11.1 サイズ変更プロセスの理解

既存のソフトウェアRAIDデバイスのサイズ変更には、各コンポーネントパーティションが提供するスペースの増減が必要です。

11.1.1 ソフトウェアRAIDサイズ変更のガイドライン

mdadm(8)ツールは、ソフトウェアRAIDレベル1、4、5、および6に対してだけサイズ変更をサポートします。これらのRAIDレベルには耐障害性があるので、一度に1つづつ、サイズ変更するコンポーネントパーティションを削除できます。原則として、RAIDパーティションのホットリサイズが可能ですが、その場合は、データの保全に特に注意する必要があります。

デバイス上の使用可能スペースで変更内容を利用するために、RAIDに常駐するファイルシステムもサイズ変更できる必要があります。SUSE® Linux Enterprise Server 11では、Ext2、Ext3、およびReiserFSに関して、ファイルシステムのサイズ変更用ユーティリティを使用できます。このユーティリティは、次のようにサイズの増減をサポートします。

表 11-1 ファイルシステムサイズ変更のサポート

ファイルシステム

ユーティリティ

サイズを増加

サイズを減少

Ext2またはExt3

resize2fs

はい(ただし、オフラインのみ)

はい(ただし、オフラインのみ)

ReiserFS

resize_reiserfs

はい(オンラインまたはオフライン)

はい(ただし、オフラインのみ)

パーティションまたはファイルシステムのサイズ変更には、データを失う可能性をはらむリスクが伴います。

警告: データの喪失を避けるには、データをバックアップしてから、サイズ変更タスクを開始します。

11.1.2 タスクの概要

RAIDのサイズ変更には、次のようなタスクがあります。タスクの実行順序は、サイズを増加するか、減少するかによって異なります。

表 11-2 RAIDのサイズ変更に必要なタスク

仕事

説明

サイズを増大させる場合の順序

サイズを減少させる場合の順序

各コンポーネントパーティションのサイズを変更します。

各コンポーネントパーティションのアクティブなサイズを増加または減少します。一度に1つのコンポーネントパーティションだけを削除し、そのサイズを変更してから、パーティションをRAIDに戻します。

1

2

ソフトウェアRAID自体をサイズ変更します。

RAIDは、ベースのコンポーネントパーティションの増減を自動的には認識しません。したがって、RAIDに新しいサイズを知らせる必要があります。

2

3

ファイルシステムのサイズを変更します。

RAIDに常駐するファイルシステムをサイズ変更する必要があります。これは、サイズ変更のツールを提供するファイルシステムの場合のみ可能です(Ext2、Ext3、ReiserFSなど)。

3

1