4.2 インストールの準備

このセクションでは、インストール用のデータをアクセス可能にする方法、さまざまな手段によるSUSE Linux Enterprise Serverのインストールの方法、およびSUSE Linux Enterprise ServerインストールシステムのIPLを準備して使用する方法について検討します。また、ネットワーク設定とネットワークインストールについても説明します。

4.2.1 インストールデータを利用できるようにする

このセクションでは、SUSE Linux Enterprise Server IBM System zのインストールデータをインストール用にアクセスできるようにする方法について詳しく説明します。コンピュータとシステム環境に応じて、NFSまたはFTPによるインストールを選択します。使用環境内でMicrosoft Windowsワークステーションを実行している場合は、SMBプロトコルを含めたWindowsネットワークを使用して、SUSE Linux Enterprise ServerをIBM System zシステムにインストールすることもできます。

ヒント: DVDからのIPL

SUSE Linux Enterprise Server Version 10のService Pack 1以降は、DVDからのIPLが可能になり、DVDをインストールメディアとして使用できるようになっています。これは、インストールメディアを提供するインストールサーバをネットワーク上に設定するのに制限を伴う場合にも、便利です。前提条件はFCP接続SCSI DVDドライブです。

LinuxワークステーションまたはSUSE Linux Enterprise Server DVDの使用

コンピュータ環境でLinuxワークステーションを実行している場合は、そのワークステーションを使用して、NFSまたはFTP経由でインストールデータをIBM System zインストールプロセスで使用できるようにします。x86のSUSE Linux Enterprise ServerでLinuxワークステーションを実行している場合は、セクション 14.2.1, YaSTを使ったインストールサーバのセットアップで説明されているとおりに、YaSTの[インストールサーバ]モジュールを使用して、インストールサーバ(NFSまたはFTP)を設定できます。

NFS経由

NFS(ネットワークファイルシステム)を使用して、インストールメディアを使用できるようにします。

重要: マウントされたデバイスのNFSを使用するエクスポート

ファイルシステムのroot(/)をエクスポートしても、DVDなどのマウントされたデバイスのエクスポートが暗示指定されるわけではありません。次のように、/etc/exportsでマウントポイントを明示的に指定します。

/media/dvd  *(ro)

このファイルの変更後に、rcnfsserver restartコマンドを使用してNFSサーバを再起動します。

FTP経由

Linuxシステム上でFTPサーバを設定するには、サーバソフトウェア自体(wuftpdやproftpdなど)のインストール以外に、他の設定タスクを実行する必要があります。YaSTを使用するとインストール手順は簡単です。インストールするパッケージを選択して、インストールを開始します。匿名のFTPをインストールに使用しない場合は、FTPサーバの設定をスキップします。そのかわりに、有効なユーザ名とパスワードを指定して、FTPログインを実行します。このタスクのみに使用するユーザアカウントを作成することもできます。FTPデーモン自体を手動で起動する必要はありません。FTP接続が要求された場合に、inetdによって起動できます。新しい設定を有効にするには、rcinetd restartまたはrcxinetd restartを入力します。

DVD上のSUSE Linux Enterprise Server

IBM System z対応のSUSE Linux Enterprise ServerのDVD1には、Intelベースのワークステーション向けのブート可能なLinuxイメージと、System z向けのイメージが含まれています。

Intelベースのワークステーションの場合はこのDVDからブートし、使用する言語とキーボード配列に関する質問に答えて、[レスキューシステムを開始する]を選択します。この操作には64MB以上のRAMが必要です。レスキューシステム全体がワークステーションのRAMに常駐するため、ディスク領域は必要ありません。この方法では、ワークステーションのネットワークキングを手動で設定する必要があるため、Linuxとネットワーキングに関する経験が要求されます。

システムzの場合は、FCP接続SCSI DVDからのIPLに説明されているとおり、このDVDからLPAR/VMゲストをIPL処理します。ネットワークパラメータを入力したら、インストールシステムはDVDをインストールデータのソースとして処理します。System zではX11対応の端末を直接接続できないため、VNCまたはSSHインストールのうちいずれかを選択します。SSHはまた、ssh -XでX接続をSSHにトンネルさせることで、グラフィカルインストールを提供します。

Microsoft Windowsワークステーションの使用

ネットワーク内でMicrosoft Windowsワークステーションが使用可能な場合は、そのコンピュータを使用して、インストールメディアを使用できるようにします。その最も簡単な方法は、Windowsオペレーティングシステムにすでに含まれているSMBプロトコルを使用することです。必ず[SMB over TCP/IP]を有効にしてください。この機能によって、SMBパッケージをTCP/IPパッケージにカプセル化できるようになります。詳細については、Windowsオンラインヘルプ、またはネットワーキングを対象にしたその他のWindows関連マニュアルを参照してください。もう1つのオプションは、FTPを使用することです。この場合は、Windows用のサードパーティソフトウェアも必要です。

SMBを使用する

SMBを使用してインストールメディアを使用可能にするには、SUSE Linux Enterprise Server DVD 1を、WindowsワークステーションのDVDドライブに挿入します。次に、DVD-ROMドライブの文字を使用して新しい共有を作成し、ネットワーク内のどのユーザでも使用できるようにします。

ヒント: YaST用のSMBインストールパス

YaST用のインストールパスに使用する構文の詳細については、DVD 1の最上位レベルディレクトリにあるREADMEを参照してください。

NFSを使用する

Windowsワークステーション用にNFSサーバサービスを有効にするサードパーティ製品のマニュアルを参照してください。SUSE Linux Enterprise Server DVDが含まれているDVD-ROMドライブは、使用可能なNFSパスで指定する必要があります。

FTPを使用する

Windowsワークステーション用にFTPサーバサービスを有効にするサードパーティ製品のマニュアルを参照してください。SUSE Linux Enterprise Server DVDが含まれているDVD-ROMドライブは、使用可能なFTPパスで指定する必要があります。

Microsoft Windowsのリリースによっては、組み込まれているFTPサーバで、FTPコマンドのサブセットのみが実装されるため、インストールデータの提供に適さない場合があります。ただし、Hummingbird ExceedやWAR-FTPDに含まれているFTPサーバなどの製品は、十分に動作することが判明しています。

FCP接続SCSI DVDドライブの使用

SCSI接続のDVDからのロードで説明されているとおり、SCSI DVDからIPL処理を行った後、インストールシステムはDVDをインストールメディアとして使用します。この場合、FTP、NFS、またはSMBサーバにはインストールメディアは必要ありません。ただし、SUSE Linux Enterprise Server用のネットワーク設定データは必要です。VNCまたはXをSSHにトンネルさせてグラフィカルインストールを実行するには、インストール中にネットワークを設定する必要があるからです。

4.2.2 インストールタイプ

このセクションでは、それぞれのインストールモードでSUSE Linux Enterprise Serverをインストールするときの必須手順と、適切な情報ソースについて説明します。これまでに説明した準備を完了したら、次に示す必要なインストールモードでのインストールの概要を参照して、SUSE Linux Enterprise Serverをシステムにインストールします。

セクション 4.2.1, インストールデータを利用できるようにするで説明したように、IBM System z上のLinuxのインストールモードには、次の2種類があります。

  • LPARインストール

  • z/VMのインストール

LPARインストールの概要

  1. インストールに必要なデバイスを準備します。LPARインストールを参照してください。

  2. インストールシステムをIPL処理します。LPARインストールを参照してください。

  3. ネットワークを設定します。セクション 4.2.5, ネットワーク設定を参照してください。

  4. SUSE Linux Enterprise Serverインストールシステムに接続します。セクション 4.2.6, SUSE Linux Enterprise Serverインストールシステムへの接続を参照してください。

  5. YaSTを使用してインストールを開始し、インストールされたシステムをIPL処理します。セクション 6.0, YaSTによるインストール;を参照してください。

z/VMインストールの概要

  1. インストールに必要なデバイスを準備します。z/VMのインストールを参照してください。

  2. インストールシステムをIPL処理します。z/VMのインストールを参照してください。

  3. ネットワークを設定します。z/VMのインストールを参照してください。

  4. SUSE Linux Enterprise Serverインストールシステムに接続します。セクション 4.2.6, SUSE Linux Enterprise Serverインストールシステムへの接続を参照してください。

  5. YaSTを使用してインストールを開始し、インストールされたシステムをIPL処理します。セクション 6.0, YaSTによるインストール;を参照してください。

4.2.3 SUSE Linux Enterprise ServerインストールシステムのIPLの準備

LPARインストール

適切な有効化プロファイルとIOCDSを使用して、ESA/S390またはLINUXのみのモードで起動するようにIBM System zシステムを設定します。この実行方法の詳細については、IBMのドキュメントを参照してください。

IOCDS: デバイスの接続と設定

SUSE Linux Enterprise Serverのインストールには、少なくともDASDとネットワーク接続デバイスの2つのデバイスが必要です。テープからIPLを実行する場合は、テープデバイスにもアクセスできるようにする必要があります。デバイスは設定されて、IOCDS(入出力設定データセット)内のLPARに接続されます。この例では、1つのDASD、1つのOSA-2ネットワークデバイス、および1つのLPAR Z1対応テープデバイスを定義しています。Linux用のIOCDSの設定方法の詳細については、使用しているコンピュータのIBMハードウェアマニュアルを参照してください。

例 4-4 IOCDSの例

CHPID PATH=(CSS(0),FD),PCHID=120,TYPE=FC
CHPID PATH=(CSS(0),FE),PCHID=320,TYPE=OSD
CHPID PATH=(CSS(0),10),PCHID=3A0,TYPE=CNC

CNTLUNIT CUNUMBR=FD00,PATH=((CSS(0),FD)),UNITADD=((00,1)),UNIT=2105
IODEVICE ADDRESS=(FD00,1),CUNUMBR=(FD00),UNIT=3390B,UNITADD=00

CNTLUNIT CUNUMBR=FE20,PATH=((CSS(0),FE)),UNIT=OSA
IODEVICE ADDRESS=(FE20,1),CUNUMBR=(FE20),UNIT=OSA
IODEVICE ADDRESS=(FEFE,1),CUNUMBR=(FE20),UNIT=OSAD

CNTLUNIT CUNUMBR=100A,PATH=((CSS(0),10)),UNIT=3480,UNITADD=((0A,1))
IODEVICE ADDRESS=(100A,1),CUNUMBR=(100A),UNIT=3480,UNITADD=00

に従って手順を進めます。LPARインストール

z/VMのインストール

Linuxゲストの追加

最初の手順として、z/VM環境のLinuxゲストによって使用されるシステム内の1つ以上のDASDを接続してフォーマットします。次に、z/VMでの新しいユーザを作成します。この例は、パスワードLINPWDを使用するユーザLINUX1のディレクトリ、256MBのメモリ(1024MBまで拡張可能)、32MBの拡張RAM(XSTORE)、複数のミニディスク(MDISK)、2つのCPU、OSA QDIOデバイスを示しています。

ヒント: z/VMゲストへのメモリの割り当て

メモリをz/VMゲストに割り当てるときは、メモリサイズが、優先的に選択するインストールタイプのニーズに適していることを確認します。詳細については、メモリ要件を参照してください。メモリサイズを512MBに設定するには、CP DEFINE STORAGE 512Mコマンドを使用します。インストールが完了したら、メモリサイズを必要な値に戻します。

例 4-5 z/VMディレクトリの設定

USER LINUX1 LINPWD 256M 1024M G 
*____________________________________________
* LINUX1 
*____________________________________________
* This VM Linux guest has two CPUs defined.

CPU 01 CPUID 111111 
CPU 02 CPUID 111222 
IPL CMS PARM AUTOCR 
IUCV ANY 
IUCV ALLOW 
MACH ESA 10 
OPTION MAINTCCW RMCHINFO 
SHARE RELATIVE 2000 
XSTORE 32M 
CONSOLE 01C0 3270 A 
SPOOL 000C 2540 READER * 
SPOOL 000D 2540 PUNCH A 
SPOOL 000E 3203 A 
* OSA QDIO DEVICE DEFINITIONS 
DEDICATE 9A0 9A0 
DEDICATE 9A1 9A1 
DEDICATE 9A2 9A2 
* 
LINK MAINT 0190 0190 RR 
LINK MAINT 019E 019E RR 
LINK MAINT 019D 019D RR 
* MINIDISK DEFINITIONS 
MDISK 201 3390 0001 0050 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME 
MDISK 150 3390 0052 0200 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME 
MDISK 151 3390 0253 2800 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME

この例では、ミニディスク201を、ゲストのホームディスクとして使用します。200のシリンダを持つミニディスク150は、Linuxのスワップデバイスです。また、2800のシリンダを持つディスク151は、Linuxインストールデータを保持するメディアです。

ここで、DIRM FOR LINUX1 ADDを使用して、(MAINTユーザとして)ゲストをユーザディレクトリに追加します。ゲストの名前(LINUX1)を入力して、F5キーを押します。次のように、ユーザの環境を設定します。

DIRM DIRECT 
DIRM USER WITHPASS

最後のコマンドは、リーダファイル番号を返します。次に示すように、この番号は、次のコマンドを実行するのに必要です。

RECEIVE <number> USER DIRECT A (REPL)

DIRMAP USER DIRECT Aを使用して、ディレクトリをゲストに割り当てます。ユーザ LINUX1 として、ゲスト上でログインできるようになります。

dirmaintオプションが使用できない場合は、IBMのドキュメントを参照してこのユーザを設定してください。

に従って手順を進めます。z/VMのインストール

4.2.4 SUSE Linux Enterprise ServerインストールシステムのIPL処理

LPARインストール

LPARに対してSUSE Linux Enterprise ServerをIPL処理する方法は1つではありません。推奨されているのは、SEまたはHMCの[ Load from CD-ROM or server ]機能を使用する方法です。

CD ROMからのIPL

インストールするLPARをマークして、[Load from CD-ROM or server]を選択します。ファイルの場所のフィールドを空白のままにするか、最初のCD ROMのルートディレクトリのパスを入力して、[continue]を選択します。表示されるオプションのリストで、デフォルトの選択を受け入れます。ここで、[Operating system messages]によって、カーネルブートメッセージが表示されます。

FCP接続SCSI DVDからのIPL

[SCSI][Load type]として選択し、[LOAD]手順を使用して、SCSIからのIPLを実行できます。SCSIブリッジまたはストレージ(16桁、末尾のゼロを省かないようにします)によって提供されたWWPN(Worldwide port name)とLUN(Logical unit number)を入力します。ブートプログラムセレクタは2にする必要があります。FCPアダプタを[Load address]として使用し、IPLを実行します。

ESCONまたはFICON接続テープからのIPL

DVDからIPLを実行できない場合は、SUSE Linux Enterprise ServerインストールイメージのIPL処理の実行元にするチャネル接続テープを作成します。テープデバイスアドレスをロードアドレスとして指定し、SEまたはHMCの[LOAD]ボタンを使用して、SUSE Linux Enterprise ServerインストールシステムのIPLを実行します。

IPL可能テープを作成する方法にはさまざまな種類があります。その1つは、次のようにファイルをコピーすることです。

/boot/tapeipl.ikr
/boot/parmfile
/boot/initrd

DVD 1からバイナリファイルとして(たとえば、LinuxワークステーションからFTPを使用して)。

名前を指定し、

SLES11 IMAGE
SLES11 PARM
SLES11 INITRD

この例のように、REXXを使用して、テープに書き込みます。

重要: FTPによるバイナリの転送

ファイルをfixed 80としてアップロードしないでください。ファイルをfixed 1024として格納します。FTPコマンドのloc site fix 1024を使用します。

例 4-6 REXXスクリプトによるIPL可能テープの作成

'REWIND 181'
'FILEDEF IN1 DISK' SLES11 IMAGE A
'FILEDEF IN2 DISK' SLES11 PARM A
'FILEDEF IN3 DISK' SLES11 INITRD A
'FILEDEF OUT TAP1 (RECFM F BLOCK 1024 LRECL 1024 PERM'
say 'Writing: ' left(file1,23)
'MOVEFILE IN1 OUT'
say 'Writing: ' left(file2,23)
'MOVEFILE IN2 OUT'
say 'Writing: ' left(file3,23)
'MOVEFILE IN3 OUT'
say 'Done.'
'REWIND 181'
 exit

このスクリプトでのテープは、181として接続されます。必要に応じて、スクリプトを調整してください。

z/VMのインストール

このセクションでは、インストールシステムをIPL処理して、IBM System z用のSUSE Linux Enterprise Serverをz/VMシステムにインストールする方法について説明します。

z/VMリーダからのIPL

FTPを介してインストールシステムを転送するには、新規に定義されたz/VMゲスト内では、有効なTCP/IP接続とFTPクライアントプログラムが必要です。z/VM用のTCP/IPの設定は、このマニュアルの範囲を超えています。適切なIBMマニュアルを参照してください。

z/VM Linuxゲストとしてログインし、IPLを実行します。IBM System z用のSUSE Linux Enterprise ServerのDVD 1に含まれているディレクトリ/boot/s390xの内容を、ネットワーク内で、FTP経由によって使用できるようにします。このディレクトリから、ファイルvmrdr.ikrinitrdparmfilesles11.execを取得します。80文字の固定ブロックサイズでファイルを転送します。サイズを指定するには、FTPコマンド locsite fix 80 を使用します。vmrdr.ikr (Linuxカーネル)とinitrd (インストールイメージ)をバイナリファイルとしてコピーすることが重要です。したがって、バイナリ転送モードを使用します。parmfilesles11.execはASCIIモードで転送する必要があります。

この例は、必要な手順を示しています。この例では、IPアドレス192.168.0.3を指定して、FTPサーバから、必要なファイルにアクセスできます。ログインはlininstです。実際のネットワークでは異なる場合があります。

例 4-7 FTP経由のバイナリ転送

FTP 192.168.0.3
VM TCP/IP FTP Level 530
Connecting to 192.168.0.3, port 21
220 ftpserver FTP server (Version wu-2.4.2-academ[BETA-18](1)
Fri Jan 30 14:58:32 GMT 2009) ready.
USER
lininst
331 Password required for lininst
PASS
******
230 User lininst logged in.
Command:
binary
200 Type set to I
Command:
locsite fix 80
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/vmrdr.ikr sles11.image
200 PORT Command successful
150 Opening BINARY mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/vmrdr.ikr
(6757376 bytes)
226 Transfer complete.
6757376 bytes transferred in 8.826 seconds.
Transfer rate 766.70 Kbytes/sec.
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/initrd sles11.initrd
200 PORT Command successful
150 Opening BINARY mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/initrd
(12654815 bytes)
226 Transfer complete.
12194534 bytes transferred in 16.520 seconds.
Transfer rate 766.70 Kbytes/sec.
Command:
ascii
200 Type set to A
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/parmfile sles11.parmfile
150 Opening ASCII mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/parmfile
(71 bytes)
226 Transfer complete.
71 bytes transferred in 0.092 seconds.
Transfer rate 0.71 Kbytes/sec.
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/sles11.exec sles11.exec
150 Opening ASCII mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/sles11.exec
(891 bytes)
226 Transfer complete.
891 bytes transferred in 0.097 seconds.
Transfer rate 0.89 Kbytes/sec.
Command:
quit

先ほどダウンロードしたREXXスクリプトsles11.execを使用して、LinuxインストールシステムのIPLを実行します。このスクリプトは、次のように、カーネル、parmfile、およびRAMディスクを、IPL用のリーダにロードします。

例 4-8 SLES11 EXEC

/* REXX LOAD EXEC FOR SUSE LINUX S/390 VM GUESTS       */
/* LOADS SUSE LINUX S/390 FILES INTO READER            */
SAY ''
SAY 'LOADING SLES11 FILES INTO READER...'
'CP CLOSE RDR'
'PURGE RDR ALL'
'SPOOL PUNCH * RDR'
'PUNCH SLES11 IMAGE A (NOH'
'PUNCH SLES11 PARMFILE A (NOH'
'PUNCH SLES11 INITRD A (NOH'
'I 00C'

このスクリプトで、sles11コマンドを使用して、SUSE Linux Enterprise ServerインストールシステムのIPLを実行できます。Linuxカーネルが起動し、そのブートメッセージが表示されます。

インストールを続行するには、 z/VMのインストールに従って処理を行います。

FCP接続SCSI DVDからのIPL

z/VMでIPLを実行するには、次のように、 SET LOADDEV パラメータを使用して、SCSI IPLプロセスを準備します。

SET LOADDEV PORTNAME 200400E8 00D74E00 LUN 00020000 00000000 BOOT 2

たとえば、適切な値でLOADDEVパラメータを設定したら、FCPアダプタのIPLを実行します。

IPL FC00

インストールを続行するには、 z/VMのインストールに従って処理を行います。

ESCONまたはFICON接続テープからのIPL

z/VMリーダからIPLを実行できない場合は、SUSE Linux Enterprise ServerインストールイメージのIPL処理の実行元にするチャネル接続テープを作成します。処理手順の詳細については、 ESCONまたはFICON接続テープからのIPLを参照してください。

インストールを続行するには、 z/VMのインストールに従って処理を行います。

4.2.5 ネットワーク設定

カーネルがその起動ルーチンを完了するまで待機します。基本モードまたはLPARでインストールを行う場合は、HMCまたはSEの[Operating System Messages]を開きます。

最初に、linuxrcメインメニューで[ Start Installation or System ]を選択し、次に[ Start Installation or Update ]を選択して、インストールプロセスを開始します。インストールメディアとして、[ ネットワーク ]を選択し、次にインストールに使用するネットワークプロトコルの種類を選択します。 セクション 4.2.1, インストールデータを利用できるようにするでは、さまざまな種類のネットワーク接続でインストールデータを使用可能にする方法が説明されています。現在は、 [FTP] [HTTP] [NFS] [SMB/CIFS] (Windowsファイル共有)がサポートされています。

ここで、次のように、インストールデータ[OSA-2またはOSAエクスプレス]または[HiperSockets]を受信するネットワークデバイスを設定します。CTC、ESCON、IUCVの各ネットワークアダプタは、引き続き使用できますが、サポートされなくなりました。次に、CCWバスインタフェースと物理メディア([Ethernet])を選択します。その結果、それぞれのドライバがインストールされて、対応するカーネルメッセージが表示されます。

linuxrcインストールを続行すると、使用可能なREADチャネル、WRITEチャネル、および状況に応じてデータチャネルのリストが表示されます。それぞれのチャネルのアドレスを入力した後は、OSAイーサネットカード用のポート名などの追加情報の入力が必要になる場合もあります。

次に、ネットワークインタフェースパラメータの設定に、DHCP自動設定を使用するかどうかを決定すします。DHCPは、設定可能なデバイスが少なく、特殊なハードウェア設定が必要なため、ここでは、[ NO ]を選択する可能性が高くなります。そのように選択する場合は、次のように、インストールネットワークデバイスのネットワーキングパラメータの指定を要求するメッセージが表示されます。

  • インストールするシステムのIPアドレス

  • 対応するネットマスク

  • サーバにアクセスするためのゲートウェイのIPアドレス

  • ドメイン名サーバ(DNS)のIPアドレス

OSA Express Network Cardを使用している場合、ここで[relative port number]の入力を求められます。これは新しい2つのポートOSA Express 3 Networkデバイスをサポートするために追加されます。OSA Express 3デバイスを使用していない場合は、0と入力してください。OSA Expressカードにはまた、OSI layer 2 supportモードで実行したり、もっと一般的な従来のlayer 3モードを使用するオプションもあります。カードのモードは、他のLPAR上のシステムを含むデバイスを共有するすべてのシステムに影響します。不明な場合は、z/VMおよびz/OSなど、他のオペレーティングシステムで使用されるデフォルトモードで互換性に2を指定してください。これらのオプションに関する詳細については、ハードウェア管理者にご相談ください。

z/VMのインストール

カーネルがその起動ルーチンを完了したら、ネットワーク設定に関するいくつかの質問に答えます。はじめに、OSA Express、HiperSocketsのうち、使用するネットワーク接続の種類を選択します。このインストールの例では、OSA Expressが使用されます。

ここで、システムによって、可能なOSA設定が表示されます。最初に、QDIOとLCS OSAのどちらを使用するかを選択します。次に、使用する物理メディアを選択して、デバイスアドレスを入力します。別の設定にする場合は、OSA READチャネルのデバイスアドレスを入力し(この例では、0.0.0700)、次にOSA WRITEチャネル(0.0.0701)およびOSA制御チャネル(0.0.0702)のデバイスアドレスを入力します。チャネルを入力したら、OSAカードの接続先にするポートの名前を設定します。

SUSE Linux Enterprise Serverは、ここで、提供された情報でパラメータ行を構築してネットワークモジュールのロードを試行し、ロードされたすべてのモジュールを表示します。次のような出力が返された場合は、ロードに成功しています。

例 4-9 ネットワークデバイスドライバのパラメータ

qeth: Device 0.0.0700/0.0.0701/0.0.0702 is a Guest LAN QDIO card (level: V448)
with link type GuestLAN QDIO (portname: VSW1)
qeth: Hardware IP fragmentation not supported on eth0
qeth: VLAN enabled
qeth: Multicast enabled
qeth: IPV6 enabled
qeth: Broadcast enabled
qeth: Could not set up broadcast echo filtering on eth0: 0x2
qeth: Using SW checksumming on eth0.
qeth: Outbound TSO not supported on eth0

次に、IPアドレス、ネットマスク、デフォルトゲートウェイを入力します。iucvまたはctc経由でインストールする場合は、ピアアドレス(ポイントツーポイントアダプタの場合)やポート名などの追加情報を入力します。

最後に、DNSサーバのIPアドレスとMTUサイズが要求されます。MTUサイズは、接続先のネットワークによって使用されるサイズに常に一致している必要があります。

ここで、要約情報が表示されます。入力が正しいことを確認します。ネットワークが起動される前に、インストール時のみに有効になるパスワードを入力します。インストールされたシステムのIPL処理が完了したら、「実際の」ルートパスワードを入力します。

すべての基本パラメータが設定されると、ネットワークが起動されます。ifconfigの出力を確認します。ループバック(lo)接続と、正しく設定されている1つの接続(、eth0、ctc0、escon0、iucv0、またはhsi0)の、2つのエントリが含まれている必要があります。

例 4-10 ifconfigの例

/sbin/ifconfig eth0 : 
	Link encap:Ethernet  HWaddr 02:00:01:00:00:27  
        inet addr:192.168.0.1  Bcast:192.168.0.255  Mask:255.255.255.0
        inet6 addr: fe80::200:100:100:27/64 Scope:Link
        UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1492  Metric:1
        RX packets:0 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
        TX packets:0 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
        collisions:0 txqueuelen:1000 
        RX bytes:0 (0.0 Mb)  TX bytes:0 (0.0 Mb)

4.2.6 SUSE Linux Enterprise Serverインストールシステムへの接続

ネットワーク接続を設定すると、linuxrcは、たとえばサーバIPアドレスやデータが保存されているディレクトリなど、すでに選択したインストールソースの詳細について確認するメッセージを表示します。

最後に、Linuxrcは、どのような種類のディスプレイを使用してインストール手順を制御するかを確認するように指示します。可能な選択肢として、X11 (X Window System)、 VNC (Virtual Network Computingプロトコル)、SSH (セキュアシェルを介したテキストモードまたはX11インストール)があります。

VNCでのインストールの開始

  1. インストールオプションVNCを選択すると、VNCサーバが起動します。コンソールに表示される短いメッセージは、vncviewerとの接続にどのIPアドレスとディスプレイ番号が必要かを示します。または、Java対応ブラウザに移動して、インストールシステムに接続するためのURLが表示されます。

  2. クライアントシステム上のVNCクライアントアプリケーションを起動します。vncviewerまたはVNC JavaクライアントとJava対応Webブラウザを使用します。

  3. 入力するように指示されたら、SUSE Linux Enterprise ServerインストールシステムのIPアドレスとディスプレイ番号を入力します。

    Java対応ブラウザを使用して接続する場合は、次の形式で、インストールシステムのIPアドレスと適切なポート番号が含まれているURLを入力します。

    http://<IP address of installation system>:5801/
  4. 接続が確立されたら、YaSTを使用してSUSE Linux Enterprise Serverのインストールを開始します。

X Window Systemでのインストールの開始

重要: X認証メカニズム

X Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づくプリミティブな認証メカニズムに依存します。このメカニズムは、現在のSUSE Linux Enterprise Serverバージョンでは無効化されています。SSHまたはVNCによるインストールが推奨されています。

  1. Xサーバを使用してクライアント(インストールされるシステム)の接続が可能なことを確認します。DISPLAYMANAGER_XSERVER_TCP_PORT_6000_OPEN="yes"変数を/etc/sysconfig/displaymanagerファイル内で設定します。その後に、Xサーバを再起動し、コマンド xhost <client IP address >を使用して、サーバへのクライアントのバインドを行うことができるようにします。

  2. インストールシステムで入力するように指示されたら、Xサーバが稼働するコンピュータのIPアドレスを入力します。

  3. YaSTが起動されるまで待機してから、インストールを開始します。

SSHでのインストールの開始

earthの名前を有するインストールシステムにSSHを使用して接続するには、ssh -X earthを実行します。Microsoft Windows上でワークステーションを実行する場合は、http://www.chiark.greenend.org.uk/~sgtatham/putty/にあるssh/telnetクライアント、およびターミナルエミュレータのputtyを使用します。[Enable X11 forwarding][接続] > [SSH] > [X11]

ログインプロンプトが表示されます。「 root 」と入力し、パスワードを使用してログインします。次に、yast2を入力して、YaSTを起動します。

に記載されているインストール処理手順の詳細な説明に従って、処理を行います。セクション 6.0, YaSTによるインストール;