ポリシーの概要

この節では、利用できるポリシーの種類の概要、DirXMLでのポリシーの役割、および独自のポリシーを定義する方法を説明します。次のトピックについて説明します。


基本ポリシー

加入者チャネルと発行者チャネルの両方で定義できるポリシーにはさまざまな種類があります。ポリシーはそれぞれデータ変換の異なる段階で適用されますが、特定のアクションが発生したときにのみ適用されるポリシーもあります。たとえば、Create Policy (作成ポリシー)は新規オブジェクトが作成されたときにのみ適用されます。

ポリシー 説明

Subscriber Matching (加入者一致)

eDirectory内のオブジェクトに一致するアプリケーション内のオブジェクトを検索して、一致するオブジェクトを相互に関連付ける場合に使用される条件を含むオブジェクト。

Subscriber Create (加入者作成)

アプリケーション内に新規オブジェクトを作成するのに必要な属性の定義を含むオブジェクト。

Subscriber Placement (加入者配置)

新規アプリケーションオブジェクトを作成する場所を決定する条件を含むオブジェクト。

Publisher Matching (発行者一致)

アプリケーション内のオブジェクトに一致するeDirectory内のオブジェクトを検索して、一致するオブジェクトを相互に関連付ける場合に使用される条件を含むオブジェクト。

Publisher Create (発行者作成)

eDirectory内に新規オブジェクトを作成するのに必要な属性の定義を含むオブジェクト。

Publisher Placement (発行者配置)

新規eDirectoryオブジェクトを作成する場所を決定する条件を含むオブジェクト。

Schema Mapping (スキーママッピング)

eDirectoryとアプリケーション間のスキーママッピングの定義を保持するオブジェクト。


Create (作成)

Create Policy (作成ポリシー)は、新規オブジェクトを作成するために必要な属性の最小限のセットを定義します。

たとえば、eDirectoryに新規ユーザを作成して、新規ユーザオブジェクトに名前とIDのみを付けたとします。この作成はeDirectoryツリーでミラーリングされますが、追加はeDirectoryに接続しているアプリケーションにすぐには反映されません。これは、より完全な定義を持つユーザオブジェクトのみを許可するようCreate Policy (作成ポリシー)で指定しているからです。

Create Policy (作成ポリシー)は、加入者および発行者の両方に対して同じものを使用することも、異なるものを使用することもできます。

Create Policy (作成ポリシー)は、eDirectoryではドライバ内のオブジェクトとして表されます。


Matching (一致)

Matching Policy (一致ポリシー)は、2つのオブジェクトを同一と見なす最小限の条件を定義します。


Placement (配置)

Placement Policy (配置ポリシー)は、eDirectoryおよび接続アプリケーション内で新規オブジェクトを作成する場所を決定します。

各ドライバには少なくとも2つのPlacement Policy (配置ポリシー)が必要です。1つは、外部アプリケーションデータベースが新規オブジェクトを作成したときに新規eDirectoryオブジェクトを配置する場所を指定し、もう1つは、eDirectory内で新規オブジェクトが作成されたときに外部アプリケーションデータベースオブジェクトを作成する場所を指定します。

eDirectoryは階層型なので、複数のポリシーがあると複数のコンテナにオブジェクトを作成できるため便利です。ただし、新規オブジェクトをすべて同じコンテナ内に作成しておいて、後で部門コンテナに移動できます。


Schema Mapping (スキーママッピング)

Schema Mapping Policy (スキーママッピングポリシー)は、eDirectoryと接続システムの間のスキーママッピングの定義を保持します。

eDirectoryスキーマはeDirectoryから読み込まれます。アプリケーションスキーマは、接続システムのDirXMLドライバによって提供されます。2つのスキーマが識別されると、eDirectoryと目的のアプリケーションの間に単純なマッピングが作成されます。

DirXMLドライバ設定にスキーママッピングが定義されたら、対応するデータをマッピングすることができます。


Transformation Policy (変換ポリシー)

次のポリシーは、eDirectoryとアプリケーションの間でイベントデータフォーマットを変換する場合に使用されます。

ポリシー 説明

Output Transformation (出力変換)

情報がeDirectoryからアプリケーションへ渡されるときに使用される変換アクション。

Input Transformation (入力変換)

情報がアプリケーションからeDirectoryへ渡されるときに使用される変換アクション。

次のポリシーは、eDirectoryとアプリケーションの間でイベントアクションを変換する場合に使用されます。

ポリシー 説明

Subscriber Event Transformation (加入者イベント変換)

あるイベントを別のイベントに変換する場合に使用される変換アクション。

Publisher Event Transformation (発行者イベント変換)

あるイベントを別のイベントに変換する場合に使用される変換アクション。

次のポリシーは、eDirectoryとアプリケーションの間でコマンドを変換する場合に使用されます。

ポリシー 説明

Subscriber Command Transformation (加入者コマンド変換)

DirXMLエンジンによってeDirectoryに送信されたコマンドに対して使用される変換アクション。

Publisher Command Transformation (発行者コマンド変換)

DirXMLエンジンによってドライバに送信されたコマンドに対して使用される変換アクション。


ポリシーの定義

ポリシーは次のいずれかの方法で定義できます。


Policy BuilderとDirXML Script

実装するほとんどのポリシーは、Policy Builderインタフェースを使用して定義します。Policy Builderインタフェースではグラフィカルな環境が採用されており、簡単にポリシーを定義および管理できます。

Policy Builder内におけるルール作成の基礎となる機能は、DirXML Scriptというカスタムスクリプト言語によって提供されます。

DirXML Scriptは、テストできるさまざまな条件、実行するアクション、およびポリシーに追加する動的な値で構成されます。これらの各オプションは、インテリジェントなドロップダウンリストを使用して表示され、各ポイントにおいて有効な選択肢と、一般的な値へのリンクを提供します。

Policy Builderを使用すると、DirXML Scriptを直接操作する必要はありません。

Policy Builderの詳細については、Policy Builderを使用したポリシーの定義を参照してください。

ヒント:  Policy Builderを使用する際には必要ありませんが、DirXML Scriptの完全なリファレンスは、http://developer.novell.com/ndk/doc/dirxml/dirxmlbk/ref/index.htmlから入手できるDirXML Driver Developer Kitに収録されています。


XSLTスタイルシート

より複雑なポリシーを定義するには、XSLTスタイルシートを使用して、あるXML文書を、必要な変更を含む別のXML文書に直接変換します。

スタイルシートは非常に柔軟で、Policy Builder内のルール作成で利用できる定義済みの条件やアクションに変換が合わない場合に使用します。

XSLTスタイルシートを作成するには、XSLT (nds.dtd)と、DirXMLエンジンとの間でやり取りされるコマンドとイベントについての深い知識が必要になります。nds.dtdに関する詳しいリファレンスについては、NDS DTDリファレンスおよびnds.dtdを参照してください。

XSLTスタイルシートの詳細については、XSLTスタイルシートを使用したポリシーの定義を参照してください。