第9章

共同オーサリングのためのexteNd DirectorによるWebDAVクライアントの使用

この章では、WebDAV (Web分散型オーサリングおよびバージョニング)通信プロトコルをサポートするexteNd Director WebDAVサブシステムについて説明します。このプロトコルを使用すると、WebDAVサブシステムにより、サードパーティまたはカスタムのWebDAVクライアントアプリケーションからexteNd Director CM (コンテンツ管理)サブシステムのサーバ側のコンテンツにアクセスできます。

この章では、次のトピックについて説明します。

 
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WebDAVとは

WebDAVプロトコル」は、HTTP (ハイパーテキスト転送プロトコル)を拡張して、Web上で非同期的な共同オーサリングをサポートします。

WebブラウザがWebサーバと通信できるようにする標準プロトコルとして、HTTPは、ユーザが読み取り専用の情報として個々の静的なドキュメントを表示してダウンロードできるようにすることにより、Webを読み取り可能なメディアに変換します。ただし、Web上で複数のリソースを同時に編集する場合などの書き込み操作のサポートについては、HTTPでは不十分です。

WebDAVは、分散型の書き込み可能なWeb環境を作成する拡張機能をHTTPに与えることにより、一歩先の段階に進みました。WebDAVを使用すると、複数のユーザは、WebDAVに対応したオーサリングツールを使用してローカルまたはリモートでコンテンツを作成し、HTTPサーバ上でURLに直接コンテンツを保存できます。

この節では、WebDAVの概要について簡単に説明します。

For more information    WebDAVの詳細については、Webサイトでrfc2518 (WebDAVの仕様)を検索してください。この章の発行時点では、次のURLに便利な情報が記載されています。

 
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分散型Webオーサリングの情報要素

WebDAVプロトコルは、分散型Webオーサリングで使用される重要な情報要素であるWebの「リソース」、「コレクション」、および「プロパティ」で動作するメソッドを提供します。

要素

定義

リソース

Webサーバで保存される情報で、その場所はURLにより記述されます。

Webページ、ドキュメント、およびビットマップイメージ

コレクション

他のコレクションを含め、他のリソースのコンテナとして使用されるリソース。コレクションにより、リソースのグループ化および検索のパラダイムが提供されます。

フォルダおよびディレクトリ

プロパティ(メタデータ)

Webのリソースに関連付けられていても、そのコンテンツの一部として保存されていない記述的な情報。

作成者、タイトル、発行日、および有効期限

 
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HTTPに対するWebDAVの拡張機能

分散型オーサリングツールで使用できる一連のオープン標準を利用して、WebDAVプロトコルではHTTPに拡張機能を提供します。拡張機能により、共同オーサリングの次のような重要な要件がWebでサポートされます。

オーサリング要件

WebDAVによる要件への対応

上書き防止

書き込み操作に対してリソースロックを提供することにより、複数の作成者がコンテンツに同時にアクセスすることを制御します。

プロパティ

プロパティを作成、変更、読み取り、および削除するためのメソッドを提供します。

名前空間の操作

URLの名前空間内で名前およびディレクトリを操作することにより、複数のWebリソースをコピーおよび移動することをサポートします。

コレクション

コレクションを作成および削除するためのメソッド、コレクションにメンバを追加するためのメソッド、コレクションからメンバを削除するためのメソッド、およびコレクションのメンバをリストするためのメソッドを提供します。

バージョン管理

後に取得するために、リソースリビジョンの保存領域をサポートします。自動バージョニング機能により、リソースへの今後の変更は記録されます。

アクセス制御

特定の認証されたプリンシパルのアクセス権を指定したリソースに制限します。

 
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exteNd DirectorのWebDAVサポートについて

exteNd DirectorWebDAVサブシステムは、WebDAVに対応した任意のクライアントアプリケーションで機能するように設計されています。

WebDAVに対応したオーサリングツールとの連携動作   exteNd Director WebDAVサブシステムをインストールすると、WebDAVに対応した希望のオーサリングツールでコンテンツを作成し、チェックイン、チェックアウト、バージョニングなどのexteNd Director CMサブシステムの標準的なドキュメント管理機能を依然としてサーバで利用できます。

WebDAVクライアントAPIを含める   ほとんどのサードパーティWebDAVクライアントでは、これらの標準的なドキュメント管理機能をサポートしていますが、カスタムテンプレートを使用したカテゴリ化やドキュメント作成のようなCMサブシステムの洗練された機能はサポートしていません。このギャップを埋めるために、WebDAVサブシステムには、独自のクライアントアプリケーションからこれらのカスタム機能にアクセスするためのクラスおよびメソッドを提供するWebDAVクライアントAPIが含まれています。

For more information    WebDAVクライアントAPIの詳細については、を参照してください。

 
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exteNd Director WebDAVサブシステムで実行できる操作

WebDAVサブシステムをインストールする場合、WebDAVクライアントアプリケーションからは、リモートで次の機能を実行できます。

WebDAVに対応したクライアントにより、これらの機能はさまざまな方法で実装されます。WebDAVプロトコルで特定のサードパーティのツールを使用する方法を学習するには、ご使用のクライアントのマニュアルを参照してください。

For more information    exteNd DirectorでサポートされているWebDAVのメソッドの詳細については、サポートされているWebDAVメソッドを参照してください。

 
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exteNd DirectorによってWebDAVクライアントからコンテンツが保存される方法

サードパーティのWebDAVクライアントを使用して作成したコンテンツをexteNd Directorのコンテンツリポジトリに保存すると、そのコンテンツはシステムリソースとして保存されます。リポジトリでは、コンテンツとともにプロパティ(またはメタデータ)のデフォルトのセットを保存することによって、システムリソースを処理します。プロパティと、デフォルト値が割り当てられる方法については、次の表のとおりです。

プロパティ

デフォルト値

名前

ファイルの名前(指定されている場合は拡張子付き)

注記:   WebDAVクライアントの一部では、適切なコンテンツエディタを示すために、ファイルの拡張子を指定する必要があります。

筆者

ログインしているユーザのID

作成日

アップロードされた日付

抽象

なし

発行日

Null (つまり、すぐに発行されます)

有効期限

Null (つまり、無期限です)

チェックアウト者

なし

exteNd Director CMサブシステムでは、これらのプロパティの値をプログラム的またはCMS管理コンソールを使用して変更または割り当てることができます。WebDAVに対応したオーサリングツールの一部では、クライアント側でプロパティの値を編集できます。

For more information    CMS管理コンソールの使用方法についての詳細は、を参照してください。

コンテンツは、システムリソースとして保存されている場合、CMサブシステムで定義されているカスタムのドキュメントタイプまたはカテゴリと関連付けることはできません。CMサブシステムのこれらの機能を使用してより密接に統合されたコンテンツを作成するには、次を実行します。

 
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exteNd DirectorによってWebDAVクライアントからコンテンツがセキュリティ保護される方法

exteNd Director WebDAVサブシステムでは、有効なユーザIDおよびパスワードをWebDAVクライアントに提供する必要があります。これらの値は、コンテンツリポジトリの安全なコンテンツにWebDAVクライアントからアクセスしようとする場合にアクセス権限を認証するために使用されます。

読み取りアクセスが割り当てられていないリソースはユーザに表示されません。

For more information    詳細については、クライアントの設定を参照してください。

 
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exteNd DirectorによってWebDAVクライアントのバージョニングが管理される方法

WebDAVクライアントによってサーバからリソースが要求されると、WebDAVサブシステムでは、コンテンツリポジトリから最新バージョンを返します(発行されたバージョンとは限りません)。たとえば、コンテンツの発行されたバージョンが最新バージョンではない場合、WebDAVクライアントでは、そのバージョンを取得できません。

WebDAVクライアントによってリソースがアップロード、チェックインされると、WebDAVサブシステムでは、コンテンツリポジトリで新しいバージョンを作成、発行します。

 
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exteNd Director WebDAVサブシステムのインストール

EARウィザードを使用してexteNd Directorでプロジェクトを作成する場合は、WebDAVサブシステムをインストールします。

Procedure WebDAVサブシステムをインストールする

  1. exteNd Directorがインストールされていることを確認します。

  2. 『exteNd Directorアプリケーションの開発』で、exteNd Directorアプリケーションの設定および展開に関する章に説明されている新しいexteNd Director EARプロジェクトの作成手順に従います。

    このプロセスでは、次の2つの設定オプションから選択できます。[標準]および[カスタム]です。[標準]設定を選択した場合、WebDAVサブシステムはexteNd Director EARの一部として、次のデフォルト値で自動的にインストールされます。

    パラメータ

    デフォルト

    サービスコンテキストルート

    WebDAVService

    サーブレットパス

    main

    更新操作にロックを要求する

    無効

    [カスタム]設定を選択した場合はWebDAVサブシステムを明示的に含め、必要に応じてこれらのパラメータをカスタマイズする必要があります。

  3. EAR プロジェクトを作成した後、[アーカイブレイアウト]を選択して、WebDAVService.warを検索します。

  4. WebDAVService.warを拡張し、WEB-INF/libに移動して、WebDAVService.jarをダブルクリックすると、exteNd Director EARプロジェクトにインストールしたWebDAVサブシステムのクラスが表示されます。

これで、WebDAVサブシステムをJ2EEアプリケーションサーバに展開する準備が整いました。

 
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exteNd Director WebDAVサブシステムの展開

WebDAVサブシステムは、WebDAVサブシステムが存在するEARを展開することによって展開します。

 
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展開の前に

exteNd Director WebDAVサブシステムを展開する前に、次のソフトウェアをインストールする必要があります。

Novell exteNdTM Application Serverに展開する場合は、新しい(空の)データベースも作成する必要があります。

For more information    サポートされているアプリケーションサーバおよびデータベースのリストについては、exteNd Director リリースノートを参照してください。

 
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クライアントの設定

WebDAVサブシステムを展開した後、WebDAVに対応したクライアントをexteNd Directorコンテンツリポジトリに接続できます。この接続を確立するには、次のパラメータをクライアントに提供する必要があります。

For more information    WebDAVプロトコルを使用してこれらのパラメータを提供し、サイト(この場合はexteNd Directorコンテンツリポジトリ)に接続する方法を学習するには、クライアントのマニュアルを参照してください。

 
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サポートされているWebDAVメソッド

exteNd Director WebDAVサブシステムでは、次のWebDAVメソッドをサポートしています。WebDAVに対応したオーサリングツールからこれらの機能を実行する方法を学習するには、クライアントのマニュアルを参照してください。

メソッド

説明

PROPFIND

サーバからリソースおよびコレクションのプロパティを取得します。通常、このアクションはユーザに透過的です。WebDAVクライアントツールでは、このメソッドを使用して名前、(リソースの)タイプ、変更日、チェックアウト者などのプロパティを取得、表示します。

PROPPATCH

Request-URIにより識別されたサーバ側のリソースおよびコレクションのプロパティを設定または削除、あるいはその両方を実行します。通常、このアクションはユーザに透過的です。WebDAVクライアントツールでは、このメソッドを使用して名前、(リソースの)タイプ、変更日、チェックアウト者などのプロパティを変更します。

COPY

名前を衝突させることなく、プロパティも含めてサーバのリソースおよびコレクションをコピーします。コレクションをコピーすると、そのメンバもすべてコピーされます。

DELETE

サーバのリソースおよびコレクションを削除します。

GET

Request-URIにより識別されたリソースおよびコレクションをサーバから取得します。WebDAVに対応したクライアントの一部では、サーバからダウンロードする前にリソースを自動的にチェックアウトします。その他のクライアントでは、まずリソースをチェックアウトし、それから取得するという2つの異なる操作を実行する必要があります。

HEAD

GETと同じように機能しますが、ヘッダ情報のみ(応答メッセージ本文なし)を取得します。

LOCK

Request-URIのlockinfo XML要素により指定されたロックを作成します。lockinfo要素によって、範囲、タイプ、およびロックの所有者が指定されます。exteNd Director CMサブシステムでは、1種類のロック、つまり排他的なロック(ペシミスティック同時実行を行うため)を使用します。

ロックの範囲は、リソース本体および関連付けられているプロパティを含め、リソースの状態すべてにわたります。

WebDAVに対応したクライアントの一部では、チェックアウト前にリソースを自動的にロックします。その他のクライアントでは、別の操作としてリソースを明示的にロックする必要があります。

UNLOCK

Request-URIのLock-Token要求ヘッダで識別されたロックを削除します。このアクションにより、ロックに含まれているすべてのリソースのロックが解除されます。

WebDAVに対応するクライアントの一部では、チェックイン後にリソースのロックを自動的に解除します。その他のクライアントでは、別の操作としてリソースのロックを明示的に解除する必要があります。

MKCOL

サーバでコレクションを作成します。

MOVE

名前を衝突させることなく、サーバのリソースおよびコレクションを移動します。

PUT

クライアントからサーバにリソースおよびコレクションをアップロードします。

OPTIONS

Request-URIで指定されたリソースおよびコレクションで呼び出すことができるすべてのメソッドを返します。たとえば、リソースがドキュメントの場合、OPTIONSによりLOCK、UNLOCK、OPTIONS、GET、PUT、MOVE、DELETE、COPY、PROPFIND、およびPROPPATCHが返されます。

 
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パブリックなWebDAVサーバ

Novellが提供するWebDAVサーバは、展開済みかつパブリックで使用でき、サーバに対してWebDAVクライアントをテストできます。このサーバはNovellWebDAV実装の機能を提供します。

警告:    運用アプリケーションにはこのサーバを使用しないでください。Novellでは、anonymousユーザによりアップロードされたコンテンツに対する責任を負いません。また、定期的にユーザのデータをパージします。

Procedure NovellパブリックWebDAVサーバにアクセスする(一般的な手順)

  1. 次のURLを使用して、WebDAVクライアントからサーバにアクセスします。

      http://webdav.silverstream.com/Director/WebDAVService/main
    
  2. 指示に従って、次の資格情報を入力します。

    資格情報

    ユーザID

    devcenter

    パスワード

    rocks

Procedure Windows 2000 SP2クライアントからNovellパブリックWebDAVサーバにアクセスする

  1. [マイネットワーク]を起動します。

  2. [ネットワークプレースの追加]をダブルクリックします。

    ネットワークプレースの追加ウィザードが表示されます。

  3. パブリックなWebDAVサーバのURLを入力します。

      http://webdav.silverstream.com/Director/WebDAVService/main
    

    ウィザードによって資格情報を指定するように求められます。

  4. 指示に従って、次の資格情報を入力します。

    資格情報

    ユーザ名

    devcenter

    パスワード

    rocks

  5. [OK]をクリックします。

    ウィザードによってサーバの接続名を指定するように求められます。

  6. 名前(たとえばPublic WebDAV Server)を入力して、[完了]をクリックします。

    パブリックなWebDAVサーバへの接続が確立されます。



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