パーティション

パーティションは、eDirectoryデータベースの論理区分です。各ディレクトリパーティションは、ディレクトリ情報を格納するツリー内の個別のデータユニットとなります。

パーティションを分割すると、ディレクトリの一部を1つのサーバから切り離し、別のサーバに置くことができます。

WANリンクが遅い場合や信頼性に乏しい場合、またはディレクトリに多量のオブジェクトがあるためにサーバが処理しきれず、アクセスが遅くなる場合は、ディレクトリをパーティション分割することを検討してください。パーティションの詳細な説明については、パーティションおよびレプリカの管理を参照してください。

各ディレクトリパーティションは、コンテナオブジェクト、それに含まれるすべてのオブジェクト、およびそれらのオブジェクトに関するデータのセットから構成されます。パーティションには、ファイルシステムに関する情報、またはパーティションに含まれるディレクトリやファイルに関する情報はありません。

パーティション分割は、Novell iManagerを使用して行います。iManagerでは、パーティションは、[パーティション]アイコン([パーティション]アイコン)によって識別されます。

図 13
サーバのレプリカビュー

この上の例では、[パーティション]アイコンはTreeオブジェクトの横にあります。この場合は、Treeオブジェクトが、パーティション内の最上位のコンテナであることを意味します。他のコンテナではパーティションが表示されていないため、このパーティションが唯一のパーティションになります。

これはデフォルトのeDirectoryパーティションで、ディレクトリ全体を1つのパーティションにまとめています。

この例では、Server1のレプリカビューが表示されていることに注意してください。iManagerでサーバのレプリカビューを表示すると、そのサーバに保持されているすべてのレプリカが右に表示されます。この場合、Server1には唯一のパーティションのレプリカが保持されています。詳細については、レプリカおよびeDirectoryサーバのレプリカを表示するを参照してください。


パーティション

パーティションには、その最上位のコンテナの名前が付けられます。図 14では、TreeおよびFinanceという名前の2つのパーティションがあります。パーティションFinanceはTreeから分割されたため、このパーティションはTreeのチャイルドパーティションと呼ばれます。またTreeは、Financeのペアレントパーティションと呼ばれます。

図 14
パーティションのレプリカビュー

ディレクトリに大量のオブジェクトがあるためにサーバが処理しきれず、eDirectoryへのアクセスが遅くなる場合、このように新しいパーティションを作成すると便利です。新しいパーティションを作成すると、データベースを分割し、その分岐のオブジェクトを異なるサーバに渡すことができます。

上の例では、Financeパーティションのレプリカビューが表示されています。iManagerでパーティションのレプリカビューを表示すると、そのパーティションのレプリカを持つサーバはすべて右側に表示されます。この場合、Server1には、Financeパーティションの読み書き可能レプリカが保持されています。詳細については、「パーティションレプリカを表示する」を参照してください。


パフォーマンス向上のためにレプリカを分散する

前の例で、Server1サーバに、TreeパーティションとFinanceパーティションの両方のレプリカが保管されているとします。この場合、パーティション分割後もServer1はディレクトリ全体(両パーティションのレプリカ)をまだ保持しているため、パーティション分割によるeDirectoryのパフォーマンスの向上は実現されません。

パフォーマンスを向上させるには、レプリカの1つを別のサーバに移動する必要があります。たとえば、TreeパーティションをServer2へ移動すると、TreeおよびYourCoコンテナにあるすべてのオブジェクトがServer2に移動します。Server1は、FinanceおよびAccountsコンテナのオブジェクトだけを格納することになります。Server1とServer2への負荷は、パーティション分割を行っていないときに比べて、いずれも軽くなります。


パーティションとWANリンク

ネットワークが、WANリンクで分割されたNorthサイトとSouthサイトの2つのサイトに渡っている場合を考えてみます。各サイトには、それぞれ3つのサーバがあります。

図 15
eDirectoryコンテナの例

このケースでは、ディレクトリを2つのパーティションに分割すると、eDirectoryはより高速になり、信頼性も向上します。

パーティションが1つしかないと、レプリカは1つのサイトに保存されるか、2つのサイトに分散されます。この場合、次の2つの問題点があります。

図 16に示した2つのパーティションによるソリューションは、WANリンクでのパフォーマンスと信頼性の問題を解決します。

図 16
パーティションの例

Treeパーティションのレプリカは、Northサイトのサーバに保存されています。Southパーティションのレプリカは、図 17に示すように、Southサイトのサーバに保存されています。

図 17
パーティション、サーバ、およびレプリカの例

各サイトでは、ローカルリソースを表すオブジェクトは、ローカルで保存されています。サーバ間の同期トラフィックは、通信速度が遅く信頼性の低いWANリンクではなく、LAN上でローカルに行われます。

ただし、異なるサイトのオブジェクトにユーザや管理者がアクセスする場合は、WANリンク上でのeDirectoryトラフィックが発生します。