SUSE Linux Enterprise Server用のネットワークインストールソースとして使用するコンピュータで動作しているオペレーティングシステムに応じて、サーバ設定のためのいくつかのオプションがあります。インストールサーバを設定する最も簡単な方法は、SUSE Linux Enterprise Server 、11 またはSUSE Linux 9.3以降でYaSTを使うことです。
ヒント: Linuxの導入のために、Microsoft Windowsマシンをインストールサーバとして用いることもできます。詳細については、セクション 14.2.5, SMBインストールソースの管理を参照してください。
YaSTは、ネットワークインストールソースを作成するためのグラフィカルなツールを提供しています。HTTP、FTP、およびNFSネットワークインストールサーバをサポートしています。
インストールサーバにするコンピュータにrootとしてログインします。
の順に選択します。
サーバのタイプを選択します(HTTP、FTP、またはNFS)選択したサーバサービスは、システムの起動時ごとに自動的に開始されます。選択したタイプのサービスがシステム上ですでに動作していて、サーバ用に手動で設定する場合には、
をオンにして、サーバサービスの自動設定を無効にします。どちらの場合でも、サーバ上のインストールデータを保管するディレクトリを設定してください。必要なサーバタイプを設定します。このステップは、サーバサービスの自動設定と関係しています。自動設定を無効にした場合にはスキップされます。
インストールデータを置くFTPまたはHTTPサーバのルートディレクトリのエイリアスを定義してください。後ほど、インストールソースはftp://Server-IP/Alias/Name (FTP)、またはhttp://Server-IP/Alias/Name (HTTP)に置かれます。Nameはインストールソースの名前を表すもので、次のステップで定義します。前のステップでNFSを選択した場合には、ワイルドカードとエクスポートオプションを指定します。NFSサーバは、nfs://Server-IP/Nameでアクセスできます。NFSとエクスポートについての詳細は、第25章 NFS共有ファイルシステムを参照してください。
ヒント: ファイアウォールの設定
サーバシステムのファイアウォール設定が、HTTP、NFS、およびFTPポートのトラフィックを許可していることを確認します。これらのポートのトラフィックが禁止されている場合は、YaSTファイアウォールモジュールを起動して、該当するポートを開きます。
インストールソースを設定します。インストール用メディアをコピーする前に、インストールソースの名前を定義します(容易に覚えられる、製品とバージョンの略が望ましいでしょう)。YaSTでは、インストールCDのコピーの代わりに、メディアのISOイメージを使うことができます。そうする場合には、対応するチェックボックスをオンにして、ISOファイルをローカルに保管するディレクトリのパスを指定します。このインストールサーバを使って配布する製品によっては、他のアドオンCDやサービスパックCDが必要なこともあります。このような場合は、他のインストールソースとして追加する必要があります。ネットワーク内のインストールサーバについて知らせるためにOpenSLPを使う場合には、適切なオプションをオンにします。
ヒント: ネットワークセットアップでサポートされている場合には、OpenSLPを使ってインストールソースを知らせることを考慮してみてください。そうすれば、すべてのターゲットマシンでネットワークインストールパスを入力しなくてもよくなります。SLPブートオプションでブートされたターゲットシステムは、他の設定を行わなくても、ネットワークインストールソースを見つけます。このオプションについての詳細は、セクション 14.4, ターゲットシステムをインストールのためにブートするを参照してください。
インストールデータをアップロードします。インストールサーバの設定で最も時間がかかるステップは、実際のインストールCDのコピーです。メディアをYaSTが要求する順序に挿入し、コピーの手順が終わるまで待ってください。ソースのコピーがすべて完了したら、既存の情報ソースの概要に戻り、
を選択して設定を閉じます。インストールサーバは完全に設定されて、使用する準備ができました。これはシステムが起動するたびに、自動的に開始します。それ以上の操作は必要ありません。必要なのは、YaSTの最初のステップで選択したネットワークサービスの自動設定を無効にしていた場合に、サービスを手動で正しく設定し、開始することだけです。
インストールソースを無効にするには、該当するインストールソースを選択して、
を選択します。システムからインストールデータが削除されます。ネットワークサービスを削除する場合は、適切なYaSTモジュールを使用します。インストールサーバから複数の製品バージョンの製品のインストールデータを提供する場合には、YaSTのインストールサーバモジュールを起動し、既存のインストールソースの概要で
を選択して、新しいインストールソースを設定します。インストール用のNFSソースのセットアップは、基本的に2つのステップで行えます。最初のステップでは、インストールデータを保持するディレクトリ構造を作成して、インストールメディアをその構造にコピーします。2番目のステップでは、インストールデータを保持しているディレクトリをネットワークにエクスポートします。
インストールデータを保持するディレクトリを作成するには、以下の手順に従います。
rootとしてログインします。
後ほどインストールデータを保持するディレクトリを作成し、このディレクトリに移動します。たとえば、次のようにします。
mkdir install/product/productversion
cd install/product/productversion
productは製品名の略語、productversionは製品名とバージョンを含む文字列で置き換えます。
メディアキットに含まれているCDごとに、以下のコマンドを実行します。
インストールCDの内容全体を、インストールサーバのディレクトリにコピーします。
cp -a /media/path_to_your_CD-ROM_drive .
path_to_your_CD-ROM_driveは、CDまたはDVDドライブを指定するための実際のパスで置き換えてください。これは、使用しているシステムのドライブのタイプに応じて、cdrom、cdrecorder、dvd、またはdvdrecorderになります。
ディレクトリの名前をCDの番号に合わせて変更します。
mv path_to_your_CD-ROM_drive CDx
xは、CDの実際の番号で置き換えてください。
SUSE Linux Enterprise Serverでは、YaSTを使ってNFS経由でインストールソースをエクスポートできます。次の手順に従います。
rootとしてログインします。
の順に選択します。
および をオンにして、 をクリックします。
[productversion])に移動します。
を選択して、インストールソースのあるディレクトリ(この場合、exportsの「man」ページを参照してください。
をクリックして、インストールデータのエクスポート先になるコンピュータのホスト名を入力します。ここでホスト名を指定する代わりに、ワイルドカード、ネットワークアドレス、または単にネットワークのドメイン名を使用することもできます。適切なエクスポートオプションを入力するか、デフォルトのままにします。デフォルトでもほとんどのセットアップでは正しく動作します。NFS共有のエクスポートで私用される構文の詳細についてはをクリックします。SUSE Linux Enterprise Serverのインストールソースを保持しているNFSサーバが自動的に起動し、ブートプロセスに統合されます。
YaSTのNFSサーバモジュールを使うかわりに、NFSを使用してインストールソースを手動でエクスポートする場合には、次の手順に従います。
rootとしてログインします。
/etc/exportsファイルを開いて、次の行を入力します。
/productversion *(ro,root_squash,sync)
これにより、ディレクトリ/productversionは、ネットワークに属している任意のホスト、またはこのサーバに接続している任意のホストにエクスポートされます。このサーバへのアクセスを制限するには、一般的なワイルドカード*の代わりにネットマスクまたはドメイン名を使用してください。詳細は、exportのmanページを参照してください。設定ファイルを保存して終了します。
NFSサービスを、システムブート時に起動するサーバのリストに追加するには、次のコマンドを実行します。
insserv /etc/init.d/nfsserver insserv /etc/init.d/portmap
rcnfsserver startを実行してNFSサーバを開始します。後ほど、NFSサーバの設定を変更することが必要になった場合には、設定ファイルを修正して、rcnfsserver restartコマンドでNFSデーモンを再起動してください。
OpenSLPを使用してNFSサーバについてアナウンスし、ネットワーク内のすべてのクライアントにそのアドレスを知らせます。
rootとしてログインします。
/etc/slp.reg.d/ディレクトリに入ります。
以下の行を含む、install.suse.nfs.regという名前の設定ファイルを作成します。
# Register the NFS Installation Server
service:install.suse:nfs://$HOSTNAME/path_to_instsource/CD1,en,65535
description=NFS Installation Source
path_to_instsourceは、サーバ上のインストールソースの、実際のパスで置き換えます。
この設定ファイルを保存して、rcslpd startコマンドでOpenSLPデーモンを起動します。
OpenSLPについての詳細は、/usr/share/doc/packages/openslp/のパッケージのドキュメント、または第19章 ネットワーク上のSLPサービスを参照してください。NFSの詳細については、第25章 NFS共有ファイルシステムを参照してください。
FTPインストールソースの作成は、NFSインストールソースの場合と非常によく似ています。FTPインストールソースも、OpenSLPを使用してネットワーク上にアナウンスすることができます。
セクション 14.2.2, NFSインストールソースの手動セットアップで説明されているように、インストールソースを保持するディレクトリを作成します。
インストールディレクトリの内容を配布するためのFTPサーバを設定します。
rootとしてログインし、YaSTパッケージマネージャを使ってパッケージvsftpdをインストールします。
FTPサーバのルートディレクトリに入ります。
cd /srv/ftp
FTPのルートディレクトリに、インストールソースを保持するサブディレクトリを作成します。
mkdir instsource
instsourceは製品名で置き換えてください。
既存のインストールリポジトリの内容を、FTPサーバのルート環境にマウントします。
mount --bind path_to_instsource /srv/ftp/instsource
path_to_instsourceとinstsourceは、セットアップに適した値で置き換えてください。この変更を永続的にする必要がある場合には、/etc/fstabに追加します。
vsftpdと入力して、vsftpdを開始します。
ネットワークのセットアップでサポートされている場合には、インストールソースをOpenSLPでアナウンスします。
以下の行を含むinstall.suse.ftp.regという名前の設定ファイルを、/etc/slp.reg.d/に作成します。
# Register the FTP Installation Server
service:install.suse:ftp://$HOSTNAME/srv/ftp/instsource/CD1,en,65535
description=FTP Installation Source
instsourceは、サーバ上のインストールソースディレクトリの実際の名前で置き換えてください。service:の行は、連続した行として入力する必要があります。
この設定ファイルを保存して、rcslpd startコマンドでOpenSLPデーモンを起動します。
ヒント: YaSTによるFTPサーバの設定
FTPインストールサーバを手動でなく、YaSTで設定する場合は、第28章 YaSTによるFTPサーバの設定で、YaST FTPサーバモジュールの使用方法を参照してください。
HTTPインストールソースの作成は、NFSインストールソースの場合と非常によく似ています。HTTPインストールソースも、OpenSLPを使用してネットワーク上にアナウンスすることができます。
セクション 14.2.2, NFSインストールソースの手動セットアップで説明されているように、インストールソースを保持するディレクトリを作成します。
インストールディレクトリの内容を配布するためのHTTPサーバを設定します。
27.1.2項 「インストール」の説明に従って、WebサーバのApacheをインストールします。
HTTPサーバのルートディレクトリ(/srv/www/htdocs)に入り、インストールソースを保持するサブディレクトリを作成します。
mkdir instsource
instsourceは製品名で置き換えてください。
インストールソースの場所からWebサーバのルートディレクリ(/srv/www/htdocs)への、シンボリックリンクを作成します。
ln -s /path_instsource /srv/www/htdocs/instsource
HTTPサーバの設定ファイル(/etc/apache2/default-server.conf)を変更して、シンボリックリンクをたどるようにします。以下のように変更します。
Options None
方法
Options Indexes FollowSymLinks
rcapache2 reloadを使用してHTTPサーバ設定を再ロードします。
ネットワークのセットアップでサポートされている場合には、インストールソースをOpenSLPでアナウンスします。
以下の行を含むinstall.suse.http.regという名前の設定ファイルを、/etc/slp.reg.d/に作成します。
# Register the HTTP Installation Server
service:install.suse:http://$HOSTNAME/srv/www/htdocs/instsource/CD1/,en,65535
description=HTTP Installation Source
instsourceは、サーバ上のインストールソースの、実際のパスに置き換えます。service:の行は、連続した行として入力する必要があります。
この設定ファイルを保存して、rcslpd restartコマンドでOpenSLPデーモンを起動します。
SMBを使用すれば、Linuxコンピュータがなくても、Microsoft Windowsサーバからインストールソースをインポートして、Linuxの導入を開始することができます。
SUSE Linux Enterprise Serverのインストールソースが保管されるエクスポートされたWindows Shareを設定するには、次の手順に従います。
Windowsマシンにログインします。
エクスプローラを起動して、インストールツリー全体を保持する新しいフォルダを作成し、INSTALLのような名前を付けます。
この共有を、Windowsのドキュメントで説明されている方法に従ってエクスポートします。
この共有を入力し、「product」という名前のサブフォルダを作成します。productは、実際の製品名と置き換えます。
INSTALL/productフォルダで、各CDまたはDVDを個別のフォルダにコピーします(例:CD1およびCD2)。
SMBマウントの共有をインストールソースとして使用するには、次の手順に従います。
インストールターゲットをブートします。
を選択します。
インストールソースの選択のために、F4キーを押します。
SMBを選択し、Windowsマシンの名前またはIPアドレス、共有名(この例ではINSTALL/product/CD1)、ユーザ名、パスワードを入力します。
<Enter>キーを押すと、YaSTが起動して、インストールを実行します。
サーバのディレクトリに手作業で物理メディアをコピーする代わりに、インストールサーバにインストールメディアのISOイメージをマウントして、それをインストールソースとして使用することもできます。メディアコピーの代わりに、ISOイメージを使用するHTTP、NFS、またはFTPサーバを設定するには、以下の手順に従ってください。
ISOイメージをダウンロードして、それをインストールサーバとして使用するコンピュータに保存します。
rootとしてログインします。
セクション 14.2.2, NFSインストールソースの手動セットアップ、セクション 14.2.3, FTPインストールソースの手動セットアップ、またはセクション 14.2.4, HTTPインストールソースの手動セットアップの説明に従って、インストールデータの場所を選択、作成します。
各CDまたはDVD用のサブディレクトリを作成します。
各ISOイメージを最終的な場所にマウントし、パックを解除するには、次のコマンドを実行します。
mount -o loop path_to_iso path_to_instsource/product/mediumx
path_to_isoには、ISOイメージのローカルコピーへのパスを、path_to_instsourceにはサーバのソースディレクトリを、productには製品名を、mediumxには使用メディアの種類(CDまたはDVD)と数を指定します。
前のステップを繰り返して、製品に必要なすべてのISOイメージをマウントします。
セクション 14.2.2, NFSインストールソースの手動セットアップ、セクション 14.2.3, FTPインストールソースの手動セットアップ、またはセクション 14.2.4, HTTPインストールソースの手動セットアップの説明に従って、インストールサーバを開始します。
ブート時にISOイメージを自動的にマウントするには、それぞれのマウントエントリを/etc/fstabに追加します。前の例のエントリは、次のようになります。
path_to_iso path_to_instsource/product medium auto loop