7.1 SUSE Linux Enterpriseのアップデート

たとえばSUSE Linux Enterprise 10からSUSE Linux Enterprise 11にアップデートする場合は、このセクションで概説するステップに従ってください。必ず最初に、古いシステムを最新のパッチレベル(現時点ではSP2)にアップデートしてください。

ソフトウェアは、バージョンが上がるたびに増加する傾向があります。そのため、更新する前に、はじめにdfコマンドで、利用できるパーティションの容量を調べてください。ディスク容量が不足していると思われる場合は、システムの更新とパーティション設定を行う前に、データをバックアップしておきます。各パーティションに必要な容量を決定する一般的な規則はありません。必要な容量は、特定のパーティションプロファイルおよび選択したソフトウェアによって異なります。

7.1.1 準備作業

更新を開始する前に、データを確保するために、古い設定ファイルを別のメディア(テープデバイス、取り外し可能なハードディスク、USBスティック、またはZIPドライブなど)にコピーしておきます。主に、/etcの下に格納されているファイル、また、/var/optの下にあるディレクトリとファイルの一部に当てはまります。さらに、/home (HOMEディレクトリ)下のユーザデータをバックアップメディアに書き込むようにします。このデータは、rootユーザでバックアップします。rootだけがすべてのローカルファイルを読み取るパーミッションを持っています。

更新を開始する前に、ルートパーティションの記録をとります。df /コマンドは、ルートパーティションのデバイス名リストを表示します。例 7-1に示すように、書き留めておくルートパーティションは、/dev/hda3です(/としてマウントされています)。

例 7-1 df -hの出力例

Filesystem     Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda3       74G   22G   53G  29% /
tmpfs          506M     0  506M   0% /dev/shm
/dev/sda5      116G  5.8G  111G   5% /home
/dev/sda1       44G    4G   40G   9% /data

7.1.2 起こり得る問題

デフォルトのシステムを以前のバージョンからこのバージョンに更新する場合、YaSTが必要な変更を分析し、それを実行します。カスタマイズに依存して、中には失敗する手順があったり、すべての更新手続きが失敗する可能性もありますので、その場合はバックアップデータをコピーして元に戻してください。システムの更新を開始する前に、次の点を確認してください。

/etc内のpasswdとgroupの確認

システムを更新する前に、/etc/passwd/etc/groupに、構文エラーがまったく存在していないことを確認してください。この目的で、rootになって検証ユーティリティpwckgrpckを起動し、報告されたエラーを取り除きます。

PostgreSQL

PostgreSQL(postgres)を更新する前に、データベースをダンプします。詳細については、pg_dumpのマニュアルページを参照してください。この作業が必要になるのは、更新の前にPostgreSQLを実際に使用している場合だけです。

7.1.3 YaSTによる更新

に概要を示した準備手順を実行しましたから、 ここでシステムを更新できるようになります。セクション 7.1.1, 準備作業

  1. オプションで、インストールサーバを準備します。背景情報については、セクション 14.2.1, YaSTを使ったインストールサーバのセットアップを参照してください。

  2. インストールの目的でシステムをブートします(セクション 6.5, インストール時のシステム起動を参照)。YaSTで、言語を選択し[インストールモード]ダイアローグ内で[更新]を選択します。[新規インストール]を選択しないようにします。

  3. YaSTは、複数のルートパーティションが存在するかどうか判定します。1つだけであれば、次のステップに進みます。複数ある場合は正しいパーティションを選択し、[次へ]で確認します(セクション 7.1.1, 準備作業の例では、/dev/sda3が選択されています)。YaSTはそのパーティション上にある以前のfstabを読み込み、そこにリストされているファイルシステムを解析してマウントします。

  4. [インストール設定]ダイアログで、必要に応じて設定を調整します。一般的には、デフォルト設定は変更なしで問題ありませんが、システムを拡張しようとする場合は、[ソフトウェア選択]サブメニューの中にあるパッケージを確認するか、追加の言語向けのサポートを追加します。

    1. すでにインストールされているソフトウェアのみを更新する場合([Only Update Installed Packages](インストールされているパッケージのみを更新))、または選択内容に応じてシステムに新しいソフトウェアを追加する場合は、[Update Options](更新オプション)をクリックします。推奨されている設定を使用することをお勧めします。この設定は、後でYaSTを使って調整することができます。

    2. 各種システムコンポーネントのバックアップを作成する([バックアップ])可能性もあります。バックアップを選択すると、更新処理を低速化します。このオプションは、最近バックアップを作成していない場合に使用します。

  5. [了解]をクリックして、[アップデート開始]を確認してソフトウェアのインストールプロセスを開始します。

インストールが終了したらリリースノートを読み、[完了]をクリックしてコンピュータを再起動し、ログインします。