次の節では、External Subscriberオブジェクトの概念と使用方法について説明します。
External Subscriberは、別のツリーにSubscriberオブジェクトを表示するeDirectoryオブジェクト(TED External Subscriber)です。
次の図は、External SubscriberとChannelの関係を示しています。
External SubscriberはChannelに登録されます。
Distributorは、SubscriberオブジェクトがDistributorオブジェクトと異なるツリーに属するSubscriberサーバや、Subscriberオブジェクトを含まないサーバにはDistributionを送信できません。別のツリーに配布するには、External Subscriberオブジェクトが必要です。
External Subscriberオブジェクトについては、次の節を参照してください。
すべてのTiered Electronic Distributionオブジェクトを1つのツリーにインストールした場合は、同じツリー内のDistributorオブジェクトとSubscriberオブジェクトを使用してDistributionを送信できるため、External Subscriberオブジェクトは必要ありません。
External Subscriberオブジェクトは、次の条件のいずれかに該当する場合、別のツリーにDistributionを送信するときに役立ちます。
ターゲットサーバのツリーにSubscriberオブジェクトがない: MicrosoftドメインのWindowsサーバなどのターゲットサーバには、Subscriberソフトウェアのみがインストールされています。
ターゲットサーバのSubscriberオブジェクトが別のツリーにある: ターゲットサーバにはSubscriberソフトウェアがインストールされていますが、そのSubscriberオブジェクトは、Distributionを送信するDistributorオブジェクトとは別のツリーに属しています。
eDirectoryツリーのオブジェクトであるExternal Subscriberは、実際にはDistributionファイルを処理せず、Distributionファイルを受信するサーバを識別するだけです。
External Subscriberを通じてDistributionを送信する場合、信頼されるツリーの権限は保持されません。
External Subscriberを通じてDesktop ApplicationタイプのDistributionを送信する場合、アプリケーションオブジェクトの関連付けは保持できません。ただし、グループの関連付けを作成するため、このグループの関連付けを送信できます。
External Subscriberオブジェクトを使用すると、別のツリーにDistributionの配布タスクを複製する必要がなくなります。
たとえば、リモートサイトのツリーに属するSubscriberは、Distributorのツリーに属するExternal Subscriberを経由してすべてのDistributionを受信できます。これにより、リモートサイトにDistributorサーバを配置して、Distribution設定や管理タスクを重複して実行する必要がなくなります。
External Subscriberに関連付けられるのは、Subscriberソフトウェアを実行し、Subscriberオブジェクトがどのツリーにも含まれないサーバか、またはSubscriberオブジェクトがDistributionの送信元のDistributorと同じeDirectoryツリーに含まれないサーバです。
External Subscriberオブジェクトは、サーバのIPアドレスまたはDNS名によってSubscriberサーバに関連付けられます。
Distributionは、MicrosoftドメインのWindowsサーバなど、eDirectoryの外側にも送信できます。このタイプのDistributionの詳細については、Subscriberソフトウェアの設定と信頼されるツリーとTednode.propertiesファイルの要件を参照してください。
External Subscriberオブジェクトは親Subscriberとして使用できません。External Subscriberに親Subscriberがある場合は、External Subscriberのオブジェクトと親Subscriberのオブジェクトが同じツリーに属している必要があります。
ターゲットサーバのSubscriberオブジェクトが、Distributionを送信するサーバのDistributorオブジェクトとは異なるツリーに属している場合、このターゲットサーバはDistributorのツリーのExternal Subscriberオブジェクトとして表示される必要があります。
Tiered Electronic Distributionは、IPアドレスまたはDNS名を使用してサーバの場所を特定するため、SubscriberオブジェクトはサーバのNCPオブジェクトと異なるツリーに配置できます。
External Subscriberは、関連付けられたSubscriberに必要なDistributionを含むChannelに登録する必要があります。
External Subscriberを介してDistributionを受信するサーバは、Distributionを受信および抽出できるように、Subscriberソフトウェアをインストールする必要があります。ドメイン内にWindowsサーバがある場合などは、ツリーにSubscriberオブジェクトを含める必要はありません(Subscriberソフトウェアの設定と信頼されるツリーとTednode.propertiesファイルの要件を参照)。
External Subscriberオブジェクトのプロパティを次に示します。
これは、あるツリー(External Subscriberオブジェクトが属するツリー)のDistributorからDistributionを受信する、別のツリーのSubscriberサーバのIDです。
これは、別のツリーのSubscriberサーバに送信する必要のあるDistributionを特定します。
グループが登録されるChannelにExternal Subscriberを登録します。
親Subscriberは、通常、Distributorの配布階層に属しています。
これを使用すると、親SubscriberはDistributionファイルを他のツリーのサーバに送信する物理タスクを実行します。使用しない場合、Distributorサーバは、他のツリーのSubscriberサーバに直接Distributionを送信します。
SubscriberはDistributorによって設定できますが、External Subscriberは設定できません。External Subscriberは、サーバの認識のみを行うオブジェクトです。ただし、External Subscriberオブジェクトによって認識されたSubscriberサーバがExternal Subscriberオブジェクトを介してDistributionを受信するには、Tiered Electronic Distributionを設定する必要があります。
External Subscriberオブジェクトを使用するには、次の節を参照して信頼されるツリーを理解する必要があります。
NetWareまたはWindowsサーバでは、eDirectoryツリーにNCPサーバオブジェクトがあるかどうか、またはMicrosoftドメインにサーバオブジェクトがあるかどうかによって、次の処理が適用されます。
信頼されるツリーの特定には2つの目的があります。
SubscriberサーバのTiered Electronic Distribution設定情報は、SubscriberオブジェクトのeDirectory(Distributorによって読み取られる)、およびSubscriberサーバのファイルシステムのtcpip.nlmファイル(Subscriberによって読み取られる)に保存されます。設定情報を送信するDistributorサーバのDistributorオブジェクトは、設定されるSubscriberオブジェクトと同じツリー内にある必要があります。
Subscriberサーバは、信頼されるツリー内のDistributorからのみSubscriberソフトウェア設定を受信できます。信頼されるツリーとは、サーバのSubscriberオブジェクトとDistributorオブジェクトの両方が含まれるツリーです。これは、関連付けられたExternal Subscriberオブジェクトが属するツリーではありません。サーバのNCPオブジェクトが属するツリーと同じかどうかは問題ではありません。
SubscriberサーバのツリーにSubscriberオブジェクトがない場合(MicrosoftドメインのWindowsサーバなど)は、Tiered Electronic Distribution設定情報のtednode.propertiesファイルを使用する必要があります。このファイルは、Subscriberソフトウェアのインストール時にサーバに作成されます。次に、Distributorから(External Subscriberオブジェクトを介して)別のツリーに送信されたDistributionを受信および抽出します。抽出プロセスでは、信頼されるツリーの要件が満たされていることが必要です。詳細については、Tednode.propertiesファイルの要件を参照してください。
次の2つの状況によって、SubscriberオブジェクトがSubscriberサーバにインストールされるかどうかが決まります。
eDirectoryサーバ: Subscriberソフトウェアをサーバにインストールし、そのサーバのNCPサーバオブジェクトが別のツリーにあるときは、次のいずれかのオプションを選択します。
Subscriberサーバの信頼されるツリーは、Distributorオブジェクトを含むツリーです。したがって、Subscriberは、信頼されるツリーのDistributorから送信されるTiered Electronic Distribution設定更新を受信します。
このSubscriberでポリシーを実行するには、Policy Package Distributionの送信元である、信頼されるツリーを特定する必要があります。
eDirectory以外のサーバ: SubscriberソフトウェアをMicrosoftドメイン内のサーバにインストールし、サーバのeDirectoryツリーにNCPサーバオブジェクトがないときは、サーバにSubscriberオブジェクトを作成できますが、必須ではありません。Subscriberオブジェクトがない場合は、tednode.propertiesファイルを使用してそのSubscriberサーバを設定する必要があります。External Subscriberオブジェクトを使用してSubscriberサーバにDistributionを送信する必要もあります。
このSubscriberでポリシーを実行するには、Policy Package Distributionの送信元である、信頼されるツリーを特定する必要があります。
インストールプログラムの[File Installation Paths and Options]ページには、[Trusted Tree]フィールドが表示されます。ただし、このフィールドは[Installation Options]ページの[Create eDirectory Objects]チェックボックスの選択を解除した場合にのみ表示されます。これにより、インストールプログラムは、選択されたサーバにソフトウェアのみをインストールします。
Subscriberソフトウェアをインストールする各サーバでは信頼されるツリーを選択する必要があります。選択しないと、ポリシーはツリー内のオブジェクトを指しているため、Policy Package DistributionがSubscriberサーバで抽出されない場合があります。
[Trusted Tree]フィールドに関するインストールの説明については、次の該当する節の手順を参照してください。詳細については、『Novell ZENworks 6.5 Server Managementインストールガイド』の「NetWareおよびWindowsへのインストール」を参照してください。
次のSubscriberサーバに設定情報を提供するには、tednode.propertiesファイルを使用する必要があります。
Subscriberは、Subscriberオブジェクトと同じツリーに属するDistributorオブジェクトのDistributorサーバによってのみ設定できます。
これは、Subscriberオブジェクトを作成せずにSubscriberソフトウェアのみをインストールしたMicrosoftドメイン内のWindowsサーバなどです。
Subscriberオブジェクトを作成せずにSubscriberソフトウェアをインストールした場合は(ZENworks Server Managementインストールプログラムを使用)、tednode.propertiesファイルが自動的に作成および設定されます。
詳細については、Tednode.propertiesファイルの編集を参照してください。
External Subscriberオブジェクトを使用してPolicy Package DistributionをSubscriberに送信するときに、信頼されるツリーで発生するエラーを防ぐには、agentinfo.propertiesファイルを編集する必要があります。
External Subscriberオブジェクトを使用してPolicy Package Distributionを受信するサーバで、\zenworks\pds\tedディレクトリのagentinfo.propertiesファイルの場所に移動します。
agentinfo.propertiesファイルをテキストエディタで開きます。
ファイルに次の行を追加します。
TRUSTED_TREE=source_tree_name
TRUSTED_TDN=External_Subscriber_DN
source_tree_nameは、Policy Package Distributionを送信するDistributorオブジェクトが属するツリーです。External_Subscriber_DNは、Distributionを受信するExternal Subscriberオブジェクトの完全識別名です。
agentinfo.propertiesファイルを保存して、テキストエディタを終了します。
準備ができたら、Policy Package DistributionをExternal Subscriberに送信します。
External Subscriberを使用して別のツリーに配布する方法については、次の節を参照してください。
Policy and Distribution Servicesソフトウェアをサーバにインストールしてから、External Subscriberオブジェクトを使用すると、ツリーにSubscriberオブジェクトを含まないサーバにDistributionを送信できます。
External Subscriberを経由してDistributionを送信するときのDistributorのルーティングに、次のようなTiered Electronic Distribution設定が存在するとします。

この例では、Server_2のツリーにSubscriberオブジェクトがありません。Subscriberソフトウェアだけがインストールされており、Server_2はDistributionを受信および抽出できます。このようなサーバには、ツリーにNCPサーバオブジェクトを含むNetWareサーバや、MicrosoftドメインのWindowsサーバがあります。
DistributionをDistributor_AからServer_2に送信するには、Tree_AにExternal Subscriberオブジェクトを作成し、External SubscriberオブジェクトのプロパティにServer_2のIPアドレスまたはDNS名を指定します。
eDirectoryの観点から見ると、DistributionはDistributorオブジェクトからExternal Subscriberオブジェクトに送信され、このExternal SubscriberオブジェクトによってServer_2に送信されます。DistributorがServer_2に直接Distributionを送信しないようにするには、Tree_Aの親Subscriber(非表示)を使用します。
トポロジの観点から見ると、Distributionファイルは、External Subscriberオブジェクトのプロパティで指定したServer_2のIPアドレスまたはDNS名を使用して、Server_1からServer_2に送信されます。
Server_2は、Subscriberソフトウェアのインストール時にサーバにインストールされたtednode.propertiesファイルからTiered Electronic Distribution設定情報を受信します。設定するSubscriberオブジェクトがないため、設定を変更するには、Server_2のtednode.propertiesファイルを編集する必要があります。tednode.propertiesファイルの編集については、Tednode.propertiesファイルの編集を参照してください。
Server_2でポリシーを実行するには、Subscriberソフトウェアをサーバにインストールするときに、Tree_Aを信頼されるツリーとして構築する必要があります。インストールの手順については、『Novell ZENworks 6.5 Server Managementインストールガイド』の「NetWareおよびWindowsへのインストール」を参照してください。
複数のツリー内のサーバにPolicy and Distribution Servicesソフトウェアをインストールしてから、External Subscriberオブジェクトを使用すると、ツリー間でDistributionを送信できます。
External Subscriberを経由してDistributionを送信するときのDistributorのルーティングに、次のようなTiered Electronic Distribution設定が存在するとします。

この例では、Tree_BのServer_3にSubscriberオブジェクトがあります。
DistributionをDistributor_AからServer_3に送信するには、Tree_AにExternal Subscriberオブジェクトを作成し、External SubscriberオブジェクトのプロパティにServer_3のIPアドレスまたはDNS名を指定します。
eDirectoryの観点から見ると、DistributionはDistributor_AからExternal Subscriberオブジェクトに送信され、このExternal SubscriberオブジェクトによってServer_3に送信されます。Distributor_AがServer_3に直接Distributionを送信しないようにするには、Tree_Aの親Subscriber(非表示)を使用します。
トポロジの観点から見ると、Distributionファイルは、External Subscriberオブジェクトのプロパティで指定したServer_3のIPアドレスまたはDNS名を使用して、Server_1からServer_3に送信されます。
各ツリーのDistributorは、ツリー内のSubscriberサーバの設定情報を提供します。
Tree_Bは、インストールプログラムによるSubscriberの構築時に、Server_3の信頼されるツリーとして設定されているため、Server_3はDistributor_BからTiered Electronic Distribution設定情報を受信します。ただし、Server_3はDistributor_Bによって設定されるまでDistributor_AからのDistributionを抽出できません。抽出は、SubscriberがDistributor_BからDistributionを最初に受信したときに実行されます。
Subscriberオブジェクトが別のツリーにあるSubscriberサーバや、ツリーにSubscriberオブジェクトがないSubscriberサーバにDistributionを送信するには、External Subscriberオブジェクトを作成します。
次の節では、External Subscriberを作成および設定する手順について説明します。
ConsoleOneで、External Subscriberオブジェクトを右クリックし、[Properties]をクリックします。
[General]>[Settings]の順にクリックし、次の設定フィールドに入力します。
[Use Policy]: External Subscriberのサーバで実行するTiered Electronic Distributionポリシーに設定された値を使用する場合は、このチェックボックスを選択します。
このオプションを選択すると、[Parent Subscriber]フィールドが淡色表示され、このポリシー設定が使用されます。
[Parent Subscriber]: 受信するすべてのDistributionの送信元となる親Subscriberを指定します。
Distributorオブジェクトのプロパティで作成されたルーティング階層には、親Subscriberのみが含まれるため、このフィールドによってエンドノードSubscriberをルーティング階層に結び付けることができます。これらのエンドノードSubscriber(この場合はExternal Subscriber)は、他のSubscriberにDistributionを渡すことができません。
[Network Address]タブを選択して、External SubscriberのサーバのIPアドレスを確認します。
[IP Address]: このIPアドレスは、オブジェクトの作成時に指定しています。IPアドレスが正しいことを確認します。
[Channels]タブを選択し、次のフィールドに入力します。
[Channels This Subscriber Is Subscribed To]
External Subscriberが登録されたChannelが表示されます。
[Active]: このExternal SubscriberがChannelのDistributionを受信できるようにChannelを有効にするには、Channelを選択して、チェックボックスを選択します。External SubscriberがChannelのDistributionを受信しないようにChannelを無効にするには、チェックボックスの選択を解除します。
[Channel]: Channelを作成するには、[Add]をクリックします。Channelを編集するには、[Details]をクリックします。
[Channels Subscribed to Through Subscriber Group Memberships]
External Subscriberが属するSubscriber Groupと、Subscriber GroupのメンバーシップによってExternal Subscriberが登録されたChannelが表示されます。
これらの列は表示専用です。[Details]、[Add]、および[Delete]ボタンは使用できません。
[Active]: 登録されたChannelが有効になっているかどうかが表示されます。
[Channel]: グループのメンバーシップによって登録されたChannelが表示されます。
[Subscriber Groups]: External Subscriberが属するグループが表示されます。列見出しをクリックすると、ソートできます。
このExternal Subscriberをグループに含めるには、[Group Membership]>[Add]の順にクリックし、Subscriber Groupオブジェクトを参照して、[Select]>[OK]の順にクリックします。
External Subscriberオブジェクトの設定が終了したら、[OK]をクリックして、オブジェクトのプロパティを終了します。