16.0 クラスタ管理ツール

High Availability Extensionにはクラスタをコマンドラインから管理する際に役立つ、包括的なツールセットが付属しています。この章では、CIBおよびクラスタリソースでのクラスタ構成を管理するために必要なツールを紹介します。リソースエージェントを管理するためのその他のコマンドラインツール、またはセットアップのデバッグおよびトラブルシューティングに使用するツールについては、Section 15.0, トラブルシューティングで説明しています。

次のリストは、クラスタ管理に関連するいくつかのタスクを示しており、これらのタスクを実行するために使用するツールを簡単に説明しています。

クラスタの状態の監視

crm_monコマンドでは、クラスタの状態と構成を監視できます。出力には、ノード数、uname、uuid、状態、クラスタで構成されたリソース、それぞれの現在の状態が含まれます。crm_monの出力は、コンソールに表示したり、HTMLファイルに出力したりできます。statusセクションのないクラスタ設定ファイルが指定された場合、crm_monはファイルに指定されたノードとリソースの概要を作成します。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_mon (8)を参照してください。

CIBの管理

cibadminコマンドは、Heartbeat CIBを操作するための低レベル管理コマンドです。CIBのすべてまたは一部のダンプ、CIBのすべてまたは一部の更新、すべてまたは一部の変更、CIB全体の削除、その他のCIB管理操作に使用できます。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、cibadmin (8)を参照してください。

設定の変更の管理

crm_diffコマンドは、XMLパッチの作成と適用をサポートします。クラスタ設定の2つのバージョン間の差異を表示する、または後でcibadmin (8)を使用して適用できるように変更を保存する場合に有効です。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_diff (8)を参照してください。

CIB属性の操作

crm_attributeコマンドで、CIBで使用されているノード属性およびクラスタ構成オプションを問い合わせて操作できます。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_attribute (8)を参照してください。

クラスタ構成の検証

crm_verifyコマンドは、構成データベース(CIB)の整合性およびその他の問題を確認します。構成を含むファイルを確認したり、実行中のクラスタに接続したりできます。2種類の問題を報告します。エラーは、解決しないとHeartbeatが正常に機能できず、警告の解決は管理者が担当します。cm_verifyは新規または変更された構成の作成を支援します。実行中のクラスタのCIBのローカルコピーを作成し、編集し、crm_verifyを使用して検証し、新規構成をcibadminを使用して適用できます。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_verify (8)を参照してください。

リソース構成の管理

crm_resourceコマンドは、クラスタ上でリソース関連のさまざまなアクションを実行します。構成されたリソースの定義の変更、リソースの開始と停止、リソースの削除およびノード間での移行を実行できます。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_resource (8)を参照してください。

リソースの失敗回数の管理

crm_failcountコマンドは、所定のノードのリソースごとの失敗回数を問い合わせます。このツールは、失敗回数のリセットにも使用でき、リソースが頻繁に失敗したノード上で再度実行できるようにします。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_failcount (8)を参照してください。

ノードのスタンバイ状態の管理

crm_standbyコマンドは、ノードのスタンバイ属性を操作します。スタンバイモードのノードはすべて、リソースをホストすることができず、そのノードにあるリソースは削除する必要があります。スタンバイモードはカーネルアップデートなどの保守タスクに有効です。ノードからスタンバイ属性を削除すると、クラスタの完全なアクティブメンバーに戻ります。このツールの使用方法とコマンド構文の詳細については、crm_standby (8)を参照してください。