Konquerorは、Webブラウザ、ファイルマネージャ、ドキュメントビューア、イメージビューアの統合ツールです。次のセクションでは、ファイル管理のためのKonquerorの使用について説明します。WebブラウザとしてのKonquerorについては、「セクション 14.0, Konquerorを使ったブラウズ」を参照してください。
パネルにある家の形のアイコンをクリックしてファイルマネージャとしてのKonquerorを起動します。Konquerorには、ホームディレクトリの内容が表示されます。
図 1-11 ファイルマネージャKonqueror
Konquerorファイルマネージャウィンドウは、次の要素から構成されます。
メニューバーには、ファイルのコピー、移動、または削除、ビューの変更、追加ツールの起動、設定の定義、およびヘルプの取得などのアクションに関するメニュー項目があります。
ツールバーを使用すると、よく使用する機能に簡単にアクセスできます。これらの機能には、メニューからもアクセスできます。アイコンの上にポインタを移動すると、簡単な説明が表示されます。ツールバーの右側には、Konquerorアイコンがあり、ディレクトリやWebページのロード中、アニメーションで表示されます。
場所ツールバーには、ファイルシステム内のディレクトリまたはファイルへのパスが表示されます。表示フィールドに入力するか、ディレクトリの1つをクリックすることで、ディレクトリへの直接のパスを入力できます。場所ツールバーの左隅にある、黒に白抜きのXがあるバーをクリックして、行の内容を削除します。アドレスを入力した後、<Enter>キーを押すか入力行の右端にあるアイコンをクリックします。
Windowsオペレーティングシステムと異なり、Linuxではドライブ文字は使用しません。Windowsでは、フロッピーディスクドライブをA:\でアドレス指定し、WindowsシステムデータはC:\の下にある、などのようになります。Linuxでは、すべてのファイルとディレクトリがツリー型構造で配置されます。最上位のディレクトリは、ファイルシステムルートまたは/と呼ばれます。他のすべてのディレクトリには、ここからアクセスできます。次に、Linuxファイルシステム内の最も重要なディレクトリの概略を示します。
/homeでは、システム上にアカウントを持つすべてのユーザの個人データが保持されます。このディレクトリにあるファイルは、その所有者またはシステム管理者しか変更できません。たとえば、各自の電子メールディレクトリは、このディレクトリにあります。
メモ: ネットワーク環境でのホームディレクトリ
ネットワーク環境で作業している場合は、ホームディレクトリは/homeとは呼ばれないことがありますが、ファイルシステム内のどのディレクトリにもマッピングできます。
/mediaでは、一般にシステムのハードディスク以外のあらゆるタイプのドライブが保持されます。USBフラッシュドライブは、接続されると/mediaの下に表示されます。これは、デジタルカメラ(USBを使用する場合)またはDVDやCDドライブを接続した場合も同様です。
/usr/share/docの下に、Linuxシステムとインストールされたパッケージに関するあらゆる種類のマニュアルがあります。manualサブディレクトリには、このマニュアルのデジタルコピーと他のマニュアル、そしてインストールされたLinuxシステムのバージョンのリリースノートが置かれています。packagesディレクトリには、ソフトウェアパッケージに付属するマニュアルが保持されます。
/windowsは、システム上にMS WindowsとLinuxの両方がインストールされている場合にのみ表示されます。ここには、MS Windowsのデータがあります。
Linuxファイルシステムの概念、およびより詳細なディレクトリリストについては、「セクション 15.1.2, Linux Directory Structure,
(↑ Deployment Guide )」を参照してください。
<F9>キーを押して、ナビゲーションパネルを非表示および表示にできます。ナビゲーションパネルには、ツリービューでの情報が表示されます。ナビゲーションパネルの左側にあるタブでシンボルをクリックして、表示したい内容を決定します。アイコンの上にマウスポインタを置くと、簡単な説明が表示されます。たとえば、ファイルシステムをルートフォルダまたはホームディレクトリで開始されるツリーとして表示できます。
表示フィールドには、選択したディレクトリまたはファイルの内容が表示されます。メニューで、、、またはなどのビューモードの中からいずれかを選択して内容を表示できます。ファイルをクリックすると、Konquerorに内容のプレビューが表示されるか、ファイルが次の処理を行うアプリケーションにロードされます。ファイルの上にマウスポインタを移動すると、Konquerorには、所有者、権限、変更日付など、ファイルの詳細情報のあるツールチップが表示されます。
デフォルトでは、通常アクセスまたは表示しないシステムファイルなどの隠しファイルはKonquerorには表示されません。Linuxでは、隠しファイルの前にはピリオドが付けられています。隠しファイルを表示または非表示にするには、の順に選択します。
ファイルのコピー、移動、または削除のようなアクションの実行には、アクションに関連するフォルダとファイルに対する適切な権限が必要です。アクセスパーミッションの変更の詳細については、「セクション 1.4.3, アクセス権の変更」を参照してください。
ヒント: Konquerorでのオブジェクトの選択
Konqueror中のファイルまたはフォルダをクリックすると、ファイルの場合はプレビューが表示され、フォルダの場合はそのフォルダが開かれます。MS Windowsの従来のユーザーにとっては、この動作は変わっているかもしれません。他のアクションなしでファイルを選択だけしたい場合は、<Ctrl>キーを押してからオブジェクトをクリックします。代わりに、KDEコントロールセンターでマウス設定を変更してください(「」を参照)。
ファイルまたはフォルダをコピーまたは移動するには、次の手順を実行します。
オブジェクトを右クリックして、コンテキストメニューからまたはを選択します。オブジェクトがクリップボードに保管されます。
オブジェクトを挿入するフォルダに移動します。移動先フォルダを右クリックし、を選択します。オブジェクトがコピー、または移動されます。
ドラッグアンドドロップを使用すると、Konquerorでのオブジェクトのコピーまたは移動などの操作が簡単にできます。たとえば、ドラッグするだけで、1つのウィンドウから別のウィンドウにオブジェクトを簡単に移動できます。オブジェクトをドロップすると、そのオブジェクトを移動するかコピーするかを尋ねるメッセージが表示されます。
ファイルまたはフォルダを削除するには、次の手順を実行します。
オブジェクトを選択して<Del>キーを押すか、ファイルを右クリックしてから、コンテキストメニューからを選択します。オブジェクトはごみ箱へ移動されます。必要な場合は、ファイルまたはフォルダをそこから復元するか、完全に削除することができます。関連項目 「セクション 1.3.4, ごみ箱の管理」.
オブジェクトを復元できないように削除するには、をクリックするか、Shift+Delキーを押します。コンテキストメニューにを追加する場合は、の順にクリックして、適切なチェックボックスを選択します。
Konquerorで新しいフォルダを作成するには、次の手順に従います。
サブフォルダの追加先のフォルダを右クリックします。
を選択します。
ダイアログで、新しいフォルダの名前を入力して、をクリックしワす。
Linuxはマルチユーザシステムのため、Linuxファイルシステム中のファイルは、それぞれユーザやグループに属します。スーパーユーザも含め、すべてのユーザには、各自のホームディレクトリが用意されています。このディレクトリには、ドキュメント、ブックマーク、または電子メールなどの個人データが保存されます。デフォルトでは、これらのホームディレクトリへの書き込みアクセスは所有者に限定されています。ファイルやディレクトリの所有者は、そのファイルへのアクセス権限を変更することができます。たとえば、重要なデータのあるファイルに対して、他のユーザからの読み取りアクセスを禁止したり、必要に応じて他のユーザによるファイルの読み取り、書き込みまたは実行を許可することができます。
従来どおり、Linuxシステムのファイルオブジェクトごとに3セットのパーミッションが定義されます。この3セットには、読み取り(r)、書き込み(w)、実行(x)の各パーミッションがあり、それぞれが3種類のユーザ(ファイル所有者、グループ、その他のユーザ)ごとに設定されます。Linuxの概念については、セクション 15.2, Users and Access Permissions,
(↑ Deployment Guide )を参照してください。シェルでアクセス権限を変更する従来の方法のかわりに、Konquerorが提供するGUIを利用することもできます。
ファイルの権限を設定するには、Konquerorで以下のオプションを選択してください。
ファイルシステム中のファイル名は確認できますが、ファイルを開いて読み取ることはできません。
ファイルを開いて参照できますが、変更することはできません。
ファイルを開いて読み取ったり、変更したりできます。
Konquerorを使用してフォルダのパーミッションを設定する場合は、次のオプションを利用できます。
ファイルシステムのフォルダ名は確認できますが、フォルダを開くことはできません。
フォルダの内容を表示できます。
フォルダの内容を表示したり、そのフォルダ内に新しいファイルやサブフォルダを作成できます。
アクセスパーミッションを変更するには、次の手順に従います。
Konquerorを起動して、アクセスパーミッションを変更するファイルやフォルダを選択します。
ファイルを右クリックし、を選択します。新しいダイアログが開きます。
タブをクリックします。タブの下部には、ファイルまたはフォルダの所有者情報が表示されます。タブの上部には、現在のアクセスパーミッションが表示されます。
、、およびリストから、ファイルやフォルダに設定するアクセスパーミッションを選択します。
をクリックして、変更内容を適用します。
Konquerorでは、ファイルシステムオブジェクトに対する従来のアクセスパーミッションのほかに、ACL(アクセス制御リスト)を使用することもできます。ACLを使用すれば、従来のパーミッション概念で許されていた以上のパーミッションを柔軟に定義できます。また、パーミッションが元の所有者や所有者の所属グループに対応していない場合でも個々のユーザまたはグループにそうしたパーミッションを割り当てることができます。ACLの詳細は、「セクション 13.0, Access Control Lists in Linux,
(↑ Deployment Guide )」を参照してください。
特定のユーザまたはグループに、ファイルやフォルダに対するアクセスパーミッションを与えるには、以下の手順に従ってください。
Konquerorを起動して、アクセスパーミッションを変更するファイルやフォルダを選択します。
目的のファイルのダイアログを開き、タブをクリックします。
をクリックします。ダイアログボックスに、オブジェクトの現在のアクセスパーミッションが表示されます。
をクリックします。
ファイルやフォルダにアクセスパーミッションを特定のユーザに与えるには、を選択して、リストから目的のユーザを選択します。
ファイルやフォルダにアクセスパーミッションを特定のグループに与えるには、を選択して、リストから目的のグループを選択します。
ダイアログで、追加したユーザやグループが現在のパーミッションのリストに表示されます。ファイルやフォルダに対して読み取り、書き込み、または実行権限が与えられている場合、それぞれ、、または列に緑のチェックマークが表示されます。
ユーザの、、または列のチェックマークをクリックして、そのユーザのアクセス権限を変更することができます。
アクセス権限を設定し終わったら、をクリックしてダイアログを閉じます。
変更内容を適用してダイアログを閉じるには、をクリックします。
Konquerorでは、ファイルを開くのに使用する必要があるアプリケーションを選択できます。
図 1-12 Konquerorでのファイルの関連付けの設定
Konquerorで、をクリックします。
拡張子を検索するには、拡張子をに入力します。検索条件に一致するファイルパターンを持つファイルタイプだけがリストに表示されます。たとえば、アプリケーションを*.pngファイルに変更するには、pngをに入力します。
リストで、ファイルタイプをクリックして、このファイルタイプについての設定ダイアログを開きます。アイコン、ファイル名パターン、説明、およびアプリケーションの順番を変更できます。
ツールがリストにない場合は、のをクリックしてそのツールのコマンドを入力します。
リストエントリの順番を変更するには、移動するプログラムをクリックし、またはをクリックしてより高い優先度または低い優先度を割り当てます。このタイプのファイルをクリックすると、リストの一番上にあるアプリケーションがデフォルトで使用されます。
リストにないファイルタイプが必要な場合は、をクリックすると、グループを選択してタイプ名を入力するためのダイアログボックスが表示されます。グループによって、オーディオ、イメージ、テキスト、ビデオなどのメインタイプが決まります。通常は、ファイルタイプにこれらのいずれかを割り当てることができます。
をクリックしたら、ファイルの拡張子を決定します。
テキストフィールドに説明を入力し、使用するアプリケーションを指定します。
をクリックします。
メニューから適切なを選択して、特定のフォルダのビューを一時的に変更できます。変更内容をすべてのフォルダに適用する場合は、ビュープロファイルに設定内容を保存します。設定内容を保存するには、目的のビューに変更した後に、の順に選択します。次に、保存するプロファイル名を入力し、をクリックします。すべてのフォルダに対して、ビューの変更が適用されます。設定情報は、このプロファイルに保存されます。このプロファイルは、の順に選択して、いつでもロードできます。Konquerorにはデフォルトで、さまざまな作業用ビュープロファイルがいくつか用意されています。これらのプロファイルは、ニーズに応じて変更することもできます。
Konquerorを使用して、デジタルカメラにもアクセスできます。お使いのカメラをUSBポートに接続します。カメラアイコンがデスクトップに表示されます。このアイコンをクリックすると、カメラがKonquerorで開きます。カメラには、KonquerorでURL(camera:/)を入力してもアクセスできます。カメラのディレクトリ構造内を移動して、希望のファイルを表示します。通常のKonquerorファイル管理機能を使用して、これらのファイルを必要に応じてコピーします。
Konquerorは、イメージビューアとして使用することもできます。ディレクトリ内に含まれているすべての画像の概要を簡単に表示するには、ディレクトリを選択し、ツールバーのアイコンをクリックします。サムネイルが生成され、ウィンドウの左側に表示されます。いずれかのサムネイルをクリックすると、ウィンドウの右側にその画像がフルサイズで表示されます。このツールバーには、前後移動、画像のズームや回転、スライドショーの作成用のアイコンも含まれています。通常の表示に切り替えるには、ツールバーのまたはをクリックします。
この機能のほかに、画像をアルバム形式で表示するイメージギャラリも作成できます。Konquerorでイメージディレクトリを開き、の順に選択します。ダイアログが開き、背景、背景色、ページタイトル、ギャラリの保存場所などの設定を指定できます。をクリックして、アクションを開始します。デフォルトでは、index.htmlというファイルが作成されます。このファイルをKonquerorでクリックすると、画像が小さく整理されて表示されます。いずれかの画像をクリックすると、フルサイズで表示できます。
図 1-13 Konquerorでイメージギャラリを作成する
Gwenviewを使用して、画像を表示することもできます。Gwenviewを起動するには、Alt+F2キーを押してgwenviewを入力します。Gwenviewの詳細については、Gwenviewのオンラインヘルプを参照してください。
デジタルカメラから写真をダウンロード、編集するには、「セクション 19.0, デジタル画像コレクションの管理」で説明されているようにDigiKamを使用できます。