この節で説明するネットワーク展開戦略を実装するには、TCP/IPネットワークプロトコルの完全な理解と、TCP/IPルーティングおよびDHCP検出プロセスに関する特別な知識が必要です。
単一のセグメントでのデスクトップ管理起動前サービス(PXE)の展開は、イメージング/起動前サービスサーバの設定だけが必要な比較的簡単なプロセスです。しかし、ルーティングされた環境で起動前サービスを展開する場合、イメージング/起動前サービスサーバ、およびサーバとPXEワークステーション間にあるネットワークスイッチとルータを設定する必要があるため、ローカルエリアネットワークに比べかなり複雑になります。
起動前サービスのネットワークトラフィックを正しく転送するようにルータまたはスイッチを構成するには、DHCPプロトコル、DHCPリレーエージェント(DHCP relay agent)、およびIP転送を完全に理解している必要があります。スイッチまたはルータの実際の設定は、ハードウェアに関する詳しい知識を持つ人が行う必要があります。
最初に単一のセグメントで起動前サービスをセットアップし、サーバが正しく設定され動作していることを確認することを強くお勧めします。
この節では、次の情報について紹介します。
起動前サービス環境では、標準DHCPサーバ、プロキシDHCPサーバ、TFTP/MTFTPブートサーバ、およびトランザクションサーバが正常に機能している必要があります。標準DHCPサーバ以外は、デスクトップ管理起動前サービスのインストール時にインストールされます。
これらのサービスに関する一般的な情報については、次の節を参照してください。
これらのサービスのデフォルト設定を変更する必要はほとんどありません。設定情報の詳細が必要な場合は、Windowsでの起動前サービスサーバの設定またはNetWareでの起動前サービスサーバの設定を参照してください。
標準DHCPサーバは、PXEワークステーションにIPアドレスを割り当てるアクティブなスコープを使用して構成する必要があります。スコープオプションでは、PXEワークステーションで使用するゲートウェイまたはルータも指定します。
起動前サービス(具体的にはプロキシDHCPサーバ)がDHCPサーバと同じサーバにインストールされている場合、特別なオプションタグを使用してDHCPサーバを設定する必要があります。詳細については、Windows 2000 Advanced Serverでの標準DHCP/プロキシDHCPサービスのセットアップおよびNetWare 6.x DHCPサーバでの標準DHCP/プロキシDHCPサービスのセットアップを参照してください。
重要: 標準DHCPサーバをすでに実行しているNetWare 5.xサーバに、プロキシDHCPサーバをインストールして実行することはできませんが、DHCPサーバのアップグレードは行えます。
起動前サービスのプロキシDHCPサーバは、標準DHCPサーバと共に稼動し、TFTPサーバ、MTFTPサーバ、およびトランザクションサーバのIPアドレスをPXEクライアントに通知します。また、プロキシDHCPサーバはPXEクライアントに応答し、使用するブートサーバ(TFTPまたはMTFTP)を示します。
デフォルト設定を変更する必要はほとんどありません。
プロキシDHCPサーバをトランザクションサーバまたはTFTPサーバと同じサーバ上で実行しない場合は、PXEワークステーションが別のサーバを参照するようにプロキシDHCP設定を変更できます。
重要: 標準DHCPサーバをすでに実行しているNetWare 5.xサーバに、プロキシDHCPサーバをインストールして実行することはできません。
起動前サービスのTFTP/MTFTPサーバは、イメージング処理の実行に必要なファイルを要求する起動前サービスクライアントによって使用されます。TFTPサーバは、これらのファイルの中央リポジトリも提供します。
PXEクライアントはこれらのサーバのいずれかを使用して、起動前サービスクライアントをダウンロードします。
TFTPはワークステーションのブートプロセスを高速化するため、デフォルトではTFTPが使用されますが、MTFTPを使用するように設定を変更できます。詳細については、Windowsでの起動前サービスサーバの設定またはNetWareでの起動前サービスサーバの設定を参照してください。
起動前サービスクライアントはトランザクションサーバに接続し、ワークステーションで実行する必要のあるイメージング処理があるかどうかを確認します。
デフォルト設定を変更する必要はほとんどありません。
トランザクションサーバが起動前サービスクライアントとの通信に使用するUDPポートを変更することができます(デフォルトでは、UDPポート18753です)。UDPポートの変更は、トランザクションサーバがサーバで実行している他のサービスと競合している場合にのみ行ってください。詳細については、デスクトップ管理起動前サービスのインストールおよびセットアップを参照してください。
ネットワークで起動前サービスを実行するために必要な設定は、ネットワークの設定によって異なります。次のネットワーク設定を使用して、起動前サービスを設定できます。
この節では、次のトピックについて説明します。
起動前サービスクライアントが、トランザクションサーバおよびTFTP/MTFTPサーバに効率的に接続できるようにネットワークを設計します。ネットワーク上にインストールする起動前サービスクライアントの数、およびクライアントのサービスに使用できる帯域幅を必ず検討してください。起動前サービスプロセスでのクライアントとサーバのやり取りのしくみについては、起動前サービスプロセスの図を参照してください。
各DHCPサーバスコープでインストールする必要のあるプロキシDHCPサーバは1つだけです。
起動前サービスクライアントはLAN内のTFTPサーバにアクセスするため、TFTPサーバをインストールする必要があります。起動前サービスによって生じるネットワークトラフィックの大部分は、起動前サービスクライアントとTFTPサーバ間のトラフィックです。適切に設計すると、クライアントが低速のWANリンク経由でTFTPサーバに接続する必要はなくなります。
次の節では、LAN環境での起動前サービスのセットアップについて説明します。
| 情報 | この設定の詳細 |
|---|---|
スコープ(Scope) |
LAN内のPXEワークステーションだけが起動前サービスサーバに接続します。 |
使用例 |
教室間のワークステーションの準備にイメージングを使用し、サーバを1台だけ備えた学校の小規模なワークステーションラボ。 |
必要な設定 |
起動前サービスとDHCPを同じサーバ上で実行するため、DHCPサーバでオプションタグ60を設定します。 このタグの設定方法については、Windows 2000 Advanced Serverでの標準DHCP/プロキシDHCPサービスのセットアップおよびNetWare 6.x DHCPサーバでの標準DHCP/プロキシDHCPサービスのセットアップを参照してください。 |
利点 |
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欠点 |
|
WANでは、通常、PXEワークステーションは1つまたは複数のルータによってプロキシDHCPおよびDHCPサーバから切り離されています。PXEワークステーションはDHCP情報をブロードキャストで照会しますが、デフォルトではルータはサーバにブロードキャストを転送しないため、起動前サービスセッションは失敗します。
VLAN (仮想LAN)環境では、PXEワークステーションはスイッチによってプロキシDHCPサーバおよびDHCPサーバから論理的に切り離されています。IPレベルでは、この設定は従来のWAN (ルーティングされた)環境によく似ているように見えます。
通常のVLAN環境では、ネットワークはスイッチ上に仮想LANを設定することによって複数のサブネットに分割されています。各仮想LAN内のワークステーションは、通常、中央のDHCPサーバからIPアドレス情報を取得します。このシステムが動作するには、各ゲートウェイにBootpまたはIPヘルパを設定する必要があります。これらのヘルパは、DHCP要求を各サブネット内のワークステーションからDHCPサーバに転送するため、DHCPサーバはそのサブネット内のワークステーションに応答できます。
次の節では、WAN/VLAN環境での起動前サービスのセットアップについて説明します。
| 情報 | この設定の詳細 |
|---|---|
スコープ(Scope) |
WAN/VLAN上のすべてのPXEワークステーションが起動前サービスサーバに接続します。 |
使用例 |
DHCPサーバを1つだけ実行している複数のサブネットに分割されたネットワークを使用する、企業ネットワークまたは中規模ネットワーク。 |
必要な設定 |
PXEワークステーションが属するサブネットをサポートするルータ/スイッチに、DHCPリレーエージェントまたはIPヘルパを設定します。ヘルパは、サブネット内で検出されるすべてのDHCPブロードキャストをDHCP/プロキシDHCPサーバに転送するように設定します。 This normally requires two helpers to be configured:これには通常、2つのヘルパが必要となります。1つ目のヘルパは、DHCPブロードキャストをDHCPサーバに転送するように設定し、2つ目のヘルパは、DHCPブロードキャストをプロキシDHCPサーバに転送するように設定します。 |
利点 |
|
欠点 |
IPヘルパを追加してネットワーク機器(ルータ/スイッチ)を設定する必要があります。一部のネットワーク機器は、複数のIPヘルパを追加すると正常に機能しない場合があります。 |
セットアップの詳細 |
| 情報 | この設定の詳細 |
|---|---|
スコープ(Scope) |
WAN/VLAN上のすべてのPXEワークステーションが起動前サービスサーバに接続します。 |
使用例 |
DHCPサーバを1つだけ実行している複数のサブネットに分割されたネットワークを使用する、企業ネットワークまたは中規模ネットワーク。 |
必要な設定 |
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利点 |
ネットワークトラフィックをプロキシDHCPサーバに転送するようにネットワーク機器(ルータ/スイッチ)を設定する必要はありません。 |
欠点 |
|
セットアップの詳細 |
スイッチがファイアウォールの役割を果たし、ネットワーク上のトラフィックの種類を制限している場合、ファイアウォールで特定のUDPポートを開く必要があります。デスクトップ管理起動前サービスで使用するUDPポートのリストは、スイッチおよびルータでのフィルタの設定を参照してください。
この節では、次のトピックについて説明します。
Desktop Managementのインストールによって、すべての起動前サービスおよびイメージングコンポーネントがインストールされます。DHCPサーバにすべてのイメージング/起動前サービスをインストールする場合は、サーバで標準インストールを実行します。
しかし、DHCPサーバで起動前サービスコンポーネント(プロキシDHCP/TFTPサービス)を実行し、別のサーバでイメージングおよびトランザクションサーバコンポーネントを実行する場合もあります。
このようにシステムを設定する場合、次の手順に従って手動で設定する必要があります。
デスクトップ管理起動前サービスをサーバにインストールします。
サーバが正しくセットアップされていることを確認するためのテストを行います。
サーバ上のデスクトップ管理プロキシDHCPサービスを停止します。
Windowsの場合は、[サービス]パネルに移動してプロキシDHCPサービスを停止します。次回サーバが起動されたときにサービスが開始されないように、サービスを[無効]に設定します。
NetWareの場合は、サーバコンソールで「unload pdhcp」と入力し、プロキシDHCPサービスをアンロードします。zfdstart.ncfファイルを編集し、プロキシDHCPサービスをロードする行をコメントにして除外し、次回サーバが起動されたときにサービスがロードされないようにします。
DHCPを実行するサーバと同じサーバでプロキシDHCPサービスを実行していた場合は、インストール時に追加したオプションタグ60をDHCPサーバから削除します。
DHCPサービスを実行しているサーバに、プロキシDHCPサービスおよびTFTPサービスをインストールします。
この方法については、DHCPサーバへのプロキシDHCPサーバおよびTFTPサーバのインストールを参照してください。
DHCPサーバにオプションタグ60を設定し、タグを文字列PXEClientに設定します。
この方法については、Windows 2000 Advanced Serverでの標準DHCP/プロキシDHCPサービスのセットアップおよびNetWare 6.x DHCPサーバでの標準DHCP/プロキシDHCPサービスのセットアップを参照してください。
ステップ 1でセットアップした起動前サービスサーバにPXEワークステーションをリダイレクトするようにプロキシDHCPサービスを設定します。
Windowsの場合は、プロキシDHCPサービス設定アプリケーションを実行し、VSP IPをステップ 1でセットアップしたサーバのIPアドレスに設定します。
NetWareの場合は、pdhcp.iniを開いて、TRANSACTION_SERVER_IPエントリをステップ 1でセットアップしたサーバのIPアドレスに変更します。
DHCPサービスを実行しているサーバにインストールしたプロキシDHCPサービスを開始します。
Windowsの場合は、サービスコントロールマネージャでサービスを開始します。
NetWareの場合は、サーバコンソールで「load pdhcp」と入力します。
これで、DHCPサーバによってサポートされているVLAN内のすべてのPXEワークステーションは、PXEを通じて処理をピックアップできるようになります。
この節では、次のトピックについて説明します。
次のファイルをコピー先サーバのsys:\systemにコピーします。これらのファイルは、実行中の起動前サービス/イメージングサーバ、またはZENworks Desktop Management Program CDから入手できます。
sys:\tftpディレクトリのすべてのファイルをコピー先サーバにある同じ名前のディレクトリにコピーします。
tftp.iniファイルを編集します。ReadPathがステップ 2でTFTPファイルをコピーしたパスと同じであることを確認します。
サービスを自動的に開始する場合は、autoexec.ncfファイルを編集して次の行を追加します。
サーバコンソールで次の行を入力し、サーバ上でサービスを開始します。
起動前サービスをインストールしたサーバ上のデスクトップ管理起動前サービスをすべて停止します。
これを実行するには、サービスコントロールマネージャを開き([コントロールパネル]>[管理ツール]>[サービス])、[Preboot Transaction Server(起動前トランザクションサーバ)]、[Preboot Port Mapper(起動前ポートマッパ)]、[Proxy DHCP Service(プロキシDHCPサービス)]、および[Preboot TFTP/MTFTP Service(起動前TFTP/MTFTPサービス)]を停止します。
デスクトップ管理起動前サービスをインストールしたサブディレクトリ全体を、コピー先サーバにコピーします。通常、このサブディレクトリは\program files\zen_preboot_servicesです。
サービスコントロールマネージャを使用して、ステップ 1で停止した元のサーバ上のサービスを再び開始します。
コピー先サーバで次の手順を実行します。管理者権限を使用してサーバにログインする必要があります。
この例では、すべてのファイルをc:\program files\zen_preboot_servicesにコピーしていることを前提としています。
[スタート]>[ファイル名を指定して実行]の順にクリックします。
「cmd」と入力し、(Enter)キーを押してコマンドコンソールを開きます。
「cd c:\program files\zen preboot services\pdhcp」と入力し、(Enter)キーを押します。
「dhcpservice -i」と入力し、(Enter)キーを押します。
「dhcpcfg」と入力し、(Enter)キーを押します。これでプロキシDHCP設定アプリケーションが起動します。
[VSP Host IP(VSPホストのIP)]をイメージング/起動前サービスサーバのIPアドレスに設定して[すべて保存]をクリックし、[終了]をクリックします。
コマンドコンソールに再度切り替えます。
「cd c:\program files\zen preboot services\tftp」と入力し、(Enter)キーを押します。
「tftpservice -I」と入力し、(Enter)キーを押します。
「tftpcfg」と入力し、(Enter)キーを押します。
TFTP設定アプレットが起動します。TFTP Read PathがTFTPファイル(dinic.sys、boot.dnx、bootzen2.bin、bootzen5.bin)、およびその他のファイルが格納されているサブディレクトリを正しく参照していることを確認します。
[終了]をクリックし、アプリケーションを閉じます。
サービスコントロールマネージャを開き、現在表示されているプロキシDHCP/TFTPサービスを開始します。
または
サーバを再起動し、サービスを自動的に開始します。
スイッチがファイアウォールの役割を果たし、ネットワーク上のトラフィックの種類を制限している場合、ファイアウォールで特定のUDPポートを開く必要があります。ZENworksデスクトップ管理起動前サービスで使用するUDPポートのリストは、スイッチおよびルータでのフィルタの設定を参照してください。
展開例は、起動前サービスとDHCPを同じサーバ上で実行しているWAN/VLAN環境での一例です。次の節では、起動前サービスのネットワークトラフィックを正しく転送するように、ネットワーク機器を設定するために必要な具体的な手順について説明します。
この例では、ファームウェアバージョン2.0.1を実行しているBay Networks Accel 1200スイッチに3つのVLANが設定されています。1つ目のVLANはプロキシDHCPサーバを、2つ目のVLANはDHCPサーバを、3つ目のVLANはPXEクライアントをそれぞれホストしています。PXEクライアントのDHCPブロードキャストは、スイッチによってプロキシDHCPサーバとDHCPサーバの両方に転送されます。両サーバからの応答は、PXEクライアントに正しくルーティングされて返され、PXEクライアントは起動前サービスセッションを正常に開始します。
3つのVLANはすべて24ビットネットワークであり、サブネットマスクは255.255.255.0です。
1つ目のVLANのゲートウェイは10.0.0.1です。このVLANは、10.0.0.2〜10.0.0.128の範囲のIPが割り当てられたPXEクライアントをホストしています。このVLANの名前はVLAN1です。
2つ目のVLANのゲートウェイは10.1.1.1です。このVLANは、IPが10.1.1.2のDHCPサーバをホストしています。このVLANの名前はVLAN2です。
3つ目のVLANのゲートウェイは196.10.229.1です。このVLANは、プロキシDHCPサーバとトランザクションサーバを実行しているサーバをホストしています。このサーバのIPは196.10.229.2です。このVLANの名前はVLAN3です。
すべてのVLAN間でルーティングが有効になっています。各VLANは、独自のスパンニングツリーグループに存在する必要があります。
Site Managerを使用してルータに接続します。
IPがルーティング可能であることを確認します。
PXEワークステーションのサブネット/VLANでBootpを有効にします。
PXEワークステーションの接続先インタフェースを選択します。
回路を編集します。
[プロトコル]をクリックします。
[Add/Delete(追加/削除)]をクリックします。
[Bootp]チェックボックスが選択されていることを確認します。
[OK]をクリックします。
[プロトコル]>[IP]>[Bootp]>[Relay Agent Interface Table(リレーエージェントインタフェーステーブル)]の順にクリックします。
Bootpが有効になっているインタフェースがリストに表示されます。
[優先サーバ]をクリックします。
[Pass Through Mode(送信モード)]の値を[Bootp]および[DHCP]に変更します。
リレーエージェントを次のようにセットアップします。
スイッチで次の手順を実行します。
次のコマンドラインを使用して、クライアントVLANのDHCPを有効にします。
# config vlan1 ip# dhcp enable次のコマンドラインを使用して、DHCP要求をワークステーションのサブネットからプロキシDHCPサーバに転送するようにIPヘルパを設定します。
# config ip dhcp-relay# create 10.0.0.1 10.1.1.2 mode dhcp state enable# create 10.0.0.1 196.10.229.2 mode dhcp state enable
作成コマンドの書式は、create agent server mode dhcp state enableです。ここで、agentはPXEワークステーションをサポートするゲートウェイのIPアドレスで、serverはDHCPフレームの転送先となるサーバのIPアドレスです。
設定を保存します。
一部のネットワークデバイスでは、デバイスを通過するネットワークトラフィックをフィルタします。起動前サービスでは、さまざまな種類のトラフィックを利用します。これらのトラフィックがすべて、起動前サービスセッションが成功するために、ルータまたはスイッチを無事通過できるようにする必要があります。起動前サービスセッションでは、次の宛先ポートを使用します。
| コンポーネント | ポート |
|---|---|
DHCP/プロキシDHCPサーバ |
UDPポート67、68、および4011 |
TFTPサーバ |
UDPポート69 |
RPC Port Map Server |
UDPポート111 |
トランザクションサーバ |
UDPポート18753 |
一部のスイッチで使用できるSTP (スパンツリープロトコル)は、ネットワーク内のループを検出するように設計されています。デバイス(通常はネットワークハブまたはワークステーション)がスイッチのポートに接続されると、スイッチはリンクがアクティブであるデバイスを指し示しますが、スイッチはポートからネットワークの他の部分にフレームを転送するのではなく、ループがないかどうか各フレームをチェックしてフレームをドロップします。スイッチは15〜45秒間このリッスン状態を維持できます。
これは、PXEによって発行されたDHCP要求がスイッチによってドロップされ、起動前サービスセッションが失敗する原因となります。
通常、スイッチのリンクライトでSTPの進捗状況を確認できます。ワークステーションが起動されていないときは、スイッチのリンクライトは当然点灯していません。ワークステーションが起動されるとリンクライトが黄色に変わり、時間が経つと普通の緑のインジケータに変わります。リンクライトが黄色の間は、STPが進行中です。
この問題は、Ethernetスイッチに直接接続されるPXEまたは起動前サービスクライアントにのみ影響します。この問題を解決するには、次のいずれかを実行します。
問題が解決すると、そのポートに接続するワークステーションの起動後、ポートのリンクライトがほとんどすぐに緑に変わります。
STPおよびDHCPへの影響については、「Using PortFast and Other Commands to Fix End-Station Startup Connectivity Problems」を参照してください。