6.1 ランタイムサポート

重要: アプリケーションバージョン間の競合

アプリケーションが32ビットと64ビットの両方の環境で使用可能な場合に、両方のバージョンを同時にインストールすると問題が生じます。そのような場合は、2つのバージョンのどちらかだけをインストールして使用してください。

このルールの例外は、PAM(プラグ可能認証モジュール)です。SUSE Linux Enterprise Serverは、ユーザとアプリケーションを仲介するレイヤとしての認証プロセスでPAMを使用します。また、32ビットアプリケーションを実行する64ビットオペレーティングシステムでは、常に両バージョンのPAMモジュールをインストールする必要があります。

正しく実行するために、すべてのアプリケーションにはライブラリが必要です。しかし残念ながら、32ビットバージョンと64ビットバージョンのライブラリの名前は同じです。そのため、ライブラリを別の方法で区別する必要があります。

32ビットバージョンとの互換性を維持するために、ライブラリは32ビット環境の場合と同じシステム内の場所に格納されます。libc.so..6の 32ビットバージョンは、 32ビットと 64ビットのどちらの環境でも/lib/libc.so..6の下にあります。

64ビットのすべてのライブラリとオブジェクトファイルは、lib64というディレクトリにあります。通常、/libおよび/usr/libの下にあると想定されている64ビットのオブジェクトファイルは、/lib64および/usr/lib64の下にあります。つまり、両方のバージョンのファイル名を変更しなくても済むように、32ビットライブラリ用の領域は/libおよび/usr/libの下になっています。

データの内容がワードサイズに依存しない、32ビットの/libディレクトリ中のサブディレクトリは移動されません。このスキームは、LSB (Linux Standards Base)とFHS (File System Hierarchy Standard)に準拠しています。

ia64用の64ビットライブラリは、標準libディレクトリ内にあり、lib64ディレクトリもlib32ディレクトリも存在しません。ia64は、32ビットx86コードをエミュレーションで実行します。基本的なライブラリセットは、/emul/ia32-linux/libおよび/emul/ia32-linux/usr/libにインストールされます。