付録B
SNMPエージェント
この付録では、Novell exteNd Application ServerをモニタするSNMPのセットアップおよびテスト方法について説明します。この節には、次のトピックが含まれています。

SNMPについて
SNMP (Simple Network Management Protocol)は、TCP/IPネットワークのノードのリモート管理および制御に使用されるプロトコルです。SNMPを使用すると、管理ソフトウェアを実行するワークステーションは、ルータ、サーバ、およびシステムの他のワークステーションで収集される情報をモニタできます。この情報は、ネットワークのパフォーマンス整合性を判断するために使用されます。
注記: SNMP実装は現在、Windows NTおよびWindows 2000プラットフォームでのみ実行できます。SNMPサービスは、アプリケーションサーバを制御できません。

SNMP実装の概要
アプリケーションサーバは、SNMPの実装に次のコンポーネントを使用します。
コンポーネント
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説明
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snmp_options.props
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AgSNMPGetStatsサーブレットに使用される次の設定を定義するファイル。
StatisticsUpdateInterval - 統計情報を更新する時間(秒)。デフォルトは120です。
WriteStatisticsEnabled - サーバ統計情報および更新間隔をAgSNMP.propsに書き込むかどうか。0はfalse、1はtrueです。デフォルトは1です。
StatisticsDebug - デバッギングメッセージをサーバコンソールに送信するかどうか。0はfalse、1はtrueです。デフォルトは0です。
ファイルはサーバの\Resourcesディレクトリにあります。
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AgSNMPGetStatsサーブレット
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SilverMasterデータベースに展開する必要があるload_on_startupサーブレット。AgSNMP.propsファイルのアプリケーションサーバ統計情報を更新します。
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AgSNMP.props
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snmp_options.propsで指定された間隔で、AgSNMPGetStatsサーブレットがサーバ統計情報を書き込むファイル(統計情報を書き込むには、snmp_options.propsでWriteStatisticsEnabledを1に設定する必要があります)。
ファイルはサーバの\Resourcesディレクトリにあります。
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SNMP拡張エージェント(AgSNMP50.dll)
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Windows NT SNMPアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を実装します。SNMP拡張エージェントは、AgSNMP.propsからアプリケーションサーバの統計情報を読み取ります。
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統計情報およびオブジェクト識別子のリストについては、SNMP管理ノードからのアクセスのセットアップを参照してください。

コンポーネントの機能
アプリケーションサーバのload_on_startupサーブレット(AgSNMPGetStats)は、予定された間隔でAgSNMP.propsファイルを更新します。サーブレットがロードされると、init ()メソッドが実行されます。このメソッドは次の処理を実行します。
アプリケーションサーバからレジストリ情報を取得して、サーバのインストールパスを決定します。
サーバの\Resourcesディレクトリで、snmp_options.propsファイルを読み取ります。ファイルには、デバッグメッセージの出力場所や統計情報更新間隔などの設定が含まれています。
タイマータスク(毎分実行)を開始して、snmp_options.propsファイルのファイル更新間隔が変わったかどうかチェックします。
指定したファイル更新間隔で実行されるタイマータスクを開始して、統計データを作成し、サーバの\ResourcesディレクトリのAgSNMP.propsファイルに書き込みます。
SNMP GET要求では、更新間隔が経過した場合、拡張エージェントは、レジストリにアクセスしてサーバのパスを取得し、サーバの\ResourcesディレクトリにあるAgSNMP.propsファイルを読み取ることにより、MIBデータを更新します。その他の場合は、ファイルが最後に読み取られたときに保存された値を返します。ファイルのタイムスタンプが指定された間隔内に更新されない場合、Server Respondingステータスはfalseに設定され、アプリケーションサーバに問題の可能性があることを示します。
注記: 拡張エージェントは、更新間隔が変更されたかどうかの決定にタイマーを使用しません。間隔が大幅に減少した場合、誤ったServer Respondingステータスを与えることがあります。間隔値が減少したときは、SNMPサービスを停止して再起動してください。

プロセスフローおよび用語
次の用語(次の図を参照)は、SNMPが有効なアーキテクチャで使用されます。
用語
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説明
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管理ノード
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1つまたは複数のネットワーク管理プロセスを実行するワークステーションまたはサーバ。これらのプロセスは、通常、管理されたノードまたはSNMPエージェントから情報を収集するソフトウェアアプリケーションです。管理ノードソフトウェアの例は、Computer AssociatesのUnicenter TNG、Hewlett-PackardのOpenView、およびIBMのTivoliなどです。
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MIB (Managed Information Bases)
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管理されたすべてのオブジェクトの階層型マップおよびアクセス方法。
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管理オブジェクト(MIBオブジェクトまたは変数)
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SNMPで管理されたノードを管理ノードに説明するオブジェクトの集合。このデータは、標準SNMP動作のGet、GetNext、およびSetを使用して操作される特定の属性セットで定義されます。
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OID (Object identifier)
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MIB変数に対する固有の識別子。OIDは、MIBネームスペース内にある管理されたオブジェクトの場所です。MIBオブジェクトのOIDは、オブジェクトのIDまたは登録とも呼ばれます。
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SNMPエージェント
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管理されたサーバで、1つまたは複数のプロセスとして実行されるソフトウェアまたはファームウェア。SNMPエージェントは、管理ノードが要求した管理情報を収集および返信し、管理サービスを提供します。SNMPエージェントは読み込み専用とするか、または管理するノードの制御または変更を管理ノードに許可できます。SNMPエージェントは、イベントの一方的通知であるトラップも生成できます。
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拡張エージェント(サブエージェント)
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MIBモジュールで定義された登録済みの管理オブジェクトセットを実装し、SNMP APIを使用してSNMPサービスと通信するDLL。
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次の図は、SNMPフレームワーク内でのコンポーネントの機能を示します。


アプリケーションサーバへのSNMPのセットアップ
SNMPをサービスとしてセットアップするときの基本手順は、次のとおりです。
サービスとしてのSNMPソフトウェアのインストール
アプリケーションサーバのインストール
AgSNMPGetStatsサーブレットの展開
SNMPプログラムのテスト

サービスとしてのSNMPのインストール
現在アプリケーションサーバを実行しているコンピュータにSNMPソフトウェアサービスをインストールする場合、まずアプリケーションサーバを停止する必要があります。
サービスとしてSNMPをインストールする詳細については、オペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。

アプリケーションサーバのインストール
アプリケーションサーバをまだインストールしていない場合は、インストールプログラムを使用して、管理されるコンピュータにインストールします。アプリケーションサーバを再インストールする場合は、まずSNMPサービスを停止する必要があります。停止しないと、インストールプログラムはAgSNMP50.dllファイルを上書きできません。
サービスのインストールプログラムは、必要なレジストリキーエントリを処理し、エージェントを正しい場所に配置します。必要なレジストリエントリには、次のようなものがあります。
項目
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指定する内容
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キー
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HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\SNMP\Parameters\ExtensionAgents
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名前
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AgversionSNMP
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値
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Novell\eXtend\AppServer\version\SNMP\ExtensionAgents\AgSNMPAgent\CurrentVersion
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キー
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HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Novell\eXtend\AppServer\version\SNMP\ExtensionAgents\AgSNMPAgent\CurrentVersion
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名前
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パス名
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値
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server\x92 s \bin\AgSNMPversion.dll
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AgSNMPGetStatsサーブレットの展開
AgSNMPGetStatsサーブレットを作成および展開するために、多くのファイルが提供されています。これらのファイルは、サーバのservertools\snmpディレクトリにあります。
ファイル
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ファイル名
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簡単に展開できるEARファイル
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SilverGetStats.ear
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EARをSilverMasterに展開するバッチファイル
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deploySilverGetStats.bat
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EARをSilverMasterから展開解除するバッチファイル
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deleteSilverGetStats.bat
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展開計画
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SilverGetStats_depl_plan.xml)
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WARおよびEARファイルを作成するプロジェクトファイル
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SilverGetStatsWar.spf
SilverGetStatsEar.spf
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WARおよびEARファイルを作成するソースファイル
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-
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EARを展開するため、deploySilverGetStats.batを実行し、サーバ名およびSilverMaster名を渡します。
EARを再作成して、提供されたプロジェクトを使用しても展開できます。

プログラムのテスト
アプリケーションサーバは、DOSプロンプトからSNMPインストールをテストできるツールを備えています。
SNMP拡張エージェントをテストする
[SNMP サービス]を停止してから再起動します。
DOSウィンドウを開きます。
サーバの\binディレクトリに移動します。
バッチファイルSilverSNMPGetStats.batを実行して、サーバ名およびSNMP名を渡します。使用できるパラメータのリストを取得するには、次のとおり入力します。
SilverSNMPGetStats -?

SNMP管理ノードからのアクセスのセットアップ
Object Identifierは、企業IDおよび各MIBを識別するOIDで構成されます。SNMP管理ノードからアプリケーションサーバOIDへのアクセスをセットアップするには、次の情報が必要です。
項目
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説明
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企業ID
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企業に割り当てられた固有の番号。サーバの企業IDは3068です。
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Object Identifier (OID)
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サーバのホスト名OIDは、1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.1.0です。
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アプリケーションサーバのOIDは、次のとおりです。SNMPTool.exeを使用してMIBデータにアクセスする場合は、OIDの前にピリオドを付ける必要があります。
統計説明
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OID
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データタイプ
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ホスト名OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.1.0
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OCTET STRING
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サーバ予約OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.2.0
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サーバ開始時間OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.3.0
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データタイムスナップショットOID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.4.0
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必要最大URL OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.5.0
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必要最小URL OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.6.0
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サーバロードOID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.7.0
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INTEGER
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フリースレッド数OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.8.0
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アイドルスレッド数OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.9.0
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合計スレッド数OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.10.0
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ヒット数OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.11.0
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平均要求時間OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.12.0
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最大要求時間OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.13.0
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最小要求時間OID
|
1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.14.0
|
送出バイトOID
|
1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.15.0
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空きメモリIOD
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.16.0
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Counter
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総メモリOID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.17.0
|
ガベージコレクション数OID
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1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.18.0
|
アイドルセッションOID
|
1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.19.0
|
INTEGER
|
総セッションOID
|
1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.20.0
|
サーバ応答OID
|
1.3.6.1.4.1.3068.1.7.7.21.0
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OCTET STRING
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