1.5 プレブートの利用方針

次のセクションでは、プレブートサービスを使用した可能なアプローチを提示します。次のセクションを使用して実行する処理を判別します。手順は、後続のセクションで文書化しています。

1.5.1 イメージングタスクの自動化

次の方法でイメージングタスクを自動化することができます。

  • イメージングスクリプトの実行: イメージングスクリプトバンドルは、イメージングスクリプトの実行をイメージングコマンドを含む管理対象デバイスで自動化することができます。これは、ZENworksイメージングに対してのみ適用されます。

  • デバイスイメージング: ZENworksイメージバンドルを使用してデバイスにイメージを配置することができます。

  • 複数のデバイスのイメージング: マルチキャストイメージセットバンドルを使用すると、イメージを1つのイメージファイルのパスを使用してネットワーク全体の複数のデバイスに配置することができます。これは、研究室のデバイスをリセットする場合などに使用できます。これは、ZENworksイメージングに対してのみ適用されます。

これらのアクションを遂行するのに必要なのは、イメージングバンドルタイプを1つ作成して設定し、バンドルを該当するデバイスに割り当てることだけです。デバイスがブートすると、割り当てられたバンドルは、デバイスのオペレーティングシステムが開始する前に自動的に適用されます。

また、デバイスでイメージングメニューを有効にしている場合は、Novellプレブートサービスメニューの[ZENworksイメージング保守の開始]オプションを使用して、イメージング保守モードプロンプトにアクセスし、手動でこれらのタスクを各デバイスで実行することもできます。または、デバイスでPXEを有効にする必要のないプレブートサービスブート可能なCDまたはDVDを使用することもできます。詳細については、セクション 3.1.2, ZENworks イメージングでのコマンドラインの使用を参照してください。

1.5.2 標準のイメージの作成、インストール、および復元

デバイスを新しく購入した場合は、それらを展開する前に標準のソフトウェアプラットフォームをインストールすると、再イメージングを自動で実行できるようになります。

  1. 配布する予定の各タイプのモデルデバイスを作成します。

  2. 各モデルデバイスのイメージをZENworksイメージングサーバで作成します。詳細については、手動によるデバイスのイメージの作成を参照してください。

    これらのイメージには、Novell ZENworks Configuration Managementイメージングエージェント(novell-ziswin)を含める必要があります。

  3. オプションで、このイメージにリブートイメージングバンドルを作成することができます。これにより、イメージは後で使用できるように自動的に割り当てられます。

  4. プレブートサービスを使用する場合は、サーバにConfiguration Managementをインストールします。これにより、そのサーバはイメージングサーバになります。詳細については、セクション 2.1, プレブートサービスイメージングサーバの準備を参照してください。

    または

    ブート可能CD、ブート可能DVD、またはZENworksパーティションを使用する場合は、モデルイメージを保存するZENworksイメージングサーバを指定するブートCDまたはブートDVDを作成します。詳細については、セクション 2.3, ZENworksイメージング用のプレブートサービスの方法の設定を参照してください。

新しいデバイスが投入されるため、プレブートサービスを使用している場合は次を実行してください。

  1. デバイスがPXE対応であることを確認します。デフォルトで使用可能になっていない場合は、PXEを使用可能にします。詳細については、セクション 2.7, PXEのデバイスでの有効化を参照してください。

  2. デバイスをネットワークに物理的に接続します。

  3. デバイスをイメージング/プレブートサービスサーバからブートします。

プレブートサービスを使用しない場合は、イメージングブートCDまたはDVDからデバイスをブートし、ZENworksパーティションをインストールして、CDまたはDVDを使用しない自動イメージングを有効にすることを検討します。詳細については、ステップ 3セクション 2.8.2, イメージング操作のためのデバイスの有効化を参照してください。パーティションをインストールしたら、ZENworksパーティションからデバイスを再起動します。

1.5.3 破損したデバイスの再イメージング

設定が不正になったデバイス、または破損したデバイスは、データを失うことも、ユーザの作業を必要以上に中断することもなく、修復することができます。

  1. デバイスを修復する必要がある場合は、ユーザに、保存しておきたいファイルのバックアップをネットワーク上に作成させます(可能な場合)。

  2. 該当するイメージングバンドルを作成してデバイスに割り当てます。

  3. デバイスにZENworksパーティションがあるか、またはPXEが使用可能なデバイスである場合は、ユーザはZENworksパーティションまたはプレブートサービスイメージングサーバ(PXE経由)からデバイスをブートするか、または割り当てられたバンドルを検索して実行する必要があります。PXEを使用する場合は、プレブートサービスがサーバにインストールされていて、そのサーバがイメージングサーバになっていることを確認します。詳細については、セクション 3.0, イメージングの使用を参照してください。

    または

    デバイスにZENworksパーティションがなく、PXEが使用可能でない場合は、ユーザはイメージングブートCDまたはDVDを使用してデバイスをブートし、適切なイメージを手動で復元する必要があります。

  4. イメージを適用したら、ネットワークにバックアップしたユーザファイルを復元します。

1.5.4 研究室のデバイスのクリーンな状態への復元

前回デバイスにイメージを復元してからこれまでに行った変更または追加を削除することによって、デバイスをクリーンな状態に復元することができます。これは、研究室のデバイスを更新する場合に利用できます。

研究室で初期設定を行う方法については、セクション 1.5.6, マルチキャストデバイスイメージを参照してください。

次の手順では、デバイスが登録されていないことを前提としています。

  1. 新しいモデルデバイスのイメージを作成して、ZENworksイメージングサーバに保存します。詳細については、手動によるデバイスのイメージの作成を参照してください。

  2. プレブートサービスを使用する場合は、サーバにConfiguration Managementがインストールされていて、そのサーバがイメージングサーバになっていることを確認します。詳細については、セクション 2.1, プレブートサービスイメージングサーバの準備を参照してください。

  3. PXEに対応しているデバイスで起動前サービスを使用する場合は、PXEが有効になっていることを確認します。詳細については、セクション 2.7, PXEのデバイスでの有効化を参照してください。

    または

    起動前サービスまたはZENworksパーティションを使用しない場合は、新しいイメージを保存するZENworksイメージングサーバを指定するイメージングブートCDまたはDVDを作成します。詳細については、セクション 2.3, ZENworksイメージング用のプレブートサービスの方法の設定を参照してください。

研究室の各デバイスは、次のように展開します。

  1. デバイスを研究室のネットワークに物理的に接続します。

  2. 起動前サービスを使用する場合は、起動前サービスのイメージングサーバからデバイスをブートします。

    または

    起動前サービスを使用していない場合は、イメージングブートCDまたはDVDからデバイスをブートし、ZENworksパーティションをインストールします。詳細については、ステップ 3セクション 2.8.2, イメージング操作のためのデバイスの有効化を参照してください。パーティションをインストールしたら、ZENworksパーティションからデバイスを再起動します。

  3. 研究室の最後の各セッションで、イメージングバンドルを研究室のデバイスに割り当てます。

  4. 各デバイスをリブートし、イメージングバンドルへの割り当てによって自動イメージングが行われるようにします。

1.5.5 将来のイメージ再作成に備えたデバイスの設定

既存のデバイスについても、ユーザの作業の中断を最小限に抑えながら、再イメージングを実行できるように設定できます。

この場合、ローカルの管理者による段階的な操作が必要になります。各管理者は、次の作業を実行します。

  1. 各デバイスにNovell ZENworks Configuration Managementイメージングエージェント(novell-ziswin)をインストールします。

  2. デバイスがPXEに対応している場合は、PXEが有効になっていることを確認し(セクション 2.7, PXEのデバイスでの有効化を参照)、Configuration Managementがサーバにインストールされていて、そのサーバがイメージングサーバになっていることを確認します(セクション 2.1, プレブートサービスイメージングサーバの準備を参照)。

    または

    イメージングCDまたはDVDをいくつか準備します。これは問題が発生した場合にユーザが使用するものです(セクション 2.3, ZENworksイメージング用のプレブートサービスの方法の設定を参照)。これらのデバイスは、新しいデバイスで使用するものと同一の新しいイメージが保存されているイメージングサーバの場所を指定するものでも構いません。

  3. 問題が発生した場合は、破損したデバイスを再イメージングするための手順を実行します。詳細については、セクション 1.5.3, 破損したデバイスの再イメージングを参照してください。

1.5.6 マルチキャストデバイスイメージ

次のセクションでは、ZENworksイメージングのマルチキャストイメージ機能について説明します。

マルチキャストの使用の手順については、セクション 3.2, ZENworksイメージングのマルチキャストイメージを参照してください。

マルチキャストの理解

マルチキャストは、ネットワークを介してイメージを何度も送信することなく、同じイメージを複数のデバイスに送信するための方法です。これは、マルチキャストセッションに参加するように参加者を招待することによって、行います。マルチキャストはネットワーク上のブロードキャストと同じです。というのも、イメージをネットワークに1回送信すれば、マルチキャストセッションに所属するデバイスのみがそれを表示して受信することができるためです。これは、ネットワークの帯域幅の使用率を節約します。

たとえば、マルチキャストセッションに 10個のデバイスが含まれ、イメージのサイズが3GBの場合、 10個すべてのデバイスにイメージ処理を行う際に発生するネットワークトラフィックは3GBのみになります。マルチキャストを使用しない場合、10個すべてのデバイスを個々にイメージ処理を行う際に発生するネットワークトラフィックは30GBになります。

イメージを作成するデバイスは、ネットワークに物理的に接続されている必要があります。これらは既存の各種オペレーティングシステムがインストールされたデバイスでも、オペレーティングシステムがインストールされていない新しいデバイスでも構いません。

重要:マルチキャストを正しく機能させるには、ネットワーク上のすべてのルータおよびスイッチでマルチキャスト機能を設定する必要があります。この設定を怠ると、マルチキャストパケットが正しくルーティングされない場合があります。

マルチキャストは自動または手動で行うことができます。

自動マルチキャスト

ZENworksコントロールセンターでは、マルチキャストはマルチキャストイメージセットバンドルを設定することによって、遂行されます。バンドルにはデバイスから事前に取得したベースイメージが含まれていて、イメージングサーバに保存されます。このベースイメージはすべてのマルチキャストセッションの参加者に適用されます。

イメージングバンドルを使用してマルチキャストを実行する場合、イメージングサーバは.zmgイメージファイルをセッションの参加者に送信するセッションマスタです。Novell-pbservは、このプロセスで使用されます。問題があれば、セッションマスタデバイスにレポートされ、表示されます。

詳細については、セクション 3.2, ZENworksイメージングのマルチキャストイメージを参照してください。

手動マルチキャスト

イメージング保守モードプロンプトで、コマンドを入力してマルチキャストセッションを設定して開始することができます。各デバイスのプロンプトで適切なコマンドを入力し、それらのデバイスの1つをセッションマスタとして指定します。セッションマスタのハードドライブのイメージは、セッションの各参加者に送信されます。

イメージングコマンドの詳細については、セクション F.5, セッションモード(マルチキャストイメージセット)を参照してください。

マルチキャストを設定する予定がある場合は、イメージングブートCDまたはDVDのいずれか、またはPXEが使用可能なデバイスである必要があります。詳細については、セクション 2.3, ZENworksイメージング用のプレブートサービスの方法の設定を参照してください。

マルチキャストの技術的な使用

マルチキャストは研究室、教室、およびステージングエリア、または、時間をかけて各デバイスを個々に設定する代わりに、同じ設定を複数のデバイスに素早く作成する必要がある場合に理想的です。

イメージをマルチキャストする利点

ZENworksイメージングサービスでマルチキャストを使用すると、最小限の間接費で大量の再イメージングが可能になります。マルチキャストは、クリーンなソフトウェア設定になっているデバイスが1台あり、その内容を他の複数のコンピュータに複製する場合や、単一のイメージを複数のコンピュータにセットアップする場合に便利です。

イメージのマルチキャストの制限

Configuration Managementソフトウェアをインストールせずにマルチキャストを使用すると、一連のデバイスのネットワークIDが重複するという重大な制限があります。IPアドレス(ネットワークが静的IPアドレスを使用している場合)とデバイスのホスト名がすべて同じであるため、変更せずにネットワーク上に展開した場合は衝突の原因となります。

対象デバイスの数が限られていれば、問題にならない場合もあります。デバイスの数が多い場合は、マルチキャストを行う前に各デバイスにNovell ZENworks Configuration Managementイメージングエージェト(novell-zislnx)をインストールする必要があります(セクション 2.8.2, イメージング操作のためのデバイスの有効化を参照)。マルチキャストセッションの開始前に、イメージングエージェントによってデバイスのネットワークID設定が保存され、セッション後に復元されます。

自動マルチキャストの例

ZENworksコントロールセンターを使用してイメージを複数のデバイスに自動的にマルチキャストするには、次の手順に従います。

  1. ZENworksコントロールセンターでは、ウィザードを使用してマルチキャストイメージセットバンドルを作成します。

  2. バンドルにソースイメージを指定します。

    イメージングサーバから既存のイメージをマルチキャストすることができます。

  3. 次の例に示すように、バンドルをマルチキャストするためにトリガを設定します。

    クライアント数: バンドルに指定されている特定の数のクライアントがブートして登録された場合は、マルチキャストセッションが開始されます。

    時間数: 新しいクライアントの登録がなく、特定の時間が経過した場合は、参加しているクライアントの数に関らず、マルチキャストセッションは開始されます。

    最初のトリガが実現されると、マルチキャストセッションが開始されます。

  4. 対象デバイスにマルチキャストイメージセットバンドルを割り当てます。

    ZENworksコントロールセンターは、マルチキャストイメージセットバンドルを有効または無効にする方法を提供し、一時的にバンドルを実行しないように停止することができます。これは、多数のデバイスからバンドルの割り当てを解除するよりも効率的です。

  5. トリガが発生するまでお待ちください。

    セッションにブートする各デバイスには、セッションが開始されるまで遅延されるブートプロセスがあります。これは、1つのトリガの成就によって決定されます。

    マルチキャストイメージセットバンドルまたはバンドルに割り当てられたデバイスの環境設定に応じて、マルチキャストは、マルチキャストイメージセットバンドルに割り当てられたデバイスがブートした場合に自動的に発生します。このバンドルは、オペレーティングシステムをブートする前に、各セッションのデバイスに適用されます。ZENworksマルチキャストイメージセットバンドルは、ネットワークのマルチキャスト機能を使用してワイヤを介して1度だけ送信され、参加しているすべてのデバイスで同時に実行されます。