Tiered Electronic Distributionに関するその他の問題


File Distributionのディレクトリ同期の細分性

File Distributionのディレクトリ同期の細分性が向上しました。


ディレクトリ同期とその細分性の理解

File Distributionは、同期が有効か無効かにかかわらず、Subscriberサーバのファイルおよびディレクトリを追加または更新します。ただし、同期が有効の場合は、ファイルおよびディレクトリが削除されます。そのため、Subscriberサーバでのファイルおよびディレクトリの削除が、同期の主な機能です。

ディレクトリ同期の細分性により、Distributionのディレクトリレベルに同期を指定して、指定ディレクトリ以下の同期を実行できます。


ディレクトリ同期とその細分性のプロセスのしくみ

次の例は、Distributionで同期が有効になっている場合、同期されたFile DistributionがSubscriberサーバのファイルシステムに及ぼす結果について説明しています。

Distributorサーバに配置され、File Distributionに含まれるファイルおよびディレクトリ Distributionの受信および抽出前のSubscriberサーバのディレクトリ
data:\zenworks\viruspatterns
data:\zenworks\nw65sp\nw65sp1.exe
data:\zenworks\nw65sp\nw65sp2
data:\zenworks\viruspatterns
data:\zenworks\nw65sp

上記のパスの末端の項目はそれぞれ、このDistributionで同期されます。

Subscriberの\viruspatternsディレクトリでファイルの1つがなくなると、\nw65sp2ディレクトリからもそれがなくなります。

File Distributionの抽出時に、Subscriberサーバのファイルシステムでは次の処理が実行されます。

  1. なくなったウィルスパターンファイルが、\viruspatternsディレクトリに復元されます。

    ...\viruspatternsディレクトリに対しては、Distributionに含まれるファイルとサブディレクトリと正確に一致するように、Distributionに含まれないSubscriberのファイルまたはサブディレクトリの削除も行われます。

  2. \nw65spディレクトリのnw65sp1.exeファイルが更新されます。\nw65spディレクトリ自体に対して同期が有効になっていないため、そのディレクトリのほかのファイルは同期されません。
  3. \nw65sp2ディレクトリとそのファイルおよびサブディレクトリが、Subscriberの\nw65spディレクトリの下にあるDistributionから復元されます。

ディレクトリ同期の細分性を利用すると、一部のディレクトリを同期する一方で、他のディレクトリを同期しないままにすることもできます。たとえば、data:\zenworks\viruspatternsディレクトリとdata:\zenworks\nw65sp\nw65sp2ディレクトリを同期し、data:\zenworks\nw65spディレクトリを同期しないように選択できます。

ただし、親ディレクトリのdata:\zenworksディレクトリを同期すると、同期は特定のディレクトリ以下で実行されるため、すべてのサブディレクトリが同期されます。そのため、同期するディレクトリを選択するときは、同期する親ディレクトリを選択した後で、同期しない子ディレクトリを選択することができません。

親ディレクトリが同期されるとすべての子ディレクトリも自動的に同期され、子ディレクトリのいずれかの同期が無効になると、親ディレクトリの同期も自動的に解除されます。

例:

同期するディレクトリ:

data:\zenworks

同期するディレクトリ:

data:\zenworks\viruspatterns
data:\zenworks\nw65sp\nw65sp1.exe
data:\zenworks\nw65sp\nw65sp2

同期しないディレクトリ:

data:\zenworks\nw65sp

同期しないディレクトリ:

data:\zenworks
data:\zenworks\nw65sp

\zenworksディレクトリを同期と、\nw65spディレクトリも同期する必要があるため、これは機能しません。

同期しないディレクトリが、同期するディレクトリよりもパスの上位にあるため、これは機能します。

次の節では、同期のしくみについて説明します。


Distributionのターゲットディレクトリ以下のすべてのディレクトリの同期

ソース側で、同期するDistributorサーバのファイルシステムのディレクトリを選択します。配布先では、同期するディレクトリがSubscriberサーバのファイルシステムにすでに存在している場合としていない場合があります。

ファイルが存在する場合は、Distributionが送信されると、その内容がDistributorサーバのファイルシステム上にある対応ディレクトリの内容と一致するように更新されます。ファイルが存在しない場合は、Subscriberサーバのファイルシステムにファイルが追加されます。

これらのディレクトリがSubscriberサーバのファイルシステムに配置される場所を決めます。つまり、親ディレクトリの下に同期されたディレクトリを配置するのか、またはSubscriberのファイルシステムのルートに同期されたディレクトリを配置するのかを決定します。Distributionが抽出されるSubscriberサーバのファイルシステムでターゲットを指定するときは、変数を使用できます。

次の図では、Distributorサーバの\viruspatternsおよび\supportpacksディレクトリが、Subscriberサーバのvol1:\serversディレクトリの下に作成され、同期されています。


%DEST_VOLUME%は、下位にserversディレクトリを含むターゲットです。serversディレクトリに関連付けられているのは、Distributorサーバのviruspatternsディレクトリとsupportpacksディレクトリです。この図では、serversディレクトリが同期され、viruspatternsディレクトリとsupportpacksディレクトリも同期されます。

ディレクトリ同期の細分性によるさまざまなレベルのディレクトリの同期

ターゲットレベル(%DEST_VOLUME%)で同期できます。前出の例では、vol1:\serversを指定して同期を定義しました。この場合、そのディレクトリ以下のサブディレクトリは、viruspatternsとsupportpacksだけです。その他の既存のサブディレクトリはすべて削除されます。

vol1:\servers以下のその他のディレクトリを保持するには、ターゲットレベル(%DEST_VOLUME%)での同期を無効にします。代わりに、下位ディレクトリごとに同期します。たとえば、次の図では\viruspatternsディレクトリだけが同期されます。\supportpacksなど、vol1:\servers以下のその他のディレクトリは同期されません。


%DEST_VOLUME%は、下位にserversディレクトリを含むターゲットです。serversディレクトリに関連付けられているのは、Distributorサーバのviruspatternsディレクトリとsupportpacksディレクトリです。この図では、supportpacksディレクトリだけが同期されます。

Distributorサーバファイルを含むSubscriberサーバディレクトリの同期

File Distributionに含まれるDistributorサーバのファイルが、Distributionのディレクトリと関連付けられている場合、通常は、Distributionのディレクトリを同期しません。同期すると、Subscriberサーバのディレクトリ内の大切なデータを消してしまう場合があります。

例:


tedディレクトリが同期され、Distributorからのファイルが1つだけtedディレクトリに関連付けられているときにデータが失われる場合と、tedディレクトリを同期しないことにより、Subscriber上の既存のファイルを維持する場合の図。

データが失われる場合、nw65sp1.exeファイルを除く、\nw65spディレクトリおよびサブディレクトリのすべてのファイルがSubscriberサーバから削除されます。その他のファイルが維持される場合は、\nw65spディレクトリのnw65sp1.exeファイルが更新され、Subscriberサーバのその他のファイルとサブディレクトリはすべて残されます。


File Distributionのディレクトリの同期

  1. ConsoleOne(R)で、Distributionオブジェクトを右クリックし、[Properties]をクリックします。

  2. [Type]タブを選択し、DistributionのFileタイプを選択します。


    Distributionオブジェクトプロパティ[Type]タブ。ターゲットの%DEST_VOLUME%の下にあるjunkdirディレクトリは、Distributorサーバのファイルdata:\junk\delete\config.iniおよびdata:\junk\delete\prepost.spkと関連付けられています。
  3. [New Target]をクリックし、デフォルト変数の%DEST_VOLUME%に各Subscriberサーバのターゲットパスを指定します。

    警告:  ターゲットレベルで同期する場合は、この変数に、Subscriberサーバのファイルシステムのルートが含まれていないことを確認してください。

  4. [Add Directory]ボタンと[Add Files]ボタンを選択して、[Files To Be Distributed]ボックスでディレクトリ構造を作成します。

    [Add Directory]ボタンは、Subscriberサーバのターゲットパスとディレクトリを追加する場合に使用し、[Add Files]ボタンは、Distributorのファイルシステムを参照してDistributionに追加するディレクトリとファイルを選択する場合に使用します。

  5. 必要に応じてプラス記号をクリックし、ディレクトリ構造を展開します。

    リストに表示されるディレクトリは、デフォルトでは、同期するものとして選択されていません。


    Distributionオブジェクトプロパティの[Type]タブ。ターゲットの%DEST_VOLUME%には、junkdirおよびmorejunkディレクトリが含まれます。junkdirディレクトリは、Distributorサーバのファイルdata:\junk\delete\config.iniおよびdata:\junk\delete\prepost.spkと関連付けられています。morejunkディレクトリは、Distributorサーバのディレクトリdata:\junk\deleteと関連付けられています。junkdirとdata:\junk\deleteディレクトリが同期されます。
  6. 同期するディレクトリを指定するには、[Files To Be Distributed]ボックスのディレクトリを選択して、[Synchronize]ボタンをクリックします。

    ディレクトリ名の前に同期アイコン(Synchronize icon for directory sync granularity)が表示されます。

    ディレクトリ名ではなくファイル名を選択すると、[Synchronize]ボタンと[Desynchronize]ボタンが淡色表示されます。同期を指定できるのは、ディレクトリだけです。

    ディレクトリの同期は、選択したディレクトリとすべてのサブディレクトリ(指定ディレクトリ以下)で指定されるため、選択したディレクトリ以下のディレクトリを選択して同期を指定する必要はありません。

    ディレクトリに同期を指定した後にそのディレクトリを展開すると、各ディレクトリ名の前に同期アイコンが表示されます。

  7. 同期するディレクトリの指定を解除するには、同期アイコンが表示されたディレクトリ名を選択し、[Desynchronize]ボタンをクリックします。

    ディレクトリに非同期を指定すると、その親ディレクトリに同期が指定されている場合は、親ディレクトリも自動的に非同期となります。同様の処理は、すでに同期が指定されたパスを持つすべてのディレクトリ(親ディレクトリの上位を含む)について実行されます。つまり、あるディレクトリに同期を指定してから、下位のディレクトリに非同期を指定すると、親ディレクトリも必ず非同期になります。

  8. 同期するディレクトリごとに、ステップ 6を繰り返します。

  9. Distributionの設定を続行します。

    Distributionの設定については、Distributionの作成と設定を参照してください。

  10. Distributionの設定を終了するには、[OK]をクリックします。

    このDistributionでは、同期アイコン(Synchronize icon for directory sync granularity)が表示されたディレクトリ(すべてのサブディレクトリを含む)のみが同期されます。


Tiered Electronic Distributionの依存関係の理解

Policy and Distribution Servicesのエージェント(Policy/Package AgentおよびDistributor Agent)は、eDirectoryで相互に依存しています。Policy and Distribution Servicesを使用してネットワークを管理するには、次の依存関係を理解する必要があります。


eDirectoryのTiered Electronic Distributionオブジェクトの同期

Server Managementでは、Tiered Electronic DistributionおよびServer Policiesコンポーネントに必要な情報のリポジトリとして、eDirectoryが使用されます。eDirectoryは分散型データベースであり、ネットワーク全体でパーティションとレプリカを使用できるため、Server Managementオブジェクトが作成または変更されるたびにすべてのレプリカを同期するには時間がかかります。


親Subscriberのアップロード

親Subscriberを変更するには、Subscriberオブジェクトの親Subscriber属性を変更する必要があります。Distributionが次に送信されるときに、Subscriberへの配布ルートが新しい親Subscriberに反映されます。

親SubscriberのJavaプロセスがアンロード(終了)された場合は、親Subscriberの下位Subscriberが他の親Subscriberと再度通信することはありません。下位Subscriberは、親Subscriberが再度ロードされ、使用が続行されるまで待機します。これは、親Subscriberが、Distributor(WAN経由で接続)と20のSubscriberとの間にある唯一のサーバである場合、親Subscriberが使用できなくなったときに、すべてのSubscriberがWAN経由でDistributionを受信しないようにするためです。


システムリソースとサーバの動作

Policy and Distribution Servicesを使用すると、システムの動作に影響する場合があります。

Tiered Electronic Distributionをインストールして使用すると、次のものが影響を受ける場合があります。

Tiered Electronic Distributionのインストールを最適化するには、DistributorおよびSubscriberサーバを選択するときに、次の点を考慮する必要があります。


I/Oレートと同時に実行可能なDistributionの制御

Distributionトラフィックの帯域幅の使用を制御するには、I/Oレートを設定し、同時に実行可能なDistributorおよびSubscriberの最大数を設定します。

DistributorオブジェクトとSubscriberオブジェクトの属性によって、次の制御を実現できます。

Subscriberが1つしかない場合、Distributorは選択されたレートでDistributionを送信します。Subscriberが2つある場合、Distributionは半分のレートで送信されます。つまり、最低速の配布レートを判断するには、Distributorの出力レートを、同時に実行可能なDistributionの最大数で割ります。

Subscriberは常に、同時に実行された別のDistributionを受信するため、受信接続の数を制限できない場合でもレートは適用されます。


メッセージトラフィックの極小化

Tiered Electronic Distributionのメッセージ通知機能を使用すると、管理者や選択したエンドユーザに情報を知らせることができます。通知は次の方法で送信されます。

次の節では、通知の使用方法について説明します。


メッセージ通知レベル

メッセージレベルには、メッセージを送信しないものから、開発者用トレースオプションまで、7つのレベルがあります。メッセージの送信先に関係なく、リソースは、選択されたレベルから直接影響を受けます。メッセージレベルの設定については、次の手順を参照してください。

ログファイルレベルは、ログファイルサイズの増加速度に影響します。ログファイルにはサイズの制限がないため、x日数後にエントリを削除するように指定して、ログファイルのサイズを制御できます。メッセージレベルの設定については、次の手順を参照してください。


LANおよびWANの使用による通知の送信

SNMPトラップおよびリモートコンソールのレベルは、ネットワークトラフィックに最大の影響を与えます。

SNMPトラップ、電子メールメッセージ、およびサーバのコンソールのメッセージレベルの設定については、次の手順を参照してください。


SNMPトラップ

SNMPポリシーが受信サーバで有効になっている場合は、選択したメッセージレベルに関係なく、SNMPメッセージだけが送信されます。SNMPトラフィックは、選択したレベルと、サーバのポリシー内のSNMP設定の両方から影響を受けます。SNMPトラップターゲットポリシーでは、送信先へのメッセージごとに1つのSNMPパケットが使用されます。IPXTMアドレスは、トラップターゲットではサポートされていません。


E-Mail Messages

電子メールメッセージもネットワークトラフィックに影響を与える場合があります。SNMPと同様に、電子メールは定義された電子メールユーザに対してメッセージごとに電子メールが1通だけ送信されます。電子メールはサーバポリシーによっても定義されます。電子メールメッセージを送信するには、送信サーバでポリシーを定義し、有効にする必要があります。


Tiered Electronic DistributionサーバのDNS名またはIPアドレスの変更

DistributorサーバまたはSubscriberサーバのいずれかのIDに変更を加えた場合は、これらのサーバの配布プロセスがこれまでどおりに実行されるように、特定のタスクを実行する必要があります。

配布プロセスでは、Tiered Electronic DistributionサーバはDNS名またはIPアドレスによって互いを認識します。次の節では、これらのサーバのIDを変更したことで発生する状況について説明します。


DNS名を使用してサーバを識別している場合

DistributorまたはSubscriberサーバのServer Managementに対する識別にDNS名を使用している場合、これらのサーバのIPアドレスを変更しても、配布プロセスには何も影響しません。


IPアドレスを使用してサーバを識別している場合

有効な証明書の復元は、サーバIDの解決と関連しているため、詳細については、無効な証明書の処理を参照してください。


Tiered Electronic Distributionプロセスのエラー

コンピュータに関連する多くの一般的な理由により、Tiered Electronic Distributionプロセスにエラーが発生する場合があります。次に例を示します。