サーバ管理の計画

ネットワークサーバの通常のアクティビティを基準として定義できます。サーバアクティビティの基準ドキュメントを用意しておくと、アクティビティの異常を検出することができます。基準になるアクティビティを作成するには、サーバが正常に機能しているときに統計情報を収集する必要があります。

この節では、サーバ管理戦略を計画できるよう、次の情報について説明します。


通常のサーバアクティビティ基準の作成

CPU使用率などのサーバに関する統計について、一定期間の情報をプロットしたトレンドグラフを作成する必要があります。統計サンプルのデータ収集期間が短い場合は、正確な統計値が得られないことがあります。サーバの設定を変更する場合、今後のアクティビティの比較対象になる別の基準を作成すると便利です。

基準ドキュメントの作成には2つの方法があります。1つ目は、基準設定の対象になるさまざまなトレンドグラフを印刷することにより、手動で作成する方法です。もう1つは、サーバ管理のヘルスレポートを基準ドキュメントとして使用する方法です。ヘルスレポートの作成と生成に関する詳細については、Server Managementのヘルスレポートの管理を参照してください。いずれのケースでも、収集されたデータをスプレッドシートなどのプログラムにエクスポートして、さらに詳しい分析を実行したり、レコードを長期間保存したりすることができます。


基準ドキュメントの使用

次の節では、基準ドキュメントの計画および使用に役立つ情報について説明します。


基準ドキュメントを使用してアラームしきい値を適切に設定する

SNMPエージェントソフトウェアの監視対象になるサーバの統計に対してアラームしきい値を設定する必要があります。このしきい値を超えると、Novell ConsoleOneに通知されます。サーバの統計に対してアラームしきい値を設定すると、ポーリングの対象になるサーバの統計情報を常に監視して、問題が発生していないかどうかを確認する必要はなくなります。

Server Managementコンポーネントは、サーバの統計情報にデフォルトのしきい値を設定します。統計情報が変化してしきい値を超えると、アラームが生成されます。


基準ドキュメントによるサーバの使用状況の追跡

現在のサーバパフォーマンスの統計情報を、基準ドキュメントに記録されたパフォーマンスと比較することにより、サーバ設定の変更がパフォーマンスにどのような影響を及ぼしているのかを確認できます。この比較により、今後の負荷の増大を予測し、アップグレードや拡張を計画することもできます。リアルタイムのトレンドをグラフで表示したり、時間、日、週、月、および年単位の履歴データをグラフで表示したりできます。


基準ドキュメントを使用したトラブルシューティング

通常のサーバアクティビティを把握しておくことで、異常なアクティビティを認識し、問題の原因を特定することができます。


サーバ基準ドキュメントに関するヒント

各サーバ基準ドキュメントには、次に示す重要な情報を記載する必要があります。


CPU使用率

CPU使用率の統計情報は、マイクロプロセッサの使用状況を示します。CPUの使用率が高くなっている場合、ネットワークの応答に遅延が生じる可能性があります。使用率は、1日のうちの特定の時間で高くなることがあります(たとえば、ユーザが朝にネットワークにログインするときや、電子メールにアクセスするとき)。また、特定の週や月で高くなることもあります。CPU使用率を追跡すると、ピーク時やほとんど使用されていないときにサーバプロセッサにかかる負荷を把握することができます。この情報により、現在のシステムの性能およびアプリケーションプロセッサに求められるニーズの確認、およびパフォーマンスに与える影響の分析を実行することができます。


キャッシュバッファ

ほぼすべてのプロセッサが、処理の実行にサーバキャッシュを使用します。サーバキャッシュとは、ファイルが一時的に格納されるサーバメモリ(RAM)のブロックです。キャッシュバッファを使用すると、サーバのパフォーマンスは大きく向上し、ワークステーションはより高速にデータにアクセスできるようになります。これは、メモリに対する読み取り/書き込み処理が、ディスクに対する読み取り/書き込み処理に比べてきわめて高速に実行されるためです。最適なキャッシュバッファ容量は、サーバの総メモリ容量の65%から75%です(これ以上のキャッシュバッファを設定しても、パフォーマンスに悪影響を与えることはありません)。キャッシュバッファの容量が少ないと、サーバのパフォーマンスが低下して、異常終了する場合があります。サービスは、サーバの総メモリ容量の45%に大幅に低下します。


ファイルの読み取りと書き込み

基準ドキュメントを使ってファイルの読み取りと書き込みに関するデータを追跡することにより、ボトルネックがディスクI/Oチャネルによって発生しているのかどうかを確認できる場合があります。たとえば、ユーザに送信される"サーバビジー"パケットの数が増加し、ファイルの読み取りおよび書き込み数も増加した場合、ディスクI/Oチャネルの速度低下やディスクアダプタドライバの障害によりボトルネックが発生することがあります。


ボリューム使用率

ボリューム使用率を追跡するのは、主に容量に関する計画を実行するためです。使用されるボリューム容量を長期にわたって追跡することにより、どのタイミングでストレージを増設する必要があるかを正確に予測できます。ボリューム使用率を追跡することにより、サーバでディスク容量の不足が発生しないようにすることもできます。


Running Software

実行中のソフトウェアに関する情報を基準ドキュメントに記載することにより、異なるサーバのソフトウェアを比較して、問題の発生しているアプリケーションをより簡単に特定することができます。各アプリケーションが使用するメモリ容量を基準ドキュメントに記載する方法も有効です。サーバですべてのメモリが使用されている場合に、どのアプリケーションが最も多くのメモリを使用しているのかを即座に確認できます。