュータ上のどの場所からでも実行できます。
サーバの場合、ほとんどはすでに実行されています。Windowsサーバ、Linuxサーバ、およびUNIXサーバでは、実行ファイルのディレクトリをパスに追加する必要があります。NetWareの場合、ディレクトリをパスに追加するのではなく、Javaが実行されている必要があります。
ワークステーションの場合、手動セットアップが必要となる場合があります。たとえばWindowsでは、[スタート]>[設定]>[コントロールパネル]>[システム]の順にクリックします。[詳細設定]タブで[環境変数]をクリックし、PATH変数にパスを追加します。
パスを手動で入力するには、次の操作を実行します。 Java実行ファイルへのパスが追加されていない場合、eMBoxを実行する前に、最初にコマンドラインでJava実行ファイルが含まれたディレクトリへ移動する必要があります。たとえば、Windowsで次のように入力します。
cd c:\novell\nds\embox\jre\bin
NetWareサーバの場合:
set ENVSET=パス\eMBoxClient.jar
Windowsサーバまたはワークステーションの場合:
set CLASSPATH=パス\eMBoxClient.jar
LINUXサーバおよびUNIXサーバまたはワークステーションの場合:
export CLASSPATH=パス/eMBoxClient.jar
パスを手動で入力するには、次の操作を実行します。 クラスパスを指定するには、次のようにして、eMBoxを実行するたびにJavaの-cpフラグを使用する方法もあります。
java -cp パス/eMBoxClient.jar embox -i
たとえば、Windowsでは次のように入力します。
java -cp c:\novell\nds\embox\eMBoxClient.jar embox -i
警告: NetWareサーバの場合のみ、異常終了を防ぐために-ns(「新規画面」を開くNetWareでのJavaオプション)を追加します。たとえば、次のように入力します。
java -ns -cp sys:\system\embox\eMBoxClient.jar embox -i
これらの手順を実行した後は、次のコマンドを使用して、コンピュータ上のどの場所からでも対話式モードによるeMBoxクライアントを実行できます。
java embox -i
警告: NetWareサーバの場合のみ、異常終了を防ぐために-ns(「新規画面」を開くNetWareでのJavaオプション)を追加します。たとえば、次のように入力します。
java -ns embox -i
Javaコマンドについては、Sun WebサイトにあるJavaのマニュアルを参照してください。
サーバにログインするには、サーバ名またはIPアドレス、および特定のサーバへ接続するためのポート番号を指定する必要があります。パブリックログインの場合、ユーザ名およびパスワードは必要ありません。
たとえば、eMBoxクライアントを対話式モードでオープンした後で、次のように入力します。
login -s 137.65.123.244 -p 8028 -u admin.mycompany
-w mypassword -n
ポート番号についての詳細は、eDirectoryポート番号を確認するを参照してください。
デフォルトの言語は、クライアントシステムの言語です。そのため、ほとんどの場合、特別に言語を設定する必要はありません。同様に、タイムアウトもほとんどの場合、デフォルトの設定で問題ありません。ログファイルを設定するには、ファイル名とファイルを開くモード(追加または上書き)を指定します。
次の表に、コマンド例を示します。
コマンド | 説明 |
---|---|
set -L en,de |
使用言語を英語、ドイツ語の優先順で設定します。 |
set -T 100 |
タイムアウトを100秒に設定します。タイムアウトは、サーバからの応答を待つ時間を設定するものです。 |
set -l mylog.txt -o |
mylog.txtをログファイルとして使用し、開いた後は上書きします。 デフォルトの設定は「追加」です。 |
サーバにログインしたら、listコマンドを使用して、そのサーバ上で使用できるサービスを表示できます。
listコマンドを使用すると、次に示すeMToolとそのサービスが動的に表示されます。
eMTool | 説明 |
---|---|
backup |
Novell eDirectoryバックアップeMTool |
dsmerge |
Novell eDirectoryマージeMTool |
dsrepair |
Novell eDirectory修復eMTool |
dsschema |
Novell eDirectoryスキーマ操作eMTool |
service |
Novell eDirectoryサービスマネージャeMTool |
リストを強制的にリフレッシュするには、-rを使用します。サービスの詳細を表示するには、-tを使用します。コマンド形式だけを表示するには、-fを使用します。
次の表に、コマンド例を示します。
コマンド | 説明 |
---|---|
list |
サーバ上で使用できるeMToolを表示します。 |
list -r |
eMToolリストをリフレッシュします。 |
list -t backup |
backupサービスの詳細を表示します。 |
list -t dsrepair |
DSRepairサービスの詳細を表示します。 |
list -t dsmerge -f |
DSMergeサービスのコマンド形式だけを表示します。 |
サーバにログインした後は、各eMToolサービスを使用してタスクを実行できます。例:
コマンド | 説明 |
---|---|
dsrepair.rld |
ローカルデータベースを修復します。 |
backup.getconfig |
バックアップ設定情報を取得します。 |
詳細については、次を参照してください。
eMBoxクライアントをバッチモードで実行するには、次の3つの方法があります。
システムバッチファイルと内部バッチファイルを組み合わせて使用することで、コマンドをより自由に実行でき、頻繁に実行するコマンドの編成や再使用が可能です。
コマンドラインから単一のeMBoxタスクをバッチモードで実行するには、コマンドに-tオプションを使用してツールとタスクを指定し、-iオプション(対話式モードを指定するオプション)を省くだけです。たとえば、次のように入力します。
java embox -s 137.65.123.244 -p 8028 -u admin.mycompany
-w mypassword -l mylog.txt -t dsrepair.rld -n
警告: NetWareの場合のみ、異常終了を防ぐために-ns(「新規画面」を開くNetWareでのJavaオプション)を追加します。たとえば、次のように入力します。
java -ns embox -s 137.65.123.244 -p 8028 -u admin.mycompany -w mypassword -l mylog.txt -t dsrepair.rld -n
異なるサーバ上で複数のタスクを実行する場合や、頻繁に実行するタスクの場合は、内部バッチファイルを使用する方が便利です。詳細については、次のセクション内部バッチファイル.を参照してください。
eMBoxクライアントの内部バッチファイルを使用してeMBoxクライアントをバッチモードで実行するには、対話式モードで実行するようなeMBoxコマンドのグループを含むファイルを作成する必要があります。
eMBoxクライアントの内部バッチファイルを使用すれば、バッチファイル内のすべてのコマンドを自動で実行できます。複数のeMBoxツールを使用した複数のタスクを、同一のサーバ上でタスクごとにログインとログアウトを繰り返すことなく実行できます。また1つのサーバから、複数のサーバに対して複数のeMBoxツールを使用したタスクを実行できます。
内部バッチファイルを使用すれば、頻繁に実行するコマンドの編成や再利用ができます。そのため、これらのコマンドを実行するたびに、コマンドラインから手動で入力する必要はありません。
内部バッチファイルの実行は、コマンドラインからeMBoxクライアントコマンドを使用して行います。たとえば、次のコマンドは、サーバにログインし、mybatch.mbxファイル内に列挙されたコマンドを実行します。
java embox -s 137.65.123.244 -p 8028 -u admin.mycompany -w mypassword -l mylog.txt -o -b mybatch.mbx -n
警告: NetWareの場合のみ、異常終了を防ぐために-ns(「新規画面」を開くNetWareでのJavaオプション)を追加します。たとえば、次のように入力します。
java -ns embox -s 137.65.123.244 -p 8028 -u admin.mycompany -w mypassword -l mylog.txt -o -b mybatch.mbx -n
もう1つの方法は、同様のコマンドをシステムバッチファイル内に記述し、そのファイルがサーバ上で自動実行されるようにスケジュールすることです。「システムバッチファイル」を参照してください。
次に、eMBox内部バッチファイルの例を示します。このファイルには、実行するコマンドの例および別のサーバへログインする例が記述されています。この例では、eMBoxクライアントを開いたときに、サーバにログインしているものと仮定しています。(それぞれのコマンドは、行を分ける必要があります。#で始まる行はコメントです。)
# This file is named mybatch.mbx.
# This is an example of commands you could use in
# an eMBox internal command batch file.
# Backup commands
backup.getconfig
backup.backup -b -f mybackup.bak -l backup.log -t -e -w
# DSRepair commands
dsrepair.rld
# Log in to a different server
login -s 137.65.123.255 -p 8028 -u admin.mycompany -w mypassword -n
# DSMerge commands
dsmerge.pr -u admin.mycompany -p admin.mycompany -n mypassword # Schema Operations
dsschema.rst
dsschema.dse
dsschema.rls
dsschema.gsu
dsschema.scc
dsschema.irs -n LocalTree
# DSService commands
service.serviceList
# End of example.
他のコマンドラインツールと同様に、eMBoxクライアントコマンドが含まれたシステムバッチファイルを作成し、それらをコマンドラインから手動で実行したり、サーバ上で自動で実行されるようにスケジュールしたりできます。たとえば、バッチファイルとeMBoxクライアントによる無人バックアップで示す例のように、システムバッチファイルを使用して、自動でバックアップを実行できます。
1つのサーバから複数のサーバに対して、複数のeMBoxツールを使用したタスクを実行できます。
システムバッチファイルでは、eMBoxクライアントの単一コマンドと内部バッチファイルを組み合わせて使用できます。これにより、コマンドをより自由に実行でき、頻繁に実行するコマンドの編成や再使用ができます。詳細については、内部バッチファイルを参照してください。
バッチファイルを自動で実行する方法については、ご使用のオペレーティングシステムのマニュアルまたはサードパーティ製スケジューリングソフトウェアのマニュアルを参照してください。
注: NetWareでは、サードパーティのスケジューリングソフトウェアが使用できます。また、サポート対象のツールではありませんが、Novell Technical SupportからCRON.NLMをダウンロードしてお使いいただけます。
オプション | 説明 |
---|---|
-?または-h |
ヘルプ情報を表示します。 |
-i |
eMBoxコマンドを一度に1つづつ、対話的に実行します。 |
-s サーバ |
eMBoxサーバの名前またはIPアドレスを指定します。 デフォルト値は127.0.0.1です。 |
-p ポート |
eMBoxサーバのポート番号を指定します。 デフォルト値は80です。 |
-u ユーザ |
ユーザDNを指定します。たとえば、admin.mycompanyと指定します。 デフォルト値はanonymousです。 |
-w パスワード |
-uで指定したユーザのパスワードを指定します。 |
-m モード |
ログインモードを指定します。 デフォルト値はdclientです。 |
-n |
安全なSSL接続を試行しません。保護されていない接続を使用します。 このオプションを使用しない場合、eMBoxクライアントではSSL接続を確立しようとします。そのため、クラスパスにはJSSEファイルが必要となり、これがない場合はエラーが返されます。詳細については、eMBoxクライアントを使用してセキュア接続を確立するを参照してください。 |
-l ログファイル |
ログファイルの名前を指定します。 |
-o |
ログファイルを開いた後は、上書きします。 |
-T タイムアウト |
サーバから応答を待つ時間(秒)を指定します。 |
-L 言語 |
使用できる言語を優先順にコンマ区切りで指定します。たとえば、en-US,de_DEと指定します。このオプションのデフォルトは、クライアントシステムの言語です。 |
-t [ツール..]タスクオプション |
この接続での単一のサービスを実行します。-tに続く文字列は、有効なeMBoxコマンドである必要があります。 |
-b eMBoxバッチファイル |
バッチファイルで指定した一連のサービスを実行します。バッチファイル内のeMBoxコマンドは、行を分けて記述する必要があります。#で始まる行はコメントです。 |
非セキュア接続を使用している場合、ユーザ名やパスワードなどの入力したすべての情報は、クリアテキストでネットワーク上に送信されます。
SSLを使用したセキュア接続を確立するには、次の操作を実行します。
これらのファイルがない場合、eMBoxクライアントは、セキュア接続が確立できないことを示すエラーを返します。
これらのファイルやJSSEについての情報は、Sun Webサイトから入手できます。
eMBoxクライアントでサーバにログインするには、ポート番号を指定する必要があります。
eDirectoryをインストールする際にポート番号を指定した場合には、その番号を使用します。
デフォルトのポート番号は、次のとおりです。
次に示すセクションには、eDirectoryに割り当てられたポートを確認するための、その他のヒントがあります。
サーバオブジェクトのネットワークアドレスプロパティに、ポートが表示されます。
サーバオブジェクトのネットワークアドレスプロパティは、次のツールで確認できます。
始めがhttp:またはhttps:で、終わりが/portalのネットワークアドレスを探します。これらのアドレスが、eMBoxツールが使用する非セキュアポートおよびセキュアポートです。
ポート番号の確認方法を次に示します。
たとえば、http://137.65.188.1:8028/portalの場合、ポート8028がeMBoxツールで使用されています。
たとえば、https://137.65.188.1/portalの場合、IPアドレスの後にはポート番号が表示されていませんが、これはeMBoxツールでデフォルトのポート番号が使用されていることを示しています。デフォルトのポート番号は、NetWareでは8009、それ以外のプラットフォームでは8010です。
次のコマンドを使用して、ポートを表示できます。
ndsconfig get | grep http
http.server.interface、その次にポート番号という表現で記述された行を探します。
また、NetWareの場合で説明している方法を使用し、iManagerまたはConsoleOneによりポート番号を確認することもできます。