4.4 parmfile—システム設定の自動化

インストールプロセスは、parmfileで不可欠なパラメータを指定することで、部分的に自動化することができます。parmfileには、ネットワーク設定とDASD設定に必要なすべてのデータが含まれています。また、parmfileを使用して、SUSE Linux Enterprise Serverインストールシステムと、そのシステムで実行されるYaSTインスタンスへの接続方法を設定することもできます。したがって、ユーザの介入は、YaSTダイアログによって制御される実際のYaSTインストールで必要になるだけです。

次のパラメータをインストールルーチンに渡して、インストール用のデフォルト値として適用させることができます。IPアドレス、サーバ名、および数値は、いずれも例として使用されています。これらの値は、実際のインストールシナリオで必要になる値に置き換えてください。

parmfile内の行数は10に制限されます。各行に複数のパラメータを指定します。パラメータ名は大文字小文字を区別しません。各パラメータはスペースで区切ります。パラメータは任意の順序で指定できます。PARAMETER=valueの文字列は、必ず1行に収めてください。例を次に示します。

Hostname=s390zvm01.suse.de HostIP=10.11.134.65

次のパラメータの一部は必須です。必須パラメータがないと、自動プロセスが一時停止して、対話形式で値を入力するように指示されます。

4.4.1 一般パラメータ

AutoYaST=<URL>Manual=0

AutoYaSTパラメータは、自動インストール用autoinst.xml制御ファイルの場所を指定します。Manualパラメータは、他のパラメータをユーザによる肯定応答が引き続き必要なデフォルト値のみにするかどうかを制御します。すべての値を受け入れて、確認のメッセージを表示しないようにする場合は、このパラメータを0に設定します。AutoYaSTを設定すると、暗示的にManualが0に設定されます。

Info=<URL>

他のオプションを読み込むファイルの場所を指定します。parmfileの各行80文字で10行という制限に対応するのに役立ちます。

ヒント: 自動インストール情報を含むファイルの作成

システムのインストールの最後で、[このシステムをautoyast用に複製する]をオンにすることができます。プロファイル/root/autoinst.xmlが作成されます。このプロファイルを使って、このインストールの複製を作成することができます。自動インストールファイルを最初から作成したり、既存のものを編集するには、YaSTモジュール[自動インストール]を使用します。AutoYaSTの詳細については、セクション 21.0, 自動インストールを参照してください。

4.4.2 ネットワークインタフェースの設定

重要: ネットワークインタフェースの設定

ここで説明するすべての設定は、インストール時に使用されるネットワークインタフェースのみに適用されます。インストールされたシステムで追加のネットワークインタフェースを設定するには、 17.6項 「ネットワークの手動環境設定」の指示に従ってください。

Hostname=zseries.example.com

完全修飾ホスト名を入力します。

Domain=example.com

DNSのドメインサーチパス完全修飾ホスト名ではなく短いホスト名を使用できます。

HostIP=192.168.1.2

設定するインタフェースのIPアドレスを入力します。

Gateway=192.168.1.3

使用するゲートウェイを指定します。

Nameserver=192.168.1.4

サービスを提供するDNSサーバを指定します。

InstNetDev=osa

設定するインタフェースタイプを入力します。使用できる値は、osahsictcesconiucvです。(CTC、ESCON、およびIUCVは公式にはサポートされなくなりました)。

インタフェースタイプがhsiおよびosaの場合は、適切なネットマスクとオプションのブロードキャストアドレスを次のように指定します。

Netmask=255.255.255.0
Broadcast=192.168.255.255

インタフェースタイプが、ctcesconiucvの場合は(CTC、ESCON、IUCVは公式にはサポートされなくなりました)、ピアのIPアドレスを次のように入力します。

Pointopoint=192.168.55.20
OsaInterface=<lcs|qdio> OsaMedium=<eth|tr>

osaネットワークデバイスの場合は、ホストインタフェース(qdioまたはlcs)と物理メディア(イーサネットの場合はeth、トークンリングの場合はtr)を指定します。

Layer2= <0|1>

osa QDIOイーサネッ デバイスの場合は、OSIレイヤ2サポートを有効にするかどうかを指定します。

PortNo=<0|1>

osaネットワークデバイスには、ポート番号を指定します(デバイスがこの機能をサポートしている場合)。指定されていない場合、デフォルトで0に設定されます。

それぞれのインタフェースで、次のように特定の設定オプションが必要になります。

  • インタフェースctcおよびescon(CTCおよびESCONは、公式にはサポートされなくなりました):

    ReadChannel=0.0.0424
    WriteChannel=0.0.0425

    ReadChannelは、使用するREADチャネルを指定します。WriteChannelは、WRITEチャネルです。

  • ctcインタフェース(公式にはサポートされなくなりました)の場合は、次のように、このインタフェースに使用する必要があるプロトコルを指定します。

    CTCProtocol=<0/1/2>

    有効なエントリは次のとおりです。

    0

    OS/390およびz/OS以外の非Linuxピアにも有効な互換モード(デフォルトモード)

    1

    拡張モード

    2

    OS/390およびz/OSに使用する互換モード

  • インタフェースlcs付きのネットワークデバイスタイプosa:

    ReadChannel=0.0.0124
    Portname=1

    ReadChannelは、この設定で使用されるチャネル番号を表します。2番目のポート番号をここから取得するには、ReadChannelに1を追加します。Portnumberを使用して、相対ポートを指定します。

  • インタフェースiucv:

    IUCVPeer=PARTNER

    ピアコンピュータの名前を入力します。

  • OSA-Express Gigabit EthernetおよびOSA-Express High-Speed Token Ring用のインタフェースqdio付きのネットワークデバイスタイプosa:

    ReadChannel=0.0.0524
    WriteChannel=0.0.0525
    DataChannel=0.0.0526
    Portname=FEF400

    ReadChannelでは、READチャネルの番号を入力します。WriteChannelでは、WRITEチャネルの番号を入力します。DataChannelは、DATAチャネルを指定します。Portnameでは、適切なポート名を入力します。READチャネルに偶数のデバイス番号が設定されていることを確認します。

  • HiperSocketおよびVMゲストLAN用のインタフェースhsi:

    ReadChannel=0.0.0624
    WriteChannel=0.0.0625
    DataChannel=0.0.0626

    ReadChannelでは、READチャネルの適切な番号を入力します。WriteChannel および DataChannel では、WRITEチャネル番号とDATAチャネル番号を入力します。

4.4.3 インストールソースとYaSTインタフェースの指定

Install=nfs://server/directory/DVD1/

使用するインストールソースの場所を指定します。使用できるプロトコルは、nfssmb(Samba/CIFS)、ftphttpです。

ftpまたはsmbURLを指定する場合は、URLとともにユーザ名およびパスワードを指定します。これらのパラメータは任意に指定します。指定しない場合は、匿名またはゲストログインが想定されます。

Install=ftp://password@server/directory/DVD1/

SambaまたはCIFSインストールの場合は、次のように、使用する必要があるドメインを指定することもできます。

Install=smb://workdomain;password@server/directory/DVD1/
UseSSH=1UseVNC=1Display_IP=192.168.42.42

指定するパラメータに応じて、リモートXサーバ、SSH、またはVNCがインストールに使用されます。UseSSH は、SSHインストールを有効にし、 UseVNC はインストールコンピュータ上でサーバを起動します。また、 Display_IP を指定すると、インストールシステムによって、指定されたアドレスのXサーバへの接続が試行されます。これらのパラメータのうちの1つのみを随時設定する必要があります。

重要: X認証メカニズム

X Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づくプリミティブな認証メカニズムに依存します。このメカニズムは、現在のSUSE Linux Enterprise Serverバージョンでは無効化されています。SSHまたはVNCによるインストールが推奨されています。

YaSTとリモートXサーバ間の接続を可能にするには、リモート側でインストール先コンピュータのアドレスを指定して、xhost<IP address>を実行します。

VNCの場合は、次のように、インストールに使用する6~8文字のパスワードを指定します。

VNCPassword=<a password>

SSHの場合は、次のように、インストールに使用する6~8文字のパスワードを指定します。

SSHPassword=<a password>

4.4.4 parmfileの例

LPARのAutoYaSTで自動インストールするには、parmfileに長い1行のみが存在することが望ましいです。読みやすくするために複数の行が必要な場合は、各行の最初と最後に空白を使用します。parmfileの最大行数は、10です。

コンソールでエラーメッセージを受け取るには、次のコードを使用します。

linuxrcstderr=/dev/console

例 4-15 NFS、VNC、IUCV、およびHTTPによるAutoYaSTを使用したインストール用のparmfile

ramdisk_size=131072 root=/dev/ram1 ro init=/linuxrc TERM=dumb 
instnetdev=iucv iucvpeer=ROUTER01 pointopoint=192.168.0.1 
hostip=192.168.0.2 
nameserver=192.168.0.3
install=nfs://192.168.0.4/SLES/SLES-11-s390x/DVD1
autoyast=http://192.168.0.5/autoinst.xml 
linuxrcstderr=/dev/console usevnc=1
vncpassword=testin

例 4-16 NFS、SSH、HSI、およびNFSによるAutoYaSTを使用したインストール用のparmfile

ramdisk_size=131072 root=/dev/ram1 ro init=/linuxrc TERM=dumb
AutoYast=nfs://192.168.1.1/autoinst/s390.xml
Hostname=zseries.example.com HostIP=192.168.1.2
Gateway=192.168.1.3 Nameserver=192.168.1.4
InstNetDev=hsi layer2=0
Netmask=255.255.255.128 Broadcast=192.168.1.255
readchannel=0.0.702c writechannel=0.0.702d datachannel=0.0.702e
install=nfs://192.168.1.5/SLES-11-s390x/DVD1/
UseSSH=1 SSHPassword=testing linuxrcstderr=/dev/console