Advanced Trending Agent

この節では、次のトピックについて説明します。


Advanced Trending Agentについて

Advanced Trending Agentは、SNMPエージェントによって計測されるパラメータがMIB変数により定義されており、単なる設定済みMIB変数ではない場合に、そのパラメータのトレンドデータ(履歴データ)を収集および格納するアプリケーションです。

Advanced Trending Agentの機能は、NetWare、Windows、およびLinuxプラットフォームで利用できます。

Advanced Trending Agentは、設定済みのMIB変数のサンプルを定期的に収集して格納します。収集されたデータはSNMPインタフェースを通じて表示されます。このデータを使用して、パラメータの長期的なトレンドグラフを表示できます。

設定ファイルまたはSNMPインタフェースを使用してAdvanced Trending Agentを設定できます。Advanced Trending Agentには、更新のために設定ファイルを読み込むコマンドラインユーティリティが含まれています。このユーティリティは収集されたデータをリセットし、新しいデータの収集を開始します。Advanced Trending Agentでパラメータのしきい値を設定し、値がしきい値を超えた場合にトラップを生成することもできます。


トレンド変数の設定

Advanced Trending Agentは、設定ファイルで指定されているMIB変数に関するトレンド分析を開始します。

内容を変更して、トレンド分析する新しいパラメータを追加したり、既存のパラメータを変更したりできます。設定ファイルは標準的なINI形式に従います。

セクション名には任意の値を使用できますが、通常は設定するパラメータについてのわかりやすい名前です。特定のファイル内のすべてのセクション名は区別できる必要があります。

重要:  セクションの名前は変更できません。セクション名を変更すると、そのパラメータのデータは失われ、新しいデータが収集されます。

キーの名前は変更できません。各キーは、そのパラメータのトレンド分析アクティビティを定義する特定の設定を表します。任意のセクションについて定義する必要がある必須キーがあります。このようなキーが存在しない場合、Advanced Trending Agentではセクション全体が無視されます。

設定キーのセットで、一部のキーは必須キーとして処理されます。必須設定キーのデータが指定されている場合や、特定の設定エントリが破棄された場合、その設定エントリは読み込み専用になります。

標準的なセクションは次のようになります。

[Interface In-Octets]
MIBVariable=1.3.6.1.2.1.2.2.1.10.1
MIBVariable Type=1
MIBVariableTrendingStatus=1
MIBVariableDisplayName=Interfaces
SampleInterval=5
SampleType=1
Buckets=80
ThresholdRising=100
ThresholdFalling=60
AlarmType=1
AlarmSeverity=4
ThresholdAlarmGenerationStatus=1
IdentifierOID={1.3.6.1.2.1.2.2.1.10.3}
Filters=2
F1={I1=MS TCP Loopback interface}
F2={I1=3COM 3C920 Integrated Fast Ethernet Controller 3C905C-TX Compatible) - Packet Scheduler Miniport}
FilterType=1

次の必須キーを指定する必要があります。

MIBVariable (key 1)
SampleInterval (key 5)
ThresholdRising (key 8, only if ThersholdAlarmGenerationStatus=1)
ThresholdFalling (key 9, only if ThersholdAlarmGenerationStatus=1)
AlarmType1 (key 10, only if ThersholdAlarmGenerationStatus=1)

詳細については、クイックリファレンステーブルを参照してください。


Linux上でのAdvanced Trending Agentの設定

Linux上でAdvanced Trending Agentを起動する前に、次の作業を完了していることを確認してください。


ローカルホストのSNMPv1/SNMPv2cアクセスの有効化

snmpdマスタエージェントがAdvanced Trending Agentに対してSNMPv1/v2c読み込み専用アクセスを許可するように、snmpdマスタエージェントを設定する必要があります。

  1. snmpdマスタエージェントによって使用されるsnmpd.confファイルを編集します。

  2. アクセス制御の設定により、OIDツリー全体(.1から始まる)でのローカルホストへのSNMPv1/SNMPv2cアクセスが許可されていることを確認します。

詳細については、SNMP Frequently Asked Questionの「How do I configure access control?」を参照してください。


SNMP v1トラップをサイトサーバに送信するためのトラップシンクの設定

Advanced Trending Agentによって生成されたトラップがサイトサーバに送信されるように、snmpdマスタエージェントを設定する必要があります。

  1. snmpd.confファイルを編集します。

  2. サイトサーバを指すトラップシンクを設定する行を追加します。

トラップシンクを設定するための特定の構文については、man snmpd.conf (5)マニュアルページを参照してください。


Advanced Trending Agentによって使用されるデフォルトのコミュニティ文字列の変更

ローカルホストのSNMPv1/SNMPv2cアクセスの有効化でアクセスを許可するために使用したコミュニティ文字列と同じ文字列を使用するようにAdvanced Trending Agentを設定する必要があります。

  1. /etc/opt/novell/Novell ZENworks/zfs-mms-advtrend.conf設定ファイルを編集します。

  2. Agent Configセクションで、 ReadCommunityキーの値を、SNMPv1/SNMPv2cアクセスを許可した適切なコミュニティ文字列に設定します。


すべてのプラットフォーム上でのAdvanced Trending Agentの設定

Advanced Trending Agentを設定するには、デフォルトのパージ間隔を変更する必要があります。

Advanced Trending Agentは、利用できる特定のMIB変数または一部のSNMPテーブルのインスタンスについて自動的にトレンド分析を行います。これらのインスタンスが利用できなくなった場合、そのトレンド分析に関連付けられたリソースをクリーンアップすることができます。Advanced Trending Agentでこのようなクリーンアップを行うまでのパージ間隔を設定する必要があります。

  1. 設定ファイルを編集します。

    • NetWareの場合: installation_path/advtrend/advtrend.iniファイル

    • Windowsの場合: installation_path/advtrend/ini/advtrend.iniファイル

    • Linuxの場合: /etc/opt/novell/Novell ZENworks/zfs-mms-advtrend.confファイル

  2. Agent Configセクションで、PurgeIntervalキーの値を秒単位の値に設定します。


クイックリファレンステーブル

次の表は、キーの値とその意味のクイックリファレンスです。

キー名 説明 許容値 必須 デフォルト値

MIBVariable

トレンド分析する変数

SNMP OID値の任意の整数

Yes

なし

MIBVariableType

変数がスカラであるか、SNMPテーブルの列であるか

1 (スカラ)、2 (列)

No

1

MIBVariableTrendingStatus

トレンド分析が有効であるか、無効であるか

1 (有効)、2 (無効)

No

2

MIBVariableDisplayName

[Console]ビューからこの変数を参照するための名前

任意の文字列

No

オブジェクト

SampleInterval

サンプルを取得する時期を示す秒単位の時間間隔

正の整数

Yes

なし

SampleType

格納されたサンプルが絶対値であるか、デルタであるか

1 (絶対値)、2 (デルタ)

-

-

Buckets

変数を格納するサンプルの数

正の整数

No

50

ThresholdAlarmGenerationStatus

トラップを送信するかどうか

1 (有効)、2 (無効)

No

2

ThresholdRising

サンプル値が初めてしきい値を上回り、AlarmType値が上昇に設定されている場合に、トラップを送信する

整数

ThresholdAlarmGenerationStatusが有効の場合、はい

なし

ThresholdFalling

サンプル値が初めてしきい値を下回り、AlarmType値が降下に設定されている場合に、トラップを送信する

整数

ThresholdAlarmGenerationStatusが有効の場合、はい

なし

AlarmType

ThresholdRisingまたはThresholdFalling値を超過した場合にトラップを生成するかどうか

1 (上昇)、2 (降下)

ThresholdAlarmGenerationStatusが有効の場合、はい

なし

AlarmSeverity

送信されるトラップの重大度

1 重大
2 メジャー
3 マイナー
4 情報
5 不明

No

3

IdentifierOID

MIBVariableType 2のOIDの場合に、テーブル内の行を一意に識別する

書式設定された文字列

No

なし

Filters

指定するフィルタ条件の数

1〜5の整数

No

なし

FilterType

フィルタに一致するSNMP行をトレンド分析するか、無視するか

1 包含(含める)、2 除外(無視する)

No

1


設定の更新

Advanced Trending Agentでは、1つまたは複数のMIB変数のトレンド分析アクティビティのパラメータを動的に変更できます。設定ファイルで、トレンド分析の対象になる新しいエントリを追加したり、既存のエントリを削除したりできます。

変更を行った後、advtrendコマンドを実行して、Advanced Trending Agentで最新情報を取得する必要があります。advtrendコマンドは、次の場所で利用できます。

advtrendコマンドを使って、次の操作を実行します。


情報のリセット

パラメータのトレンド分析を再開するには

  1. 設定ファイルを変更して設定セクションを追加、変更、または削除します。

  2. サーバプロンプトで、「advtrend reset」と入力します。

設定に従って、新しいエントリによって既存のエントリが置換されます。トレンド分析は最初から開始されます。

警告:  情報をリセットすると、古いデータは失われます。


トレンド分析のための新しいパラメータの追加

  1. 設定ファイルを編集して、パラメータの新しいセクションを追加します。

  2. 新しいセクションで必要なキーを定義します。

  3. NetWareのサーバプロンプトで、「advtrend reread」と入力します。WindowsまたはLinuxの場合は、「advtrend read_cfg」と入力します。

トレンド分析の対象になる新しいエントリが追加されます。


既存のトレンド分析対象パラメータの削除

  1. 設定ファイルを編集して、トレンド分析しているパラメータを表すセクションを削除します。
  2. NetWareのサーバプロンプトで、「advtrend reread」と入力します。WindowsまたはLinuxの場合は、「advtrend read_cfg」と入力します。

この設定セクションのトレンド分析されるエントリが削除されます。


既存のパラメータのキー値の変更

トレンド分析するMIB変数のキーの値を変更する場合は、次の操作を行います。

  1. 設定ファイルを編集して、キーの値を変更します。

  2. NetWareのサーバプロンプトで、「advtrend reread」と入力します。WindowsまたはLinuxの場合は、「advtrend read_cfg」と入力します。

Advanced Trending Agentで新しいパラメータが使用されます。

次のパラメータを変更する場合は、以前のデータは削除されます。

MIBVariable
MIBVariableType
SampleInterval
SampleType
IdentifierOID


Advanced Trending Agentのインストール

詳細については、『Novell ZENworks Server Managementインストールガイド』を参照してください。