12.1 iSNSのしくみ

iSCSIイニシエータがiSCSIターゲットを検出するには、ネットワークのどのデバイスがストレージリソースで、アクセスするにはどのIPアドレスが必要かを特定する必要があります。iSNSサーバへクエリすると、iSCSIターゲットとイニシエータがアクセス許可を持つIPアドレスのリストが返されます。

iSNSを使用してiSNS検出ドメインと検出ドメインセットを作成します。次に、iSCSIターゲットとイニシエータを検出ドメインにグループ化またはまとめて、検出ドメインを検出ドメインセットにグループ化します。多くのストレージノードを複数のドメインに振り分けることで、各ホストの検出プロセスをiSNSで登録された最適なターゲットのサブセットに限定でき、これによって、不要な検出を削減し、各ホストが検出関係の確立に費やす時間を制限することで、ストレージネットワークの規模を調整できるようになります。このようにして、ディスカバリ対象のターゲットとイニシエータの数を制御し、簡略化できます。

図 12-1 iSNS検出ドメインと検出ドメインセット

iSCSIターゲットとiSCSIイニシエータは両方とも、iSNSクライアントを使用して、iSNSプロトコルによるiSNSサーバとのトランザクションを開始します。iSCSIターゲットとiSCSIイニシエータは、次にデバイス属性情報を共通検出ドメインに登録し、その他の登録されたクライアント情報をダウンロードし、検出ドメインで発生したイベントの非同期通知を受け取ります。

iSNSサーバは、iSNSプロトコルクエリとiSNSクライアントがiSNSプロトコルを使用して作成した要求に応答します。iSNSサーバはiSNSプロトコル状態変更通知を開始し、登録要求から送られてきた適切に認証された情報をiSNSデータベースに保存します。

Linux向けiSNSには、次のようなメリットがあります。

次のシナリオは、iSNSのメリットについて具体的に説明したものです。

100個のiSCSIイニシエータと100個のiSCSIターゲットが会社にあるとします。設定によっては、すべてのiSCSIイニシエータが100個のiSCSIターゲットを検出して接続しようとする可能性があります。このため、検出や接続が困難になる場合があります。イニシエータとターゲットをいくつかの検出ドメインにグループ化することで、ある部門のiSCSIイニシエータが別の部門のiSCSIターゲットを検出しないようにできます。その結果、特定部門のiSCSIイニシエータは、その部門の検出ドメインに属するiSCSIターゲットしか検出しません。