2.2 SLES 11の新機能

このセクションで示す機能および動作の変更は、SUSE® Linux Enterprise Server 11リリース用です。

2.2.1 EVMS2の廃止予定

EVMS2 (Enterprise Volume Management Systems)ストレージ管理ソリューションは、廃止されます。すべてのEVMS管理モジュールが、SUSE Linux Enterprise Server 11パッケージから削除されました。システムをアップグレードすると、ご利用になっているEVMS管理デバイスがLinux Volume Manager 2 (LVM2)によって自動認識され、管理されます。詳細については、「SUSE Linux Enterpriseのストレージとボリューム管理の進化」を参照してください。

SUSE Linux Enterprise Server 10上でのEVMS2の管理についての詳細については、『SUSE Linux Enterprise Server 10 SP3: ストレージ管理ガイド』を参照してください。

2.2.2 デフォルトファイルシステムとしてのExt3

Ext3ファイルシステムは、インストール時およびファイルシステムの作成時にYaSTツールで推奨されるデフォルトファイルシステムとして、ReiserFSに置き換わっています。ただし、ReiserFSもまだサポートされています。詳細については、「SUSE Linux Enterprise 10 File System Support(SUSE Linux Enterprise 10ファイルシステムのサポート)」のWebページの「ファイルシステムの将来的な方向性」を参照してください。

2.2.3 JFSファイルシステムの廃止予定

JFSファイルシステムのサポートが終了しました。JFSユーティリティが配布から削除されました。

2.2.4 OCFS2ファイルシステムを高可用性リリースに追加

SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionの一部として、OCFS2ファイルシステムが完全にサポートされるようになりました。

2.2.5 /dev/disk/by-nameの廃止予定

SUSE Linux Enterprise Server 11パッケージでは、/dev/disk/by-nameパスが廃止予定です。

2.2.6 /dev/disk/by-idディレクトリで継続的に有効なデバイス名

SUSE Linux Enterprise Server 11では、デフォルトのマルチパスセットアップはudevを使用して、マルチパス処理の開始時に/dev/disk/by-idディレクトリ内の既存のシンボリックリンクを上書きします。マルチパス処理開始前のシンボリックリンクは、SCSIデバイスをそのscsi-xxx名でポイントします。マルチパス処理実行中のシンボリックリンクは、SCSIデバイスをそのdm-uuid-xxx名でポイントします。これにより、マルチパス処理が開始したかどうかに関わりなく、/dev/disk/by-idパス内のシンボリックリンクは、継続的に同じデバイスをポイントすることができます。自動的に正しいデバイスを指すので、設定ファイル(lvm.confmd.conf)を変更する必要はありません。

このような動作変更が他の機能に及ぼす影響の詳細については、次のセクションを参照してください。

2.2.7 マルチパスデバイスのフィルタ

/dev/disk/by-nameディレクトリの廃止によって(セクション 2.2.5, /dev/disk/by-nameの廃止予定で説明済み)、設定ファイル内のマルチパスデバイスのフィルタ設定方法に影響を及ぼします。/etc/lvm/lvm.confファイルでマルチパスデバイスフィルタに/dev/disk/by-nameデバイス名パスを使用していた場合は、/dev/disk/by-idパスを使用するようにファイルを変更する必要があります。by-idパスを使用するフィルタの設定では、次の点に注意してください。

  • /dev/disk/by-id/scsi-*デバイス名は継続的に有効で、この目的のために作成されました。

  • フィルタに/dev/disk/by-id/dm-*という名前は使用しないでください。これらはデバイスマッパーデバイスへのシンボリックリンクで、pvscanコマンドに対して重複したPVを報告することになります。名前がLVM-pvuuidからdm-uuidに変更され、再度LVM-pvuuidに戻るように見えます。

フィルタの設定については、セクション 7.2.3, マルチパスデバイスでのLVM2の使用を参照してください。

2.2.8 マルチパスデバイスのユーザフレンドリな名前

/dev/disk/by-idディレクトリ(セクション 2.2.6, /dev/disk/by-idディレクトリで継続的に有効なデバイス名で説明済み)でのマルチパスデバイス名の処理方法の変更により、デバイスの2つの名前が異なっているため、ユーザフレンドリな名前の設定に影響を及ぼします。マルチパス処理の設定後は、デバイスマッパー名だけをスキャンするように、設定ファイルを変更する必要があります。

たとえば、マルチパスデバイス名を使用してスキャンするように、lvm.confファイルを変更する必要があります。そのためには、/dev/disk/by-id/dm-uuid-.*-mpath-.*パスを、/dev/disk/by-idの代わりに指定します。

2.2.9 マルチパスのための高度な入出力負荷バランスオプション

次の高度な入出力負荷バランスオプションは、ラウンドロビンに加えて、デバイスマッパーマルチパスにも使用きます。

  • Least-pending(最小保留)

  • Length-load-balancing(長さによる負荷分散)

  • Service-time(サービス時間)

詳細については、優先度グループと属性の理解を参照してください。

2.2.10 マルチパスツールコールアウトの場所の変更

デバイスマッパーマルチパスツールのmpath_* prio_calloutsが、/lib/libmultipath/lib*の共有ライブラリに移動されました。共有ライブラリを使用することで、デーモンの起動時、コールアウトがメモリにロードされます。これによって、すべてのパスがダウンするというシステムデッドロックのシナリオを回避することができます。このシナリオでは、プログラムをディスクからロードしなければなりませんが、この時点ではそのディスクが利用できない場合があります。

2.2.11 mkinitrd -fオプションのmpathからmultipathへの変更

デバイスマッパーマルチパスサービスをinitrdに追加するオプションが、-f mpathから-f multipathに変更になりました。

新しいinitrdを作成するためのコマンドは、次のようになりました。

mkinitrd -f multipath