暗号化を使用したDistributionのセキュリティ

Policy and Distribution Servicesには、Distributionをセキュリティで保護されたネットワークの外部に送信するときに、その内容への承認されていないアクセスを防止するために、Distributionを暗号化するオプションが用意されています。通常、セキュリティで保護されているネットワーク内で送信されるDistributionを暗号化する必要はありません。

Distributionの暗号化は2段階の処理です。

  1. ConsoleOneでDistributionのプロパティの[Encrypt]チェックボックスをオンにして、暗号化のレベル(強または弱)を選択します。
  2. 暗号化セキュリティ証明書ファイルを手動で作成し、DistributorサーバとSubscriberサーバの間でコピーします。

    重要:  セキュリティのために、フロッピーディスクなどの物理メディアを使用して、ネットワークサーバ間で証明書を転送します。

その後、Distributionは暗号化されたDistributionとして送信されます。

Distributionの暗号化については、次の節を参照してください。


暗号化証明書の作成とコピー

RSA PKIには、暗号化されたDistributionで使用されるセキュリティプロセスが用意されています。

暗号化証明書は証明書署名要求(.csr)ファイルから作成されます。各Subscriberサーバには、特定のDistributor用の暗号化証明書を作成するためのテンプレートとして使用できる.csrファイルが含まれています。

暗号化証明書(.cer)は、暗号化されたDistributionの安全な送信を保証するためにSubscriberによって使用されます。.cerファイルの受け渡しをネットワーク経由で行うと、Distributionの暗号化キーが漏洩する可能性があります。したがって、証明書ファイルに含まれている暗号化キーを保護するには、暗号化セキュリティ証明書を手動でコピーする必要があります。

重要:  ファイルブラウザは伝送ケーブルを使用し、漏洩の可能性があるので、ファイルブラウザを使用して証明書を手動でコピーしないでください。代わりに、フロッピーディスクなどの外部メディアに証明書をコピーし、それを物理的にDistributorサーバからSubscriberサーバに運びます。

Subscriberで暗号化証明書を使用するには、まず証明書を解決し、暗号化されていないDistributorを各Subscriberに送信する必要があります。

証明書の解決については、証明書の解決を参照してください。

次の図は、暗号化証明書を手動でコピーする処理を示しています。


暗号化されたDistributionの送信 - CSRファイルのコピー。右側のSubscriberでは、ファイルシステム上の.csrファイルが手動で左側のDistributorサーバに転送されます。Distributorが.csrファイルに署名し、名前が自動的に.cerファイルに変更されます。新しい.cerファイルが手動でSubscriberサーバに戻され、名前が手動でDistributorのDNS名に変更されます。

Distributorは.csrに署名して暗号化.cerファイルを作成します。このファイルを手動でDistributorからSubscriberにコピーして、Subscriberサーバ上の現在の暗号化されていない.cerファイルを置き換えます。

Distributionを抽出するには、暗号化証明書が必要です。Subscriberが、DistributionのChannelを購読しているSubscriberに暗号化されたDistributionを渡す親Subscriberとしてのみ機能している場合は、親Subscriberサーバに暗号化証明書は必要ありません。

暗号化されたDistributionの証明書を作成するには

  1. 暗号化するDistributionを指定します。

  2. このDistributionを所有しているDistributorを指定します。

  3. 暗号化されたDistributionを受信するSubscriberを指定します。

  4. 選択したDistributorの証明書を選択したSubscriberに解決して、暗号化されていないDistributionをDistributorからSubscriberに送信します。

    証明書の解決については、証明書の解決を参照してください。

  5. このDistributorおよびSubscriberのファイルシステムにアクセスします。

  6. 各Subscriberの次のディレクトリにあるすべての.csr証明書ファイルを、Distributorの同じパスにコピーします。

    \zenworks\pds\ted\security\csr

    このパスは、ZENworks Server Managementのインストールに使用した場所から始まります。

    証明書署名要求(.csr)を使用して暗号化証明書ファイルが作成されます。

  7. ConsoleOneで、Distributorオブジェクトを右クリックし、[Sign CSR Files]をクリックし、署名する.csrファイルを選択して[Sign]をクリックします。[Success]ダイアログボックスの[OK]をクリックし、[Close]をクリックします。

    複数の.csrファイルを選択して、同時に署名できます。

    これによって、Subscriberからコピーした.csrファイルと同じDistributorのディレクトリに、証明書(.cer)ファイルが作成されます。.csrファイルごとに.cerファイルが1つ作成されます。

    iManagerを使用してこの手順を実行することもできます。

    1. [Remote Web Console]を選択します。

    2. DistributorのIPアドレスを選択または指定します。

    3. [Available Services]ドロップダウンボックスで、[Tiered Electronic Distribution]を選択します。

    4. [Security]タブをクリックし、[Sign CSR]リンクをクリックします。

  8. 各ターゲットSubscriberについて、次の操作を行います。

    1. Subscriberサーバの対応する.cerファイルを、Distributorのファイルシステム上の次の場所

      \zenworks\pds\ted\security\csr

      から、Subscriberのサーバのファイルシステム上の次のパスにコピーします。

      \zenworks\pds\ted\security

      各.cerファイルには、Subscriberサーバの名前が含まれています。

    2. Subscriberサーバにコピーした.cerファイルの名前を、SubscriberのDNS名ではなく、DistributorのDNS名を使用するように変更します。

  9. 暗号化されたDistributionを送信します。

警告:  次のような状況では、作成した暗号化証明書を上書きして使用できます。

1. 暗号化されたDistributionに関連するChannel、Subscriber、またはDistributionを変更します。

2. これによって、証明書をコピーするかどうかを確認するメッセージが表示されます。

3. [Yes]を選択すると、暗号化されたDistributionが送信され、Subscriberによって受信される前に、

    a. 暗号化.cerファイルは各Subscriber上で暗号化されていない.cerファイルによって上書きされます。

    b. SubscriberはDistributionを受信したときに暗号化を解除できません。これは、.cerファイルが暗号化キーを含まない.cerファイルによって上書きされたからです。

暗号化されたDistributionが各Subscriberに送信されると、暗号化.cerファイルがSubscriberサーバのファイルシステム上の.keystoreファイルに移動されるので、上書きできません。これ以降は、このような状況で[Yes]を選択して証明書をコピーできます。


暗号化されたDistributionの送信

次の図は、Subscriberサーバ上で暗号化証明書を設定した後の暗号化されたDistributionの送信処理を示しています。


暗号化されたDistributionの送信 - Distributionの送信。左側のDistributorサーバは暗号化されたDistributionを構築します。Distributionが送信されます。右側のSubscriberサーバが、Distributorの暗号化証明書の署名とその証明書のコピーを検証します。署名が一致する場合、暗号化されたDistributionは受信されますが、まだ暗号化解除または抽出されません。

暗号化キーを受信する必要があるのは、Distributionを抽出するSubscriberだけです。したがって、親SubscriberやDistributorのルーティング階層内のSubscriberは、Distributionを抽出しない場合は暗号化キーを受信する必要はありません。


暗号化されたDistributionの抽出

暗号化されたDistributionをSubscriberサーバ上で抽出するには、Subscriberが暗号化キーを受信している必要があります。次の図は、キーの送信の処理を示しています。


暗号化されたDistributionの送信 - 暗号化キーの送信。Distributorは、暗号化キーを送信する前に、Subscriberに確認を要求します。Subscriberは署名された暗号化証明書を使用して応答します。Distributorは、これが信頼されるSubscriberであることを確認し、暗号化キーを送信します。SubscriberがDistributionを暗号化解除し、抽出します。

各Distributionについて、それぞれ暗号化キーが送信されます。