2.0 Novell SecureLoginによるNovell資格情報プロビジョニングポリシー

Novell®資格情報プロビジョニングポリシーを使用することで、SecureLogin®がサポートするアプリケーション資格情報を自動的にプロビジョニングできます。この項では、Identity Manager内のオブジェクトとポリシーを設定するために必要な手順について記載しています。SecureLoginコンポーネントの展開および設定についての情報は含まれていません。SecureLoginのマニュアルについては、Novell SecureLogin 6.0マニュアルWebサイトを参照してください。

SecureLoginを用いて資格情報プロビジョニングを実装するには、リポジトリオブジェクト、アプリケーションオブジェクト、およびポリシーが必要です。リポジトリとアプリケーションのオブジェクトには、Identity Managerが使用できるようにSecureLoginの情報が格納されます。ポリシーは、ドライバで資格情報プロビジョニングを使用できるようにするために使用されます。詳細については、セクション 3.0, Novell SecureLoginによるNovell資格情報プロビジョニングポリシーの実装を参照してください。

次のオプションも設定できます。

パスワードのランダム生成機能を使用して、接続システム上のユーザアカウントのパスワードを設定し、識別情報管理環境のセキュリティをさらに高めることができます。詳細については、『Novell Identity Manager 3.5.1管理ガイド』でパスワードのランダム生成機能の使い方を参照してください。

図 2-1は、一般的なシナリオを簡略に示しています。このシナリオでは、財務部のSAP* 財務アプリケーションの新規ユーザに対し、SecureLogin資格情報をプロビジョニングしています。SAPアプリケーションでは、通常のアプリケーションで指定する一般的なユーザ名とパスワードのほかにもログインパラメータが必要です。そのため、この例では、SAPユーザのプロビジョニングを使用しています。

この部署では、SAP HRシステムとIdentity Managerを使用して、識別ボールト内に新しいユーザをプロビジョニングします。組織の情報に基づき、ユーザオブジェクトはActive Directory*内に実装された部署の認証ツリー内にプロビジョニングされます。ここが新しいユーザがネットワークに対して認証される場所であり、SecureLogin資格情報のリポジトリの場所になります。続いて、Identity Managerによって、ユーザはさまざまなFinanceアプリケーションに対しプロビジョニングされ、それらのシステムの資格情報は、Active Directory内のSecureLoginストアに同期されます。

図 2-1は、ユーザGlenの認証資格情報がプロビジョニングされているところを示しています。Glenが自分の部署のActive Directory認証ドメインに対して認証を実行し、SecureLoginクライアントを起動すると、SAPの財務アカウントへSingle Sign-Onできます。このとき、システムのパスワードを入力したり、記憶している必要さえありません。

図 2-1 SecureLoginによる資格情報プロビジョニング

図 2-1は、以下の手順を示しています。

  1. SAP HRシステムが、新入社員Glen Canyonのデータを発行します。Identity ManagerのSAP HPドライバが、このデータを処理します。

  2. Cn値「GCANYON」およびworkforceID値「50024222」を持つ新しいユーザオブジェクトが、識別ボールト内に作成されます。このユーザは、会社の財務組織に割り当てられているため、finance.prod.testco.comドメインにある財務部のActive Directoryサーバで認証を受ける必要があります。ドメインを同期するIdentity ManagerのActive Directoryドライバは、識別ボールトの情報を使用するようになりました。

  3. Glenは、Finance部のActive Directoryサーバにプロビジョニングされます。

  4. このドライバは、Glenの完全識別LDAP名「 CN=GLCanyon,OU=finace,dc=prod,dc=testco,dc=com」を取得するように設定されます。

  5. ドライバは、この名前を識別ボールト内のGCANYONユーザのDirXML-ADContext属性に配置します。

    これで、識別ボールト内で必要な属性が使用できるようになったので、SAPユーザ管理ドライバによって、GCANYONオブジェクトの属性が処理されます。

  6. GlenはFinance組織に所属するため、ドライバはSAP Financeサーバ上あるSAPユーザアカウントのGCANYONに対してプロビジョニングを行います。

  7. アカウントの作成が成功すると、SAPユーザ管理ドライバのポリシーによって、GlenのSAP認証資格情報がこのユーザのADユーザアカウントにプロビジョニングされます。コマンドが「追加」操作であるため、ポリシーはSecureLoginパスフレーズの質問と回答もプロビジョニングします。