OpenOffice.org Writerは、ページおよび文字列の書式設定機能も含め、豊富な機能を持つワードプロセッサです。Writerのインタフェースは、他の一般的なワードプロセッサと似ています。また、通常、高価なDTPアプリケーションにしかないような機能も用意されています。
ここでは、Writerの主な機能について取り上げます。Writerの機能の詳細や使用方法については、OpenOffice.orgのヘルプや、「セクション 3.8, OpenOffice.orgに関するヘルプと情報の検索」に記載されているソースを参照してください。
メモ:ここで説明している情報は、他のOpenOffice.orgモジュールにも適用されます。たとえば、Writerでスタイルを使用する場合と同様に、他のモジュールでもスタイルを使用することができます。
新しい文書を作成するには、次の2種類の方法があります。
最初から文書を作成する場合は、の順に選択します。
作成する文書に標準形式や定義済みの形式を使用する場合は、ウィザードを使用します。ウィザードは小さなユーティリティで、基本的な決定を行うと、テンプレートからレディメードの文書が作成されます。たとえば、ビジネスレターを作成する場合は、の順に選択します。ウィザードのダイアログを使用すれば、標準書式を使用する基本文書を簡単に作成できます。ウィザードのダイアログのサンプルは、「図 3-2」にあります。
図 3-2 OpenOffice.orgウィザード
必要に応じて文書ウィンドウにテキストを入力します。ツールバーまたはメニューを使用して文書の外観を調整します。メニューまたはツールバーの該当するボタンを使用して、文書を印刷または保存します。メニューのオプションを使用すれば、文書にテーブル、画像、図などの項目を追加できます。
Writerを使って、他のさまざまなワードプロセッサで作成されたドキュメントを編集できます。たとえば、Microsoft Word文書をインポートして編集し、再びWord文書として保存することができます。大部分のWord文書は、OpenOffice.orgに問題なくインポートできます。また、書式やフォントなど、ドキュメント中の情報も同じように保持されます。ただし、複雑な表、Wordマクロ、または特殊なフォントや書式などを含むドキュメントの場合は、インポートした後にドキュメントを修正しなければならないこともあります。OpenOffice.orgでは、ドキュメントを他の一般的なワードプロセッサのファイル形式で保存することができます。また、OpenOffice.orgで作成したドキュメントをWord形式のファイルとして保存し、それをMicrosoft Wordで開くこともできます。
そのため、頻繁にWordユーザとドキュメントを共有するような環境でも、ほとんど問題なく文書ファイルをやり取りすることができます。ファイルを開いて編集し、Wordファイルとして保存してください。
OpenOffice.orgでは、ドキュメント中のさまざまな要素や書式の一貫性を保つためにスタイルを利用することができます。利用できるスタイルの種類を以下に示します。
表 3-4 スタイルの種類について
ウィンドウ(以前のバージョンの)では、文字列、段落、ページ、枠、およびリストに対して、さまざまな書式のスタイルを適用することができます。このウィンドウを表示するには、 > の順にクリックします。OpenOffice.orgには、あらかじめ定義されたさまざまなスタイルが用意されています。これらのスタイルをそのまま利用したり、スタイルを変更したり、新しいスタイルを作成したりできます。
ヒント:デフォルトでは、ウィンドウは個別のウィンドウに表示され、画面上の任意の場所に移動することができます。スタイルを頻繁に使用する場合など、常にこのウィンドウを一定の場所に配置したい場合は、このウィンドウをWriterウィンドウにマージできます。ウィンドウをマージするには、Ctrlキーを押しながら、ウィンドウの灰色の領域をダブルクリックします。この方法は、ナビゲータも含め、OpenOffice.org中の他の一部のウィンドウでも利用できます。
スタイルを適用するには、スタイルを適用する要素を選択してから、ウィンドウ中の適切なスタイルをダブルクリックします。たとえば、ある段落にスタイルを適用する場合は、その段落中の任意の場所にカーソルを移動してから、目的のスタイルをダブルクリックします。
メニューのオプションやボタンを使うかわりにスタイルを利用すれば、ページ、段落、文字列、およびリストの一貫性を保ちながら、後で簡単に書式を変更することができます。たとえば、ボタンをクリックして文字列を強調した場合、後で太字から斜体に変更しようと思ったら、太字の箇所を1つ1つ探して手動で変更しなければなりません。文字スタイルを使えば、そのスタイルの書式定義を太字から斜体に変更するだけで、その書式を適用したすべての文字列が、太字から斜体に変わります。
メニューオプションやボタンによる書式設定は、適用されているスタイルの設定に優先します。たとえば、ある文字列に対してボタンを使って書式を設定し、他の文字列にはスタイルを適用して太字を設定した場合、スタイルを変更してもボタンを使って書式が設定された文字列は変わりません。また、ボタンを使って太字にした文字列に、後からスタイルを適用しても、ボタンを使った太字の設定が優先されます。スタイルの設定を使うには、手動で太字の設定を解除してから、スタイルを適用する必要があります。
同様に、、の順に選択して段落に書式を設定すると、段落間の書式設定に不整合が発生する可能性があります。特に、書式設定が違う他のドキュメント間で段落をコピー、貼り付ける場合などに、この問題が発生する可能性が高くなります。
スタイルを使えば、スタイルの内容を変更するだけで、ドキュメント全体に書式設定を反映させることができます。ドキュメント中の各部の書式を個別に変更していく必要はありません。
ウィンドウで、変更するスタイルを右クリックします。
をクリックします。
選択したスタイルの設定を変更します。
設定可能な項目の詳細は、OpenOffice.orgオンラインヘルプを参照してください。
をクリックします。
OpenOffice.orgには、さまざまな用途に適したスタイルがあらかじめ用意されています。また、ユーザのニーズに合わせて、新しいスタイルを作成することもできます。新しいスタイルを作成するには、次の手順に従います。
ウィンドウの、空の領域を右クリックします。
この操作は、作成するスタイルの種類に合ったスタイルのリストが表示されている状態で行ってください。たとえば、文字スタイルを作成する場合は、ウィンドウに文字スタイルのリストを表示してください。
をクリックします。
をクリックします。
作成したスタイルに名前を付け、そのスタイルで適用したい設定を選択します。
各タブで設定できるオプションの詳細を表示するには、該当するタブをクリックしてから、をクリックします。
一般的に、ワードプロセッサを利用するユーザは、さまざまな種類の文書を作成します。たとえば、レター、メモ、およびレポートを作成する場合。これらのドキュメントはそれぞれ外観も違えば、使う書式やスタイルも異なります。このような場合、それぞれの用途に応じたテンプレートを作成しておけばドキュメントの種類に応じた適切な書式設定/スタイルを手軽に利用することができます。
テンプレートを作成する場合、あらかじめ検討しておかなければならないことがいくつかあります。たとえば、テンプレートで使うスタイルを作成するために、ドキュメントの外観をどのようにするかを決める必要があります。テンプレートは後でいつでも変更できますが、あらかじめこのような事柄を検討しておけば、後の時間や手間を節約できます。
メモ:また、Word文書と同様に、Microsoft WordテンプレートをOpenOffice.orgのテンプレートに変換することもできます。詳細については、「OpenOffice.org形式への文書の変換」を参照してください。
テンプレートに関する詳細な説明は、このセクションでは触れません。詳細については、ヘルプを参照してください。また、OpenOffice.orgのドキュメントWebサイトにも役に立つ情報や資料が用意されています。
テンプレートは、スタイルと他の必要な要素だけが用意されているドキュメントです。たとえば、レター用テンプレートには、自分の住所や氏名などを記載するレターヘッドなど、レターで使用するスタイルを定義します。テンプレートを使用してドキュメントを作成、または開く場合、そのドキュメントには、定義されているスタイルが自動的に適用されます。
テンプレートを作成するには、次の手順に従います。
、、の順にクリックします。
任意の文書で使用したいスタイルと内容を作成し、このテンプレートを使用します。
、、の順にクリックします。
テンプレートの名前を入力します。
ボックスから、このテンプレートを保存するカテゴリをクリックします。
カテゴリは、テンプレートを保存するフォルダです。
をクリックします。
Writerを使って大きな文書を作成、編集したり、他の作業を行うことができます。大きな文書は、単一のファイルのこともあれば、複数のファイルから1つの文書が成り立っていることもあります。
ナビゲータには、文書の内容についての情報が表示されます。また、このツールを使って、ドキュメント内の別の部分に素早く移動することもできます。たとえば、ナビゲータを使って文書に含まれているイメージのリストを表示することができます。
ナビゲータを表示するには、の順にクリックします。Navigatorに表示される要素は、Writerにロードされている文書によって異なります。
図 3-3 Writerのナビゲータツール
ナビゲータ中の項目をクリックすると、文書内の該当する項目に移動します。
本などの、大きな文書を作成、編集する場合、その内容をすべて1つのファイルに保存する代わりに、複数のファイルを管理するマスタードキュメントを作成し、作業を簡素化することができます。マスタードキュメントを利用すれば、大きな文書に素早く書式を設定したり、個々のサブドキュメントに移動して編集することができます。
Writerのマスタドキュメントは、複数のWriterファイルを保管するコンテナとしての役割を果たします。たとえば、章単位にファイルを作成し、それをまとめてマスタドキュメントに保管、管理することができます。マスタドキュメントは、単一の文書に対して複数のユーザが共同作業を行うような場合にも役立ちます。このような場合、各ユーザの担当範囲に応じて文書を分割し、それをマスタドキュメントで管理すれば、複数の担当者が同時に文書に対して作業を行うことができます。他のユーザの妨げになることはありません。
メモ:Microsoft WordからOpenOffice.orgに移行したユーザは、同じような機能であるWordのグループ文書では文書が壊れることがあるという評判を聞いて、マスタドキュメントの使用を躊躇されるかもしれません。OpenOffice.org Writerには、このような問題は存在していません。マスタドキュメントを使って安全に文書を管理できます。
マスタードキュメントを作成するには、次の手順に従います。
、の順にクリックします。
または
既存の文書を開いて、、、の順にクリックします。
サブ文書を挿入します。
、の順にクリックします。
OpenOffice.orgヘルププファイルには、マスタ文書での作業に関する詳細な情報が含まれています。「マスタドキュメントとサブドキュメントを使用する」を参照してください。
ヒント:サブドキュメントにあるスタイルは、すべてマスタドキュメントにインポートされます。マスタドキュメントで一貫した書式設定を利用するには、各サブドキュメントで同じテンプレートを使ってください。必ず同じテンプレートを使わなければならない訳ではありませんが、サブドキュメント間で書式設定が違っている場合、不整合になるのを防ぐために書式を再設定する必要があることもあります。たとえば、2つのサブドキュメント間で、同じ名前でも異なる書式が設定されたスタイルが使われている場合、それらをマスタドキュメントにインポートすると、最初にインポートされた文書のスタイルが使われます。
完全装備のワードプロセッサとしての機能のほかに、WriterにはHTMLエディタとしての機能があります。WriterにはHTMLタグが含まれています。このタグはWriter文書に他のスタイルを適用するときと同じように適用されます。オンラインに表示される状態でドキュメントを表示したり、HTMLコードを直接編集することができます。
、、の順にクリックします。
ウィンドウの下にある矢印をクリックします。
を選択します。
スタイルを使ってテキストにタグをつけ、HTML文書を作成します。
、の順にクリックします。
ファイルを保存したい場所を選択して、ファイルの名前を入力し、リストから]を選択します。
をクリックします。
HTMLコードを直接編集したい場合、または、HTMLファイルをWriter文書として編集したとき作成したHTMLコードを表示したい場合、、の順にクリックします。[HTML Source]モードでは、リストは利用できません。
メモ:まだHTMLドキュメントを保存していない状態で、初めてHTMLソースモードに切り替えると、ファイルの保存を求めるダイアログが表示されます。