SUSE Linux Enterprise Server およびHigh Availability Extensionをインストールしたら、データ変換を開始できます。High Availability Extensionとともに出荷される変換スクリプトは、注意深く設定されていますが、完全な自動モードですべての設定を行うことはできません。このスクリプトでは、実効する変更について管理者に警告し、対話と管理者側での決定を必要とします。管理者は、クラスタの詳細を知っている必要があり、変更の妥当性を確認する責任があります。変換スクリプトは、/usr/lib/heartbeat(64ビットマシンの場合は、/usr/lib64/heartbeat)に格納されています。
NOTE: テストランの実行
変換プロセスをよく知るために、まず、変換をテストすること(変更なしで)を強くお勧めします。同じテストディレクトリを使用すると、ファイルを1回コピーするだけで、テストランを繰り返すことができます。
ノード の1つで、テストディレクトリを作成し、そのテストディレクトリにバックアップファイルをコピーします。
$ mkdir /tmp/hb2openais-testdir $ cp /etc/ha.d/ha.cf /tmp/hb2openais-testdir $ cp /var/lib/heartbeat/hostcache /tmp/hb2openais-testdir $ cp /etc/logd.cf /tmp/hb2openais-testdir $ sudo cp /var/lib/heartbeat/crm/cib.xml /tmp/hb2openais-testdir
次のコマンドで、テストランを開始します。
$ /usr/lib/heartbeat/hb2openais.sh -T /tmp/hb2openais-testdir -U
64ビットシステムを使用する場合は、次のコマンドを使用します。
$ /usr/lib64/heartbeat/hb2openais.sh -T /tmp/hb2openais-testdir -U
結果として生成されたopenais.confファイルとcib-out.xmlファイルを読んで検証します。
$ cd /tmp/hb2openais-testdir $ less openais.conf $ crm_verify -V -x cib-out.xml
変換段階の詳細については、インストールしたHigh Availability Extensionの/usr/share/doc/packages/pacemaker/README.hb2openaisを参照してください。
テストランを実行し、出力をチェックしたら、データ変換を開始できます。変換は、1つのノードで実行するだけで済みます。メインクラスタ構成(CIB)が自動的にその他のノード にレプリケートされます。レプリケートの必要がある他のすべてのファイルは、変換スクリプトによって自動的にコピーされます。
変換スクリプトで他のクラスタノードにファイルを正常にコピーするため、rootに許可されたアクセスでsshdがすべてのノードで実行されることを確認します。
High Availability Extensionは、デフォルトのOpenAIS環境設定ファイルとともに出荷されています。以降の手順で、デフォルトの環境設定を上書きしたくない場合は、/etc/ais/openais.conf環境設定ファイルのコピーを作成します。
変換スクリプトをrootとして起動します。sudoを使用する場合は、-uオプションで特権ユーザを指定します。
$ /usr/lib/heartbeat/hb2openais.sh -u root
/etc/ha.d/ha.cfに保存されている環境設定に基づいて、スクリプトは、OpenAISクラスタスタック用の新しい環境設定ファイル/etc/ais/openais.confを生成します。スクリプトは、CIBの設定を分析し、HeartbeatからOpenAISへの変更に伴いクラスタ設定の変更が必要かどうか通知してきます。すべてのファイル処理は、変換が実行されるノードで行われ、他のノードにレプリケートされます。
画面の指示に従います。
変換が正常に完了したら、新しいクラスタスタックを「Section 3.3, クラスタをオンラインにする」の説明に従って起動します。
アップグレードプロセスの後で、SUSE Linux Enterprise Server 10に戻すことはできません。