1.4 フォルダおよびKonquerorのあるファイルの管理

Konquerorは、Webブラウザ、ファイルマネージャ、ドキュメントビューア、イメージビューアの統合ツールです。次のセクションでは、ファイル管理のためのKonquerorの使用について説明します。WebブラウザとしてのKonquerorについては、「セクション 14.0, Konquerorを使ったブラウズ」を参照してください。

パネルにある家の形のアイコンをクリックしてファイルマネージャとしてのKonquerorを起動します。Konquerorには、ホームディレクトリの内容が表示されます。

図 1-11 ファイルマネージャKonqueror

Konquerorファイルマネージャウィンドウは、次の要素から構成されます。

メニューバー

メニューバーには、ファイルのコピー、移動、または削除、ビューの変更、追加ツールの起動、設定の定義、およびヘルプの取得などのアクションに関するメニュー項目があります。

ツールバー

ツールバーを使用すると、よく使用する機能に簡単にアクセスできます。これらの機能には、メニューからもアクセスできます。アイコンの上にポインタを移動すると、簡単な説明が表示されます。ツールバーの右側には、Konquerorアイコンがあり、ディレクトリやWebページのロード中、アニメーションで表示されます。

場所ツールバー

場所ツールバーには、ファイルシステム内のディレクトリまたはファイルへのパスが表示されます。表示フィールドに入力するか、ディレクトリの1つをクリックすることで、ディレクトリへの直接のパスを入力できます。場所ツールバーの左隅にある、黒に白抜きのXがあるバーをクリックして、行の内容を削除します。アドレスを入力した後、<Enter>キーを押すか入力行の右端にある[進む]アイコンをクリックします。

Windowsオペレーティングシステムと異なり、Linuxではドライブ文字は使用しません。Windowsでは、フロッピーディスクドライブをA:\でアドレス指定し、WindowsシステムデータはC:\の下にある、などのようになります。Linuxでは、すべてのファイルとディレクトリがツリー型構造で配置されます。最上位のディレクトリは、ファイルシステムルートまたは/と呼ばれます。他のすべてのディレクトリには、ここからアクセスできます。次に、Linuxファイルシステム内の最も重要なディレクトリの概略を示します。

/homeでは、システム上にアカウントを持つすべてのユーザの個人データが保持されます。このディレクトリにあるファイルは、その所有者またはシステム管理者しか変更できません。たとえば、各自の電子メールディレクトリは、このディレクトリにあります。

メモ: ネットワーク環境でのホームディレクトリ

ネットワーク環境で作業している場合は、ホームディレクトリは/homeとは呼ばれないことがありますが、ファイルシステム内のどのディレクトリにもマッピングできます。

/mediaでは、一般にシステムのハードディスク以外のあらゆるタイプのドライブが保持されます。USBフラッシュドライブは、接続されると/mediaの下に表示されます。これは、デジタルカメラ(USBを使用する場合)またはDVDやCDドライブを接続した場合も同様です。

/usr/share/docの下に、Linuxシステムとインストールされたパッケージに関するあらゆる種類のマニュアルがあります。manualサブディレクトリには、このマニュアルのデジタルコピーと他のマニュアル、そしてインストールされたLinuxシステムのバージョンのリリースノートが置かれています。packagesディレクトリには、ソフトウェアパッケージに付属するマニュアルが保持されます。

/windowsは、システム上にMS WindowsとLinuxの両方がインストールされている場合にのみ表示されます。ここには、MS Windowsのデータがあります。

Linuxファイルシステムの概念、およびより詳細なディレクトリリストについては、「セクション 15.1.2, Linux Directory Structure, (↑ Deployment Guide )」を参照してください。

ナビゲーションパネル

<F9>キーを押して、ナビゲーションパネルを非表示および表示にできます。ナビゲーションパネルには、ツリービューでの情報が表示されます。ナビゲーションパネルの左側にあるタブでシンボルをクリックして、表示したい内容を決定します。アイコンの上にマウスポインタを置くと、簡単な説明が表示されます。たとえば、ファイルシステムをルートフォルダまたはホームディレクトリで開始されるツリーとして表示できます。

表示フィールド

表示フィールドには、選択したディレクトリまたはファイルの内容が表示されます。[表示]メニューで、[アイコンビュー][ツリービュー]、または[詳細リスト表示]などのビューモードの中からいずれかを選択して内容を表示できます。ファイルをクリックすると、Konquerorに内容のプレビューが表示されるか、ファイルが次の処理を行うアプリケーションにロードされます。ファイルの上にマウスポインタを移動すると、Konquerorには、所有者、権限、変更日付など、ファイルの詳細情報のあるツールチップが表示されます。

デフォルトでは、通常アクセスまたは表示しないシステムファイルなどの隠しファイルはKonquerorには表示されません。Linuxでは、隠しファイルの前にはピリオドが付けられています。隠しファイルを表示または非表示にするには、[表示] > [Show Hidden Files]の順に選択します。

1.4.1 ファイルのコピー、移動、または削除

ファイルのコピー、移動、または削除のようなアクションの実行には、アクションに関連するフォルダとファイルに対する適切な権限が必要です。アクセスパーミッションの変更の詳細については、「セクション 1.4.3, アクセス権の変更」を参照してください。

ヒント: Konquerorでのオブジェクトの選択

Konqueror中のファイルまたはフォルダをクリックすると、ファイルの場合はプレビューが表示され、フォルダの場合はそのフォルダが開かれます。MS Windowsの従来のユーザーにとっては、この動作は変わっているかもしれません。他のアクションなしでファイルを選択だけしたい場合は、<Ctrl>キーを押してからオブジェクトをクリックします。代わりに、KDEコントロールセンターでマウス設定を変更してください(「」を参照)。

ファイルまたはフォルダをコピーまたは移動するには、次の手順を実行します。

  1. オブジェクトを右クリックして、コンテキストメニューから[コピー]または[切り取り]を選択します。オブジェクトがクリップボードに保管されます。

  2. オブジェクトを挿入するフォルダに移動します。移動先フォルダを右クリックし、[貼り付け]を選択します。オブジェクトがコピー、または移動されます。

ドラッグアンドドロップを使用すると、Konquerorでのオブジェクトのコピーまたは移動などの操作が簡単にできます。たとえば、ドラッグするだけで、1つのウィンドウから別のウィンドウにオブジェクトを簡単に移動できます。オブジェクトをドロップすると、そのオブジェクトを移動するかコピーするかを尋ねるメッセージが表示されます。

ファイルまたはフォルダを削除するには、次の手順を実行します。

  • オブジェクトを選択して<Del>キーを押すか、ファイルを右クリックしてから、コンテキストメニューから[ごみ箱へ移動]を選択します。オブジェクトはごみ箱へ移動されます。必要な場合は、ファイルまたはフォルダをそこから復元するか、完全に削除することができます。関連項目 「セクション 1.3.4, ごみ箱の管理」.

  • オブジェクトを復元できないように削除するには、[編集] > [削除]をクリックするか、Shift+Delキーを押します。コンテキストメニューに[削除]を追加する場合は、[設定] > [Konquerorを設定] > [動作]の順にクリックして、適切なチェックボックスを選択します。

1.4.2 新しいフォルダの作成

Konquerorで新しいフォルダを作成するには、次の手順に従います。

  1. サブフォルダの追加先のフォルダを右クリックします。

  2. [Create Folder]を選択します。

  3. [新しいフォルダ]ダイアログで、新しいフォルダの名前を入力して、[OK]をクリックしワす。

1.4.3 アクセス権の変更

Linuxはマルチユーザシステムのため、Linuxファイルシステム中のファイルは、それぞれユーザやグループに属します。スーパーユーザも含め、すべてのユーザには、各自のホームディレクトリが用意されています。このディレクトリには、ドキュメント、ブックマーク、または電子メールなどの個人データが保存されます。デフォルトでは、これらのホームディレクトリへの書き込みアクセスは所有者に限定されています。ファイルやディレクトリの所有者は、そのファイルへのアクセス権限を変更することができます。たとえば、重要なデータのあるファイルに対して、他のユーザからの読み取りアクセスを禁止したり、必要に応じて他のユーザによるファイルの読み取り、書き込みまたは実行を許可することができます。

従来どおり、Linuxシステムのファイルオブジェクトごとに3セットのパーミッションが定義されます。この3セットには、読み取り(r)、書き込み(w)、実行(x)の各パーミッションがあり、それぞれが3種類のユーザ(ファイル所有者、グループ、その他のユーザ)ごとに設定されます。Linuxの概念については、セクション 15.2, Users and Access Permissions, (↑ Deployment Guide )を参照してください。シェルでアクセス権限を変更する従来の方法のかわりに、Konquerorが提供するGUIを利用することもできます。

ファイルの権限を設定するには、Konquerorで以下のオプションを選択してください。

Forbidden

ファイルシステム中のファイル名は確認できますが、ファイルを開いて読み取ることはできません。

Can Read

ファイルを開いて参照できますが、変更することはできません。

Can Read & Write

ファイルを開いて読み取ったり、変更したりできます。

Konquerorを使用してフォルダのパーミッションを設定する場合は、次のオプションを利用できます。

Forbidden

ファイルシステムのフォルダ名は確認できますが、フォルダを開くことはできません。

Can View Content

フォルダの内容を表示できます。

Can View & Modify Content

フォルダの内容を表示したり、そのフォルダ内に新しいファイルやサブフォルダを作成できます。

アクセスパーミッションを変更するには、次の手順に従います。

  1. Konquerorを起動して、アクセスパーミッションを変更するファイルやフォルダを選択します。

  2. ファイルを右クリックし、[プロパティ]を選択します。新しいダイアログが開きます。

  3. [Permissions]タブをクリックします。タブの下部には、ファイルまたはフォルダの所有者情報が表示されます。タブの上部には、現在のアクセスパーミッションが表示されます。

  4. [Owner][Group]、および[Others]リストから、ファイルやフォルダに設定するアクセスパーミッションを選択します。

  5. [OK] をクリックして、変更内容を適用します。

Konquerorでは、ファイルシステムオブジェクトに対する従来のアクセスパーミッションのほかに、ACL(アクセス制御リスト)を使用することもできます。ACLを使用すれば、従来のパーミッション概念で許されていた以上のパーミッションを柔軟に定義できます。また、パーミッションが元の所有者や所有者の所属グループに対応していない場合でも個々のユーザまたはグループにそうしたパーミッションを割り当てることができます。ACLの詳細は、「セクション 13.0, Access Control Lists in Linux, (↑ Deployment Guide )」を参照してください。

特定のユーザまたはグループに、ファイルやフォルダに対するアクセスパーミッションを与えるには、以下の手順に従ってください。

  1. Konquerorを起動して、アクセスパーミッションを変更するファイルやフォルダを選択します。

  2. 目的のファイルの[プロパティ]ダイアログを開き、[Permissions]タブをクリックします。

  3. [Advanced Permissions]をクリックします。ダイアログボックスに、オブジェクトの現在のアクセスパーミッションが表示されます。

  4. [エントリの追加]をクリックします。

  5. ファイルやフォルダにアクセスパーミッションを特定のユーザに与えるには、[名前付きユーザ]を選択して、リストから目的のユーザを選択します。

    ファイルやフォルダにアクセスパーミッションを特定のグループに与えるには、[名前付きグループ]を選択して、リストから目的のグループを選択します。

  6. [Advanced Permissions]ダイアログで、追加したユーザやグループが現在のパーミッションのリストに表示されます。ファイルやフォルダに対して読み取り、書き込み、または実行権限が与えられている場合、それぞれ[r][w]、または[x]列に緑のチェックマークが表示されます。

  7. ユーザの[r][w]、または[x]列のチェックマークをクリックして、そのユーザのアクセス権限を変更することができます。

  8. アクセス権限を設定し終わったら、[OK]をクリックしてダイアログを閉じます。

  9. 変更内容を適用して[Properties]ダイアログを閉じるには、[OK]をクリックします。

1.4.4 ファイルの関連付けの変更

Konquerorでは、ファイルを開くのに使用する必要があるアプリケーションを選択できます。

図 1-12 Konquerorでのファイルの関連付けの設定

  1. Konquerorで、[設定] > [Konquerorを設定] > [ファイルの関連付け]をクリックします。

  2. 拡張子を検索するには、拡張子を[ファイルパターンを検索]に入力します。検索条件に一致するファイルパターンを持つファイルタイプだけがリストに表示されます。たとえば、アプリケーションを*.pngファイルに変更するには、png[ファイルパターンを検索]に入力します。

  3. [既知のタイプ]リストで、ファイルタイプをクリックして、このファイルタイプについての設定ダイアログを開きます。アイコン、ファイル名パターン、説明、およびアプリケーションの順番を変更できます。

    ツールがリストにない場合は、[アプリケーションの優先順位][追加]をクリックしてそのツールのコマンドを入力します。

    リストエントリの順番を変更するには、移動するプログラムをクリックし、[上に移動]または[下に移動]をクリックしてより高い優先度または低い優先度を割り当てます。このタイプのファイルをクリックすると、リストの一番上にあるアプリケーションがデフォルトで使用されます。

  4. [既知のタイプ]リストにないファイルタイプが必要な場合は、[追加]をクリックすると、グループを選択してタイプ名を入力するためのダイアログボックスが表示されます。グループによって、オーディオ、イメージ、テキスト、ビデオなどのメインタイプが決まります。通常は、ファイルタイプにこれらのいずれかを割り当てることができます。

    1. [OK]をクリックしたら、ファイルの拡張子を決定します。

    2. テキストフィールドに説明を入力し、使用するアプリケーションを指定します。

  5. [OK]をクリックします。

1.4.5 ビューのプロファイルの保存

[表示]メニューから適切な[ビューモード]を選択して、特定のフォルダのビューを一時的に変更できます。変更内容をすべてのフォルダに適用する場合は、ビュープロファイルに設定内容を保存します。設定内容を保存するには、目的のビューに変更した後に、[設定] > [ビューのプロファイルを設定]の順に選択します。次に、保存するプロファイル名を入力し、[保存]をクリックします。すべてのフォルダに対して、ビューの変更が適用されます。設定情報は、このプロファイルに保存されます。このプロファイルは、[設定] > [ビューのプロファイルを読み込み]の順に選択して、いつでもロードできます。Konquerorにはデフォルトで、さまざまな作業用ビュープロファイルがいくつか用意されています。これらのプロファイルは、ニーズに応じて変更することもできます。

1.4.6 Konquerorでデジタルカメラにアクセスする

Konquerorを使用して、デジタルカメラにもアクセスできます。お使いのカメラをUSBポートに接続します。カメラアイコンがデスクトップに表示されます。このアイコンをクリックすると、カメラがKonquerorで開きます。カメラには、KonquerorでURL(camera:/)を入力してもアクセスできます。カメラのディレクトリ構造内を移動して、希望のファイルを表示します。通常のKonquerorファイル管理機能を使用して、これらのファイルを必要に応じてコピーします。

1.4.7 Konquerorで画像を表示する

Konquerorは、イメージビューアとして使用することもできます。ディレクトリ内に含まれているすべての画像の概要を簡単に表示するには、ディレクトリを選択し、ツールバーの[イメージビューア]アイコンをクリックします。サムネイルが生成され、ウィンドウの左側に表示されます。いずれかのサムネイルをクリックすると、ウィンドウの右側にその画像がフルサイズで表示されます。このツールバーには、前後移動、画像のズームや回転、スライドショーの作成用のアイコンも含まれています。通常の表示に切り替えるには、ツールバーの[アイコンビュー]または[ツリービュー]をクリックします。

この機能のほかに、画像をアルバム形式で表示するイメージギャラリも作成できます。Konquerorでイメージディレクトリを開き、[ツール] > [Create Image Gallery]の順に選択します。ダイアログが開き、背景、背景色、ページタイトル、ギャラリの保存場所などの設定を指定できます。[OK] をクリックして、アクションを開始します。デフォルトでは、index.htmlというファイルが作成されます。このファイルをKonquerorでクリックすると、画像が小さく整理されて表示されます。いずれかの画像をクリックすると、フルサイズで表示できます。

図 1-13 Konquerorでイメージギャラリを作成する

Gwenviewを使用して、画像を表示することもできます。Gwenviewを起動するには、Alt+F2キーを押してgwenviewを入力します。Gwenviewの詳細については、Gwenviewのオンラインヘルプを参照してください。

デジタルカメラから写真をダウンロード、編集するには、「セクション 19.0, デジタル画像コレクションの管理」で説明されているようにDigiKamを使用できます。