国際技術カンファレンス
「Linux Con Japan/Tokyo 2010」開催レポート
開発者、そしてマネジメントクラスの方へ~
「私は、2つの立場の方々に向けてお話したいと思います。まずは開発者の方々に向けて、そしてもうひとつはマネジメントの方々に向けて」と口火を切ったJamesは、その言葉どおり、開発者がどのようにOpen Sourceの世界に入り込んでゆけばよいか、他方、マネジメントクラスの人々が、Open Sourceをうまく利用して、経営効率をアップするためにはどうしたらよいのか、といった視点でのプレゼンテーションを、持ち前のユーモアを交えながら話した。
また、開発者がマネジメントクラスを説得するためにはどうしたらよいのか? あるいはマネジメントクラスにとって、Open Sourceで部下に開発を実施させることが、自分のキャリアデベロプメントにいかに有益であるか、といった踏み込んだアドバイスも。
───「いずれにせよ、Linuxはとても大きなマーケットへと成長しました。企業が利益を確保するためにも非常に有効な手段でもあります。Open Sourceのマネジメントキャリアは、自らの価値を上げることは間違いないのです。そのことを、社内外にも強くアピールできるでしょう」
日本固有の3つの問題点、その解決策は?
James氏のスピーチは終始フレンドリーでユニークなものだったが、聴講する人々の瞳は真剣そのもの。さらに、James氏は「昨年、このLinux Conで、日本の方々からいくつかの指摘をいただきました。その中で今日は3つのポイントにお答えしたいと思います。」と、日本固有の問題についても解決策を提示した。「一つ目は、組織構成上の障壁。
日本独特の組織形態により、Linux/Open Source に対し、経営層が前向きに検討できないという点。これに対する説得材料としては、組織では生産性を上げることが重要であり、Open Sourceで開発することによって、企業の知的財産を保持しつつ、生産性を上げられるのだ、ということを、経営層に理解してもらう必要があるでしょう。また、組織としても社員の自由度が担保されることが必要です。
次に、言語的な障壁。しかし、実は英語はさほど大きな障壁にはなりません。Emailでのやり取りは、会話よりもずっと理解しやすい英語で対話が進みます。辞書や他の人の智恵を借りることもできます。ネイティブだけのやりとりではないことを考慮して、英語もかなりシンプルな表現が用いられますから。
最後に、文化的な障壁。たとえば、メーリングリストは時にひどく炎上してしまうことがあります。表現も非常に辛らつなものが飛び交い、多くの日本の方々は、そこでしり込みしてしまうようです。これに対する解決策としては、文化的な違いを認識し、自分の居心地の良い場所を確保することです。テクニカルな、限定された領域でのみコメントしてゆけば、そう手ひどい炎上に出くわすことはないでしょう。」
GPL汚染は、恐れずに対処して◎
講演の途中、GPL問題については、質問も飛び交い、それぞれの懸念点を出し合う場面も。James氏は「GPLも使いようです。ガソリンが、大きな出火を起こすというデメリットももちつつ、動力へのエネルギー供給として非常に有益であるのと同様で、GPLでの汚染を恐れるのではなく、適切に使うことでメリットを享受できるということも、理解してもらいたい」と語った。
最後に「Open Sourceの未来は、開発者である皆さんにかかっています。Open Sourceの世界ではコミュニティが活性化し、イノベーションのコストも速度も、得るものが大きいことを、もっと経営層に上手にアピールしてください」と、James氏はにこやかに締めくくった。
今回の来日では、箱根や、鎌倉にも足を伸ばし、トレッキングを楽しんだというJames氏。「今回の箱根では、温泉には行かなかったから、次はチャレンジしてみようかな(笑)」と、プレゼンテーションシートの最終ページには、自らの撮影した「日本の断片」も、さりげなく披露していた。


